菅原一秀元経産相に刑事告訴されたジャーナリスト2名が不起訴

不起訴になった藤倉氏（左）と鈴木氏（右）

　ジャーナリストの藤倉善郎氏と鈴木エイト氏が2019年に菅原一秀衆議院議員（当時）の事務所に取材に行ったことが建造物侵入罪にあたるとして菅原氏側が刑事告訴していた事件について、東京地検が不起訴処分（嫌疑不十分）としていたことがわかった。菅原氏は、この一件の直後に経済産業大臣に就任。しかし週刊文春によって、有権者にカニやメロンや香典等を送った公職選挙法違反を報じられ辞任。2021年に議員辞職し、東京簡裁から罰金40万円、公民権停止3年の略式命令を受けた。

  

経産相に就任も1カ月ほどでスピード辞任に追い込まれ、後に公民権も停止された菅原一秀カニメロン大臣（2019年9月11日の経産省就任会見で）

　藤倉氏と鈴木氏は2019年6月19日に、菅原氏が統一教会関連イベントに参加した疑惑の関連で、取材のため練馬区豊玉北にある菅原氏の事務所を訪問。取材を申し入れの趣旨を伝えると、秘書から「確認するのでお待ち下さい」などと言われ、事務所内の応接用ソファに案内された。そこで待っていたところ、菅原氏側は警察に110番通報。多数の警察が駆けつける騒ぎとなった。

菅原一秀衆院議員の事務所がジャーナリストを警察に虚偽通報（動画あり）

　これについて菅原氏側は、建造物侵入罪に当たるとして藤倉・鈴木両氏を刑事告訴。約2カ月後の8月13日に、2人は容疑者として練馬警察署で6時間に及ぶ事情聴取を受け、直後に東京地検に送検された。

　両氏は、菅原氏の事務所において秘書から待つように言われてソファに通されたことから、菅原氏側による警察への通報について虚偽通報、刑事告訴について虚偽告訴であると主張。徹底抗戦の構えを見せていた。

自民党衆議院議員菅原一秀事務所が本紙総裁と主筆を建造物侵入で刑事告訴、“容疑者”が緊急“謝罪”会見

　しかしその後も2人に対して東京地検からの連絡はなかった。今年6月19日で時効を迎えたため、藤倉氏が27日に東京地検に確認したところ、不起訴（嫌疑不十分）となっていたことが判明した。処分決定の日付は10月21日。送検されて１、２カ月でのスピード不起訴だったことになる。

　藤倉氏は本紙の取材に対して、「嬉しい」と語る一方で菅原氏への気遣いも見せる。

「我々は不起訴。菅原氏は公選法違反で罰金40万円、公民権停止3年。あまりの落差が気の毒なので、菅原氏にカニとメロンを届けて慰めてあげたいくらい」

公民権停止中なのに＝鈴木エイト撮影

　鈴木エイト氏は、現在行われている参議院議員選挙に関連して、公示２日後の24日に練馬区内の「すがわら一秀広報版」に朝日健太郎議員と菅義偉前首相の2連ポスターが掲示されているのを発見。「公民権停止中の菅原一秀元経産相による選挙運動はNGの筈だが？？」と語る。

　なお、藤倉氏はやや日刊カルト新聞社の被告人兼容疑者兼総裁、鈴木氏が同容疑者兼総裁を務める。今回の不起訴処分を受けて同社では緊急取締会を招集。両氏を解任することを決定した。

「2人はもはや容疑者ではなくなった。解任は当然だ。責任はしっかり取らせるべき」（同社関係者）

　両氏が務めていた2つのポストも廃止する。

　同社は、8月13日にコミックマーケット（C100）への参加が決まっている。広報担当者は「100回目の記念となるコミケに新体制で臨みたい」としている。

プレスリリース：弊社藤倉及び鈴木の解任について