本紙記者らがヨハン教会信者の勧誘に成功！

6月30日、日本脱カルト協会主催の公開講座「大学でカルトに入った私たち」の会場近くにあった「ヨハン岡山キリスト教会」を本紙記者らが訪れ、同教会の信者に対して公開講座への勧誘を試み、成功しました。同教会が所属するヨハン早稲田教会（ヨハン教会連合）は全国に37教会を擁し、団体名を隠して学生を勧誘するなどすることから、長年、全国の大学で問題視されています。


■「ヨハンの勧誘ではない。イエスの教えを伝えているだけ」

ヨハン教団は、かつて本紙が報じた通り、団体名を明示せずに学生を勧誘する団体として全国の大学で問題視されています（韓国系キリスト教会の偽装「就職セミナー」で現職警官まで勧誘活動、ヨハン早稲田教会、設立15周年記念の偽装勧誘）。6月30日、日本脱カルト協会主催の公開講座「大学でカルトに入った私たち」は、まさに大学におけるカルト問題の実態をテーマにしたものでしたが、奇しくも会場となった岡山国際交流センターから徒歩5分程度の場所に、「ヨハン岡山キリスト教会」がありました。

そこで本紙・藤倉主筆とエイト記者が、たまたま近くにいた知り合いの弁護士を連れ立って、ヨハン岡山教会をアポなし訪問。対応に出た女性とやりとりしました。

─今日これから、大学でのカルト問題をテーマにした公開講座があるのですが、全国の大学で問題視されている団体としてコメントください。

「ぶしつけですね。私たちは本当の聖書の教えを伝える教会で、カルトではありません」

─ぶしつけですいません。たまたま会場の近くに教会があったので、もののついでに寄りました。教えが本当かどうかはどうでもいいのですが、ヨハン教会という団体名を名乗らずに大学生を勧誘したり、大学に無届で教室を使って演奏をしたりしていて、全国の大学で問題視されています。

「私たちは、教会であること、クリスチャンであることはちゃんと言っています」

─ヨハン教会だと、きちんと名乗っていますか？

「名乗っています。チラシにもきちんと書いています」

─岡山大学の中でもチラシをまいたりしているんですか？

「大学の中ではチラシはまきません」

─チラシを渡さないで、「教会」「クリスチャン」と言うだけでは不十分では？

「まずは教会に来てもらって、どんなところか知っていただいてからの話なので、何も隠してはいません」

─岡山大学ではきちんと団体名を名乗って勧誘をしているということですか？

「勧誘というか、伝道です。ヨハン教会に勧誘しているのではなく、イエスの教えを伝えているのです」

─でも、ヨハン教会への勧誘ですよね。ちゃんと名乗っているんですか？

「名乗っています。どうしてうちばかりカルトと言われるのかわかりません」

─ヨハンだけではないです。いろんな団体が問題視されていて、ヨハンはその中のひとつ。

「私たちは日本福音同盟（JEA)というところに加盟している、ちゃんとしたキリスト教です」

─そこに加盟していることが、カルトではない根拠だと？

「はい」

─もしよかったら、これから公開講座があるので、それに来ていただければ大学のカルト問題がどういうものかわかると思います。

「代表はいま人と会いながら食事中なので、伝えておきます」

ヨハン教会に勧誘しているのではなくイエスの教えを伝えているだけだという言い分は、いうなれば「我々はイエス・キリストの代理店にすぎない。文句は元請け（イエス）に言ってくれ」というようなものでしょうか。しかしイエス・キリストはいま大学で勧誘活動はしていませんから、勧誘方法についての責任はイエスではなくヨハン教会にあります。

■またもウソですか

公開講座の会場には、岡山大学の関係者も来ていました。そこで本紙藤倉は、先ほどヨハン岡山教会を訪問したことを告げ、ヨハンが本当に団体名を名乗って勧誘しているのかどうか聞いてみました。

「ゴスペルコンサートがあるとか、韓国料理を作るサークルだなどと言って勧誘していて、ヨハン教会だとは名乗っていません。大学側が彼らの勧誘を見かけたら、すぐ追い出すようにしています」（関係者）

ヨハン岡山教会の信者が言っていたことと、まったく逆です。ただし、「ビラを配っていない」という点では、岡山大学関係者の話とヨハン岡山教会側の言い分は一致していました。口頭で団体名を明かさず、団体名を記したビラなども学生に手渡さないのであれば、完全な正体隠し勧誘ということになります。

かつて、ヨハン早稲田教会が「就職セミナー」名目で学生を集め、就職について大した話もせずに学生たちを宗教合宿に勧誘していた際、本紙はヨハン早稲田教会に電話してコメントを求めました。その際に対応した信者は「宗教合宿への勧誘はしていない」などとウソのコメントをしました。

彼らの教義が「本当の教え」であろうがなかろうが、ウソをつく宗教団体では、どのみち信用できません。

■岡山教会代表者が公開講座に

本紙藤倉が公開講座終了後に受付付近をうろついていると、先ほどのヨハン岡山教会の女性と韓国人女性が話しかけてきました。韓国人女性は、ヨハン岡山教会の代表者を名乗っていました。

─来て下さったんですね、ありがとうございます。

「いいイベントでした。最後は、宗教は必要だという結論でしたね」

公開講座で出演者は、フロアからの「宗教は必要か」という質問に対して、「自分には必要」「自分には必要ないが、必要とする人がいるのはいいと思う」等々の回答をしており、いずれも「人による」という文脈でした。無条件に「宗教は必要だ」と答えた人はいません。

─さっきヨハン岡山教会は団体名を名乗って勧誘していると言っていましたが、岡山大学の人にいま聞いたら、名乗ってないと言ってましたよ。

「そんなことないです。名乗っています」

─ヨハン早稲田教会が、団体名を隠して勧誘しているという実態を私自身が直接取材で確認しています。岡山教会もその系列教会ですよね。それが「名乗っている」とただ繰り返されても、こちらは「はいそうですか」なんて思わないですよ。

「東京（の早稲田教会）は人がたくさんいるので、個人がそういうことをしていても教会にはわからないです。それは個人の問題です」

─個人であっても、ヨハンに人を誘っているわけですよね。その勧誘方法をきちんと指導できないなら、ヨハン教会は信者の指導もできない無責任な教会だということになりますが。

「それは私が想像している理由なので、わかりません」

─ぼくは実際に取材して確認した上で言っています。それに対して想像でコメントされても。

「そうですね、わかりました。ただ、私たちは本当のキリスト教を広めるために活動しているので、カルトとは違います」

─別にここで言い合いをするために公開講座に誘ったんじゃないんです。ヨハン教会は、全国の大学で問題視されている団体のワースト５に入っています。大学でのカルト問題を知ってもらって、信者の人たちに、きちんと名乗って勧誘するよう指導した方がいいんじゃないかと。それをわかってほしかったんですが。

「わかりました」

いちおう、偽装勧誘はよろしくないということはわかってもらえたようです。少なくとも岡山での偽装勧誘がなくなればいいのですが、はたしてどうなるでしょうか。