「本来借入金は返済しなければならない」統一協会流“コンプライアンス”の凄い中身

統一協会流『コンプライアンス、クレイム処理』指示文書

本紙6月26日朝刊既報記事【判明！統一協会の高齢信者ケアの実態】の続報。

既報記事でその財産収奪の実態を伝えた統一協会（統一教会）について、本紙は新たな文書を入手した。

『今年4月3，4日のJK会議で確認された事項』『コンプライアンス、クレイム処理で特に重点とすべきこと』として5枚に亘り詳細に【統一協会流コンプライアンスとクレーム対策】が記載されている。（JKは“地区”のこと）

しかしながらその中身はというと、教団に責任が及ばないような各種対策の他、「本来借入金は返済しなければならない」などと、目を疑うような文言が並んでいる。


◆統一協会の“法令遵守”の中身

その驚くべき内容について以下に転載する。

【コンプライアンス、クレイム対策について処理で特に重点とすべきこと　2012年4月】

以下は4月3，4日のJK会議で確認された事項でありますから、これを踏まえて、法務部長各位も取り組んでいただけますようにお願いします。

•今後の歩みでコンプライアンス、クレイム対策で特に重点とすべきこととして以下のことを確認した

•A　功労者、高齢者食口に対して、信仰の証となるような文書を残す。献金が信仰に基づき任意になされたことを示す契約書を残す。その徹底化を(江崎判決)

•B　証して勧誘をする(北海道地裁判決)

•C　功労者等で借り入れ返済の問題をなくす　そのチェックをする（江崎裁判）.

•D　高齢者・功労者についての実態把握のために、現在行われている調査をさらに進める。それに即した対応策を検討して強化する。

•E　地方担当制度強化。それにより事前のクレイム解決、裁判を防ぐ、コンプライアンスに基づく現場の教会活動の発展を促進強化する。以下の担当者らは担当局長と法務担当部長らと協力して事前解決をはかる

•岡村・・・・・・・・6地区

•山田・・・・・・・・1，2，3，4，5，6，9，12地区

•坂部・・・・・・・・7，8，10，11地区

•田坂・・・・・・・・2，9，11，12地区

•高橋・・・・・・・・3，4，10地区

•両角・・・・・・・・1，7，8地区

•中原（近藤）・・5，6地区

•F　現場の教会運営の問題点を、KPIで評価して、システムとして評価することにより、健全な発展をはかる。

•　クレイム発生の原因となった責任者にその責任を負わせる制度（次頁以下にその概要がある）

•G　浅見、岩根、石井、その他今日まで民事、刑事等で問題（その献金勧誘行為が、すでに違法と認定されたような人）となったトーカーらは、現場で献　　

•　　金勧誘等に使わないよう指導する。

その他クレイムの現状

クレイムは現在３月末で件数は減少傾向だが、金額は増加傾向である。安心できない


コンプライアンス違反行為等に対するKPI評価による指導改善措置

２０１２年３月１９日役員会において現場のコンプライアンス違反に対してKPI評価を通して是正改善措置を実施することとなりました。それにより教会の健全なより大きな発展がなされることを目的とするものです。
「コンプライアンス違反があった場合、法務局は事実調査をして役員会に報告の上、当該責任者に対し改善勧告書（問題点の指摘と改善勧告）を送付する。
改善勧告書を受けた責任者は、基本的に1ヵ月以内に改善計画書を提出し、それを実行しなければならない。
「内容が不備」と判断された場合は、再提出を求めることがある。
改善計画書が「期限内に提出されない」、「計画書に書かれたことが実行されない」等の場合は、以下のように業務評価に反映する。
当該部署に対し、問題の重要度に応じたKPIのマイナスポイントを与える。
マイナスポイントは、改善が実施されるまで、毎月課されるものとする。」

•以下5つの項目は「指導改善措置」においてコンプライアンス違反とされるような点である

•１　教会指導者、及び所属信者らが注意するポイント

• 教会指導者が法的・社会的に問題とされるような物品販売活動等の収益事業に関わったり、関わりを問われるような行為を行うこと。

• 所属する信者らが、様々な社会活動において社会問題となる事件を起こすこと

•２　「因縁話、霊界の恐怖心を植え付けた」と疑われる行為

•① 献金と先祖の因縁等を、家系図等を用いてことさらに結びつけた問題とされる献金奨励・勧誘行為を行う事。

•＊「献金勧誘行為が教義に基づき科学的に立証できない事実、存在、因縁関係を理由とするような吉凶禍福を説き金員を出えんすることにより、そうした吉凶禍福を一定程度有利に解決することができるなど相手方に説明することについても、科学的に証明できないことなどを理由として直ちに虚偽と断じあるいは違法と評価すべきではない。しかし献金勧誘行為が献金等を含め宗教的教義の実践をしないことによる害悪を告知するなどして、殊更に相手側の不安や恐怖心の発生を企図し、或いは不安や恐怖心を助長して･･相手方の自由な意思決定を不当に阻害し、相手方の資産状況や生活状況等に照らして過大な出えんをさせるようなもの･･違法との評価を免れない」（福岡高裁判決、その他）

•② 霊能力があるといわれる人物をして、その霊能力を用いて問題とされるような献金の奨励・勧誘をすること

•３　自由意思の阻害を疑われる行為

•① 本人の自主性・自由意思に疑問を持たれる行為(個室等で長時間にわたる因縁話等での勧誘)。高齢者からの献金など。

•② 本人の経済状態に比して過度である献金。特に、短期間の高額の献金など。

•③ 献金先が統一教会であることを明示しないで献金を受け取ること

•④ 受講施設への勧誘に際して、統一原理の教育を明示しない、または⑤受講施設で、統一教会との関連性を明示しないこと

•⑥ 上記、「④、⑤」に関連し、受講施設で受講契約に関して、法令違反と疑われかねない実態

•　４　今後の注意点につき確認

① 借入金等の場合本来借入金等は「消費貸借契約、寄託契約」であるため、返済期日が来た場合、あるいは相手からの要求があれば返済しなければならない。

② 社会的常識を逸した行為

③ 本部の許可なく、教会に関わる文章ないしは出版物が裁判の証拠で使われたケース。今後は、勝手に文書等の作成は現場においてしないこと。

④ 内部文章の作成、及び扱いにつては十分に注意されたい(文書管理の徹底をはかる)。

◆受講者・信者からの借入金をなし崩しに献納？浮かび上がる教団ぐるみの財産収奪

文書は、過去に教団の責任を認めた判例を引用しながら、新世摘発後の徳野声明を引用しクレーム対応や“コンプライアンス”について注意点を挙げている。

 本紙6月26日朝刊既報記事【判明！統一協会の高齢信者ケアの実態】で示したサンプル表は

•A　功労者、高齢者食口に対して、信仰の証となるような文書を残す。献金が信仰に基づき任意になされたことを示す契約書を残す。その徹底化を(江崎判決)



を踏まえて作成されたもののようだ。



「本来」って・・・

この中で、特筆すべきことは、『④今後の注意点』として

『①借入金等の場合本来借入金等は「消費貸借契約、寄託契約」であるため、」返済期日が来た場合、あるいは相手からの要求があれば返済しなければならい』

と記載されている点であろう。

『本来』と前置きして注意を促していることから、今までは『借入金を返済しなくてもよい』と指導していたということか。


今までに報告されてきたケースを以下に列挙する。

・青年信者に限度額までカードキャシングをさせ自己破産することを教会弁護士の指導の下で推奨

・篤志家と呼ばれる資産家を狙って巧みに近付き、教会関連ダミー施設に通わせた上で土地家屋を担保提供させ金融機関から多額の借入をさせ、なし崩しにその借りた多額の金を献納。土地家屋は競売へ

・信者からお金を借り、そのお金をやはりなし崩しに献金に振り替えさせる

このようなケースが多々あったことから、当該文書に記載の『借入金』とは、銀行などの金融機関からの借入金を指すのではなく、信者やダミー施設の受講者から借り入れたお金を指すと思われる。

この文書からは、今まで教団が各地区に対し借入金を返済しないよう指示していたとも読み取れる。組織的な借入金踏み倒しや精神操作からの献納をさせてきたことの証左であろう。

財産収奪を目的としてきた教団の唱える“コンプライアンス（法令遵守）”。今後は、より巧妙な手口で財産収奪を続ける狙いがあると思われる。

教団による『②社会的常識を逸した行為』は、より巧妙化していくであろう。一層の注意が必要だ。