【CDJournal 2009年10月21日】“DIY の『ペット・サウンズ』” カリフォルニアのGIRLSがデビュー!日本の所属事務所(株式会社よしもとアール・アンド・シー)のHP(http://www.randc.jp/girls/profile.html)に、クリストファー・オウエンスの少し詳しい経歴が載っていました。
ベットルームとリハーサル・スペースで壊れた機材でレコーディングされた “DIY の『ペット・サウンズ』”――すでに英米で大きな話題となっているカリフォルニアの2人組、ガールズ(GIRLS)が、本日10月21日、アルバム『アルバム』で日本デビューしました!
ガールズは、カリフォルニア出身のクリストファー・オウエンス(歌詞とメロディ担当)とJR ホワイト(プロダクションとスタジオ・ワーク担当)の2人組。クリストファーは“Children of God”というカルト教団のヒッピーの子として生まれ、外界から隔離されながら世界中を旅し、プレイヤー(祈り)・セッションに出席するという生活を送ってきたことでも話題を集めています。バスキングをすることを学んだのも、多種多様な音楽を聴いたのも、このカルト集団での生活の中であり、また、最初のギター(今でも彼が曲を書くときに使う楽器)は、同じカルトのメンバーでもあった元フリートウッド・マックのギタリスト、ジェレミー・スペンサーから譲り受けたものだったりと、ここでの生活が彼らの音楽に多大な影響を及ぼしています。
ブライアン・ウィルソンによるクラシカルなカリフォルニア・ポップにローファイなフレイバーをかぶせたような彼らのサウンドは、地元サンフランシスコの生活を描いたサウンドトラックのようであり、また、50年代のサーフ・ポップ、60年代のサイケデリア、80年代のハードコア、そしてシューゲイザーなど、さまざまな要素を聴き取ることができます。
すでにUK / USでバンドは大きな話題となっており、USでは9月の『FADER』誌の表紙を飾り、『SPIN』誌では“今年のベスト新人”と評されています。また、『Pitchfork』ではシングル「Hellhole Ratrace」(アルバムの6曲目)が2008年ののベスト100シングルに選出、アルバム・レビューでは10ポイント中9.1ポイントを獲得しました。また英『NME』誌では“UKで最も成功しそうなUSの3バンド”に選出されています。マタドール20周年を飾る大型新人としても話題の彼ら。ぜひチェックを!
【株式会社よしもとアール・アンド・シー】GIRLSのProfileより抜粋クリストファーの両親がメンバーであった「Children of God(チルドレン・オブ・ゴッド)」(現、ファミリー・インターナショナル。「The Family(ファミリ-)」「Family of Love(ファミリー愛の家族)」の名称でも知られる)は、近親相姦を含む児童の性的虐待や暴力、性を道具とした布教活動などで、70年代以降アメリカ、ヨーロッパで、90年代はじめには日本でも、社会問題としてメディアでも取り上げられた宗教団体です。
■ クリストファー自身にも大きな物語がある。彼は、“Children of God”というカルト教団のヒッピーの子として生まれ、幼児期に世界中を旅し、外界から保護される間、プレイヤー(祈り)・セッションに出席するという生活を送ってきた。彼自身の言葉を借りて話すと、
「かなり地獄のような生活だった。教団は僕らを色んなものから隠して、幸せになることや完璧な神の子になることを教えたんだ。人をそんな風にコントロールするなんて誰もできやしないのに・・・」
自殺、売春、テキサスへの逃亡・・・、こうした彼のカルト教団時代の話は別の機会にすることにしよう。但し明らかなのは、Children of Godでの生活がクリストファーのソングライティングに大きな影響を及ぼしていることだ。バスキングをすることを学んだのも、他のカルトのメンバーが作る 多種多様な音楽を聴いたのも、このChildren of Godでの生活の中であった。そして、クリストファーの最初のギター(今でも彼が曲を書くときに使う楽器)は、同じカルトのメンバーでもあった元フリート ウッド・マックのギタリスト、ジェレミー・スペンサーから譲り受けたものだった。
「カルトの全てのことは音楽に基礎をおいているんだ。実際Girlsは、Children Of Godの音楽の様なサウンドを持っている。スピリチュアルな本質が存在するんだ。実際、僕は全く信心深くはないけれど、両者の間には共通するスピリチュア ルな本質がある。ブライアン・ウィルソンは音楽のスピリチュアルなことについて話すけど、実際それが何なのかはわからない。けど、目を閉じたとき、音楽は 僕を他のどこかに連れて行ってくれることは知っている」とクリストファーは言う。実際、カルトの中で彼が歌ってきた多くの歌の中には“美”が存在するとい うことを彼は認めている。
■16 歳の時にカルトを去って、アマリロのパンク・シーンに没頭しながらドラッグ漬けになっていた数年を過ごした後、クリストファーはサンフランシスコに移っ た。そこで彼はローカルのミュージック・シーンに浸かり、Ariel Pinkや彼のプロジェクトであるHoly Shitとギグをするようになった。
「もしHoly Shitとプレイしなかったら、僕は曲を書くようにはならなかったと思う」とクリストファーは語っている。
そして、最終的に、ここでクリストファーはJRと出会うこととなる。
教団の公式ホームページには、「1968年、アメリカ、カリフォルニア州のハンティントン・ビーチにて始まりました。当時、創立者のデービッド・ブラント・バーグ(1919-1994、 『ファーザー・デービッド』としても知られます)は、妻やティーンエイジャーだった自分の子どもたちと共に、そのビーチ・タウンに集まってきた反体制文化 的な若者を対象に伝道活動を始めました。若者の多くは、イエス・キリストを通して神との個人的な関係を持つことによって、人生における劇的な変化を経験し ました。」「ファミリー・インターナショナルは、イエス・キリストの福音を伝えることに献身するクリスチャン・グループです。1960年代後半にアメリカの南カリフォ ルニアで創立されて以来、ファミリー・インターナショナルは90以上の国で活動する国際的な団体へと成長しました。フルタイム・メンバーは、当団体の創立 時から、協調的な共同生活を行っています。」などと書かれています。
脱会者らのサイトによると、性的虐待などを伴い、一般的な教育の機会のない集団生活を体験した多くの「2世」が、脱会後に深い心の傷で苦しみ、自殺者も出ていると言われています。2005年1月には、教祖デービッド・バーグ(故人)の子(後継者)として教団の子育ての手本(実態は性的虐待)とされてきた青年リッキー・ロドリゲスが、最期のビデオメッセージを残して、教団内で自分の世話係だった女性を殺害し、自分もショットガンで自殺するという、あまりにも衝撃的で、あまりにも悲劇的な事件まで起きています。
ロドリゲスも滞在していたことがあるといわれている、子ども達が集団生活をする教団の施設の一つが、現在も「21世紀インターナショナル・スクール」という名称で千葉県館山市内に所在しています。
現在の教団の公式サイトをみたのですが、教祖デービッド・バーグの教えに基づいて行われた幼児虐待や近親相姦を含む性的虐待の歴史についての記述は見つけられませんでした。現在の教団の内実は分りませんが、現在の2人の指導者の一人であるマリア・ザービーことカレン・ザービーはデービッド・バーグの未亡人です。もう一人のリーダーであるピーター・アムステルダムことスティーブ・ケリーも、問題が取りざたされていた時期から、教団で子ども達と直接係わる役職にあった人物と言われています。
日本では「世界各国でボランティア活動を行っている国際キリスト教団体『ファミリー・インターナショナル』です。」として、活動しています。公式サイトからは、前述のように少なくとも過去の清算がなされてる様子はみられません。大変気になります。
この団体に関する情報を見ていくと、GIRLSのクリストファー・オウエンスの体験の重さが少し理解できる気がします。そんな過去に向き合いながら新しい音楽を生み出しているクリストファー・オウエンスのこれからの活躍が、楽しみです。
【参考】
この団体に関する情報総合サイト「X FAMILY」(英語)
⇒http://www.xfamily.org/index.php/Main_Page
ビデオアーカイブには、日本での伝道の様子を収めたビデオなどもあります。
日本に関する情報⇒http://www.xfamily.org/index.php/Japan
脱会した2世の3姉妹が出版した自伝「Not without My Sister」の公式サイト(英語)
⇒http://www.notwithoutmysister.co.uk/
ファミリー・インターナショナル2世のサイト⇒MOVING ON
(残念ながら今年2月に閉鎖された。最後のメッセージに胸が痛みます。)
脱会者のサイト⇒exFamily.org
Wikipediaのフリート・ウッド・マック
日本のフリート・ウッド・マックのファンサイト ⇒HISTORY(1971年にジェレミー・スペンサーが失踪)
0 件のコメント:
コメントを投稿