やや日刊カルト新聞社が国際勝共連合に共闘を打診＝柴田未来氏問題にからむ共産党への腹いせか

高田馬場駅前で演説する勝共連合の「UNITE」

6月21日、やや日刊カルト新聞社が、あろうことか統一教会関連組織の「国際勝共連合」に共闘を申し入れていたことがわかりました。同社は、参院選石川選挙区の野党統一候補・柴田未来（しばた未来）氏が浄土真宗親鸞会の信者として偽装勧誘に関与してきた人物である問題に関連して、共産党が親鸞会を「反社会的な存在ではない」としたことに強く反発。勝共連合への共闘打診は、こうした共産党に対する腹いせとみられます。


国際勝共連合は、統一教会（現・世界平和統一家庭連合）の教祖・文鮮明が設立した反共活動組織。今年１月には、SEALDsに対抗して、統一教会二世信者などによる大学生遊説隊「UNITE」を結成。全国で、共産党批判や安倍政権支持の街頭演説会を開催しています。

柴田未来氏

一方のやや日刊カルト新聞社は、学生などを偽装勧誘するカルト宗教団体「浄土真宗親鸞会」の信者で自らも偽装勧誘に関与してきた柴田未来氏が参院選・石川選挙区の野党統一候補になっている問題で、野党や市民団体を「ファシズム」と非難。中でも共産党については、機関紙『しんぶん赤旗』で親鸞会を「カルト」としていたにもかかわらず、柴田氏推薦にあたって「親鸞会は反社会的存在ではない」とお墨付きを与えたとして、同社は特に強く非難しています。

同社の藤倉善郎総裁が勝共連合に接触したのは、参院選公示前日の6月21日。全国で同時多発演説会を開催していたUNITEの演説場所のひとつ、高田馬場駅前でした。たまたま現場に居合わせたジャーナリストの鈴木エイト氏が、当時の様子をこう語ります。

本紙総裁の入隊を拒んだUNITE

「はじめ藤倉総裁はUNITEメンバーの学生に“UNITEに入れてくれ”などとからんでいました。しかし、“UNITEは学生の団体だ”と入隊を断られたのです。すると藤倉総裁は演説終了後、今度は現場にいた勝共連合の年配男性スタッフに声をかけて、“我々と共闘しませんか”と持ちかけたのです」

鈴木氏の証言を元に、藤倉総裁と勝共連合とのやりとりを再現します。

──最近やや日刊カルト新聞も共産党との闘いを始めまして。共産党は統一教会はカルトだと言ってるくせに親鸞会は問題ないって言って、石川選挙区で野党統一候補に（親鸞会信者を）推薦してるんですよ。それはおかしいだろうと。で、うちも共産党批判を始めたんですが、UNITEや勝共連合さんと反共産党の一点で共闘できるんじゃないかと思いまして何か一緒にできないかと。

「どうして親鸞会をそこまで攻撃するんですか」

お前らもやってたことじゃないか

──攻撃はしてないですよ。これが国会議員としてふさわしいと、いままで赤旗で親鸞会はカルトだって書いてた共産党が言うのはおかしいだろうと。反安倍政権のためだと言って、この問題を一生懸命ないことにしてるのはファシズムだということで、我々は志位和夫にちょび髭書いてハーケンクロイツと重ねてコラージュ作ったら、共産党に怒られました。共産党も安倍さんに髭書いてドラムに貼り付けて叩いたりしてたじゃないですか。自分たちではやるくせに、自分たちが他人にやられると怒る。この共産党の欺瞞性を我々は批判しているのです。

「でも、こちら（統一教会）も同じカルトとして扱いたいんでしょ」

──共産党は反安倍政権と言ってカルトと手を組んでしまうわけですから、我々が反共産党のために勝共連合と手を組んでも何もおかしくないんじゃないかと。

「共闘したい？」

──いかがでしょうか。

「それは私が決められる話ではないので」

──即答できる話ではないと思うので、内部で諮っていただければ。統一教会をカルト呼ばわりすると勝共連合との共闘は難しいですか。

「うーん、それ、どうなんですかね。よくわからないんですけど、エイトさんは週刊朝日の記者でしょ？ 週刊朝日なんてのは反自民であり、どちらかというと共産党に近い方じゃないんですか」

──フリーですけどね。ぼくは週刊新潮によく書いてるんで、カルト新聞内の右派（藤倉）と左派（エイト）みたいな感じで。

「週刊朝日なんてのは反自民であり、どちらかというと共産党に近い方じゃないんですか」

（鈴木氏）って言われますけど、意識したことないです。

──週刊新潮でも、保守的な書き方してくれとか言われることもないです。フリーランサーはあんまり関係ないですよ。社員になるとまた違うかもしれませんが、そういう意味での思想性は、ぼくらにはないです。右左はないんで。ただ、ぼくは週刊金曜日は自主規制が厳しくて仕事しづらいから関わらないようにしてます。

「もともと保守なんですか？」

──ノンポリって言ったほうがいいですね。政治的スタンスはないので、これはおかしいだろうと思えばどっちでも批判します。統一協会を批判するのは、左翼だからとか右翼だからじゃなくて、おかしいんじゃないかと思うから批判する。いまは共産党がおかしいからおかしいんじゃないかと批判すると。だから、もしかしたら共闘できるんじゃないかなあと。

「国際勝共連合は文鮮明先生が作られた組織ですし、平和統一家庭連合（統一教会）とは非常に縁が深いわけです。文先生が書かれた教義の中に、キリスト教が使命を果たせないから西洋で共産主義が出現し、キリスト教が本来果たすべき理想を共産主義が掲げて世界の半分を席巻したということが書かれています。だから旧統一教会がキリスト教に代わって共産主義の間違いを訴えて、共産主義問題を解決しなきゃいけないんだと。こういう教義が『原理講論』の中にあるんです」

──原理講論の理念を共有できるかどうかが重要だということですね。

「そうですね」

──自民党の議員や保守系の活動家だと、別に『原理講論』を学んだり入信してなくても一緒に活動することもあるわけですよね。

「共産党批判してるところはうちだけではなくたくさんありますし、そういうところと組もうというのは」

──やはり若さと規模ですよね。単独の右翼団体とかよりも、（勝共連合が）全国展開で保守版SEALDsをやってるからこそです。勝共連合はなんとなく怖いという人もいるが、学生がやってると親しみやすい。UNITEとSEALDsの討論会とかやってくれるなら、ぼくは勝共連合側で出ますよ。街宣車も乗ったことないんで、乗りたいです。共産党の悪口言いますよ。

「ほんとうに共闘しようと思ったら、『原理講論』の中にある共産主義問題のところだけは認めると。ほかのところはともかくとして、共産主義の問題点と、共産主義の出現の経緯と、文先生が勝共連合でどういう活動をしてきたのか。こういうところは是々非々で学んでいただければ、共闘は可能だと思います」

──わかりました。また改めてご連絡させていただきます。

このやり取りを鈴木氏は、こう振り返ります。

共闘の申し入れに不信感を隠せない勝共連合の人

「これまで統一教会をカルト呼ばわりしていじってきたやや日刊カルト新聞が、統一教会関連組織の勝共連合に共闘を申し入れるなんて、悪ふざけとしか思えません。勝共連合の人は最初から最後まで、明らかに藤倉総裁を信用していない様子でした」

本紙では、真意を確認すべく藤倉総裁に直撃。すると、

「共産党は、統一教会をカルトだと言っているくせに親鸞会のことは反社会的ではないという。こんな宗教差別を許していいのか。勝共連合と協力して共産党のこうした欺瞞性を糾弾し、統一教会も親鸞会もどちらも平等にカルト扱いするよう世論に訴えかけていきたい」（藤倉総裁）

なお、本日発売の『週刊朝日』7月8日号に、本紙の主筆でもあるジャーナリスト鈴木エイト氏によるルポ〈SEALDsに対抗する改憲派学生組織の正体〉が掲載されています。




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◇参考リンク
浄土真宗親鸞会被害 家族の会
さよなら親鸞会
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