長生村百条委、幸福の科学職員に証人喚問を要求

百条委員会が開かれる長生村役場

千葉県長生村の村長が幸福の科学から「幸福の科学学園」視察費用の提供を受けていたのは公職選挙法違反（寄附行為）に当たる疑いがあるとして、村議会議員らが設置した通称「百条委員会」（特別調査委員会）が4月26日、視察に同行した教団職員への証人喚問を決定し、職員に出頭を要求しました。5月11日に開かれる予定の百条委で証言を求めるものとみられます。長生村では6月に村長選挙が予定されており、百条委の結論や経過は石井村長の再選に影響しかねません。証人尋問は幸福の科学にとっても村長にとっても、非常に需要な局面となりそうです。


■一貫しない村長の証言

長生村では、幸福の科学が当初計画より1年前倒しした2015年4月に「幸福の科学大学」（人間幸福学部1学年170人、未来産業学部1学年70人の2学部を予定）開校予定と発表しています。教団は、すでに開業している教団施設「千葉正心館」の隣接地に約31ヘクタールの土地を取得しており、うち17ヘクタールが大学用地として使用される見込みです。

予定土地は、宗教法人所有ながら実質的に宗教行為に使用されていないとして、村議会では固定資産税を課税するよう求めていましたが、石井俊雄村長は応じずにいました。これに対して村議会は、石井村長が栃木県那須町にある「幸福の科学学園」（中学・高校）を視察した際に、移動のための自動車や現地での食費を教団から提供されたことについて公職選挙法違反（寄附行為）に当たる疑いがあるとして、今年2月6日、方自治法第100条に基づく特別調査委員会、通称「百条委員会」を設置。これまで3回の委員会を開き、石井村長を追求してきました。

調査委員会で村長は、視察を「公務だった」と主張し、後から取り寄せたと思われる食事の領収書を提出して「食費は払った」と主張したり、当初「覚えていない」としていた食事の内容について突然、具体的に語るといった対応を繰り返しています。そのため、百条委員会では、「500円」分の食事の領収書をめぐって紛糾し中断するなど、混迷を極めていました。

■「霊」ではなく本人召喚です

こうしたことから百条委は4月26日の第3回委員会において、視察当時に地元の幸福の科学「千葉正心館」の館長として村長に同行した教団職員への証人喚問を決定。5月1日に、村長の視察に同行した後援会関係者と見られる男性とともに、教団職員に対しても出頭要求を送付しました。教団職員が出頭に応じれば、5月11日の第4回委員会で、村長の幸福の科学学園視察の内容や視察の費用負担について尋問を受けることになります。

村長が主張する通り学園視察が実名ともに「公務」だったのであれば、教団がその費用を教団が提供することは公選法違反（寄附行為）ではなく村役場に対する寄付扱いになり、特に問題はありません。しかし、ある村議会議員は、

「県の市町村課に照会したところ、視察に村役場の職員が同行していないことや、視察の様子を撮影した写真や報告書など提出されておらず、村の広報誌等にも掲載されていないことから、公務とみなすのは難しいとの見解を得ている」

と語ります。また村長がこれまで教団所有の空き地への固定資産税課税を拒んできた立場であることから、村議会議員の中には、視察費用の提供は課税問題の当事者同士のつながりを示すものと疑う声もあります。

こうしたもろもろの背景から、教団職員が百条委から証人喚問を求められるという、前代未聞の事態になってしまいました。もちろん、百条委が出頭を求めているのは、教団職員の「守護霊」ではなく肉体ですので、念のため。

証人喚問を予定している百条委は、5月11日午後1時半から、長生村役場内の村議会議場で開催され、誰でも傍聴することができます。