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2010年1月17日日曜日

「離婚・脱会」報道のTOSHIのこれから=ちらつくサイエントロジーの影

 自己啓発セミナー「ホームオブハート(HOH)」の広告塔を務めるTOSHI(X JAPAN、本名・出山利三)が妻と離婚し、HOHから脱会する見通しと報道されています。スポニチのスクープです。本紙既報の通りTOSHIは一昨年以降、サイエントロジー関係者との接点を持つようになっており、報道が事実であれば、今後のTOSHIの動向が注目されます。

【Sponichi Annex 2010年01月16日】「X JAPAN」TOSHI 元アイドル妻と離婚へ
ロックバンド「X JAPAN」のボーカリストのTOSHI(44)が、「WANKU(わんくぅ)」の名で歌手活動中の香夫人(40)と離婚に向けた話し合いを始めたことが15日、分かった。TOSHIは、夫婦で参加していた自己啓発セミナーの主催団体「ホームオブハート」から脱会。団体主宰者のMASAYA氏(52)とも決別し、音楽活動に打ち込む意向だ。
(略)

 デイリースポーツ朝日新聞が後追いしていますが、いずれも裏を取れていないようで、スポニチのスクープを流用しただけの形です。

妻・出山香氏(WANKU)は、ブログで謝罪。しかし何について謝罪しているのかは謎。


2004年に「児童虐待問題」が発覚した当時のHOH本部
■トシオフィスも「事実関係わからない」

 本紙・藤倉がTOSHIの音楽事務所であるトシオフィスに確認したところ、このような答えでした。

「こちらでも事実確認しているところなので、何も答えられない。本人(TOSHI)とも連絡が取れていない」(トシオフィス)

 スポニチの記事にはTOSHIの弁護士なる人物がコメントしてますが、トシオフィスでは、その弁護士が誰なのかもわからないとしています。藤倉は思わず、トシオフィスの方に「え?、そちら、トシオフィスですよね?」とツッコミを入れてしまいました。

 これまで、藤倉の取材に対するトシオフィスの対応は、「担当者から連絡させる」と言って絶対に連絡してこなかったり、「お答えすることはありません」としか答えないというものでした。今回の対応は、これまでとちょっと違います。

 トシオフィスは、昨年12月に東京地裁で言い渡された判決で「売り上げの一部を被告ホームオブハートに対して送金」「自らの社員研修として、被告ホームオブハートが開催するセミナーを利用」していたとして、HOHと「協力関係にあった」と認定されています。実際には、HOHの指導者であるMASAYA(倉渕透氏)のコントロール下にあり、事実上はTOSHIの会社というよりHOH関連団体です。脱会した被害者によれば、「トシオフィスはHOHで『2軍』と言われていた」といいます。つまりTOSHIやトシオフィスは、HOHのパシリ()です。

 そのトシオフィスがTOSHIの動向も担当弁護士も把握していないというのが事実なのであれば、TOSHIがHOHと距離を置こうとしているというスポニチの報道が事実である可能性が高いでしょう。TOSHIは昨年末、肋間神経痛を理由にコンサートなどを中止あるいは延期し、舞台「友情」の中でMASAYAの曲を歌うミニライブも中止。しかし病気を理由にHOHの広告塔としての活動を休止しておきながら、同時期にハリウッドでX JAPANのミュージックビデオ撮影に参加していたと報じられています。

■TOSHI、サイエントロジーに接近

時期TOSHI関連の動き
2008.05.17サイエントロジー信者で関連団体「ヴァリアント・ユニヴァーシティ」校長・三輪有子氏のラジオ番組に出演
2009.10.19日中、日本テレビvsHOHの裁判で証人尋問を傍聴。同日夜、サイエントロジーの信者であり広告塔であるピアニストのシプリアン・カツァリス氏と共演コンサート(主催はヴァリアント・ユニヴァーシティ)
10.24肋間神経痛を理由に活動休止を宣言。同日開催予定だったコンサートの延期を発表
10.28「04年のHOH内児童虐待事件で「児童相談所に虚偽通告した」などとして被害者側弁護士らを訴えていた裁判で、HOH側が敗訴
10.3011・12月のコンサート2件の中止を発表
11.0111月のコンサート2件の中止を発表
11.0311月のコンサート1件の中止を発表
11.0512月の韓国ツアーコンサートの中止を発表
11.1112月のコンサート1件の中止、1件の延期を発表
11.13舞台「友情 -Friendship-秋桜のバラード」制作発表、出席キャンセル(TOSHIに代わってMASAYAが出演)
11.16日本テレビvsHOHの裁判で証人として出廷する予定だったTOSHIが、出廷をキャンセル
12.231月の舞台「友情」公演期間中4日間のミニトーク&ライブショー全ての中止を発表
12.25TOSHI個人も被告になっていた裁判で、HOH側が被害者に敗訴。TOSHI個人だけは責任なしとされた(被害者側が控訴)
2010.01.15スポニチが「TOSHI離婚へ」「HOH脱会」と報道
 最近のTOSHIの動きをまとめてみました。要約すると、こうなります。

サイエントロジーに接触
 ↓
活動休止宣言
 ↓
HOH敗訴
 ↓
コンサート中止発表
 ↓
さらにHOH敗訴
 ↓
離婚・脱会報道

 TOSHIがサイエントロジーに入信したかどうかは、まだわかりません。しかしシプリアン・カツァリス氏との共演によって、すでに広告塔として片足を突っ込んでいるとは言えそうです。

左から、サイエントロジー関連団体「ヴァリアント・ユニヴァーシティ」の三輪有子校長、サイエントロジー信者でピアニストのシプリアン・カツァリス氏、TOSHI(2009年10月19日)

■どうなる? ホームオブハート裁判

 ホームオブハート(HOH)問題をめぐっては、のべ10件の訴訟が飛び交っており、いまだ係争中です。その中に2件、TOSHI個人も被告になっている裁判があります。

 一つは、昨年12月25日に判決が出た、HOH被害者による損害賠償請求の訴訟です。法人としてのHOHとトシオフィス、そしてTOSHI個人や妻の出山香氏(WANKU)個人も被告になっています。東京地裁判決では、TOSHI以外全ての法人・個人に損害賠償の支払いが命じられました。トシオフィスもです。TOSHI個人は責任なしとされたため、原告側が控訴し、東京高裁で訴訟が続くことになりました。

 もう一つは、HOH側・被害者側双方が訴え合っている、名誉棄損についての損害賠償請求です。被害者側は、TOSHIをはじめとするHOH側がウェブサイトなどで、「被害はデッチアゲ」「カネ目当て」としたり被害者個人について名指しで罵っていたことについて、名誉棄損だとして、TOSHI個人も被告にしています。現在、東京地裁で係争中です。

紀藤正樹弁護士
 いずれもTOSHI個人の責任が、HOHという団体の問題とセットで問われている裁判であるため、離婚しようがHOHから脱会しようが、HOH在籍中の責任をTOSHIが問われ続けることに変わりはありません。最も重要なのは、今後の裁判でTOSHI個人がどのような態度をとるのか、です。この点について、HOH被害者の代理人を務める紀藤正樹弁護士は、本紙の取材に対してこう説明しています。

「TOSHIが本当に脱会したのであれば、TOSHIの代理人(HOH側)が交代するなど裁判にも影響が出る可能性はあります。しかし仮にTOSHIがHOHを脱会したとしても、(一連の裁判でTOSHIが)和解や話し合いの態度を見せたり、被害者への謝罪や賠償といったことが行われなければ、反省したことにはならないでしょう」

 TOSHIが反省してHOHを脱会したのであれば、HOH裁判は大きく動くことになるかもしれません。しかし、TOSHIが単に「HOHの広告塔」から「サイエントロジーの広告塔」へと乗り換えただけであれば、たとえHOHを脱会しても反省するとは限りません。一方で、全国でのコンサートやCD販売の売り上げをHOHに“上納”してきたTOSHI自身も、長年HOHに搾取され続けてきた被害者と言えます。HOHからの脱会という報道が事実なのかどうかも含めて、今後のTOSHIの動向が注目されます。

※【パシリ】パシリとは、「使い走り(つかいはしり、つかいばしり)」を指す俗語・若者言葉。使い走りの砕けた言い方である「使いっ走り(つかいっぱしり)」から。主に学生の間で普及した。学校のクラスなどの集団内で強い(もしくは偉い)立場の者が、より弱い立場の者に(しばしば不当に)用事を命じて使いに行かせるとき、その使いに行かされる者(もしくはその行為)を言う。動詞化して「パシる」「パシらせる」のようにも使う。昼食(菓子パンやジュース)、タバコの買い出しなどをさせる。また万引き(窃盗)や傷害、性犯罪など刑事事件となるケースも少なくない。ただし、最近は物事を頼む時にも「ちょっとパシってくれ」と頼むなど、別に嘲笑う意味を込めないこともあり、一概にいじめとは言えないようになってきている。(Wikipediaより)

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