第３回幸福花火祭（総本山・那須精舎にて開催）レポート

「花火大会行きませんか？」
本紙主筆から持ちかけられたのは、７月２１日に、幸福の科学の総本山・那須精舎で開かれる花火大会への誘いであった。
本紙読者にはお馴染みであろう幸福の科学の「幸福花火祭」に、１００キロ以上離れている東京から駆けつけたのは、教団関係者から教祖の御聖誕祭に「お願いですから、来ないで下さい」と言われた主筆が、せめて幸福花火祭で大宇宙の根本神、主エル・カンターレ様の偉大さを体感したいと強く主張したからである。本紙取材班は一路、東北道を北へと向かった。


遠路はるばる２時間半

片道で約２時間半。はるばる那須精舎まで行って、入口で「お前ら、やや日刊カルト新聞だな！　出て行け！」と言われたら、半日がパーになる。
車中でそんな心配をしていた私は、「いや、そんなことはない。幸福の科学のホームページの7,700発の祝砲花火！ 7月21日に総本山・那須精舎にて幸福花火祭を開催/という記事にも、『どなたでもご参加いただけますので、お気軽にお越しください』と書かれているじゃないか。打ち上げ前には『全国大会５位入賞の実績をもつ幸福の科学学園チアダンス部や、幸福の科学学園吹奏楽のショー』もある。純真な中高生の前で、教団がそんな、言行不一致を地で行くような真似をするわけはないに決まってるっ！」と、事前に見たホームページの内容を思い出して不安を打ち消した。

那須地域に入り、東北自動車道を降りる。運転する主筆をよそに、私は沿道に「あるもの」がないかを探していた。
そう、幸福実現党のポスターである。
都内ではもう珍しくない、幸福実現党のポスターであるが、なかなか見つからない。最初は、総本山なのに何故？と思ったが、単に那須でも市街地からかなり離れたところを通っているだけだということに気づく。まあ、選挙ポスターの量と選挙での得票の間に、必ずしも相関関係があるわけではないということは、前の衆院選と参院選で体験済みなので、あまり気にしなくても良いのかもしれない。
Googleマップを見ても分かる通り、人里離れたところに幸福の科学学園、そして那須精舎はある。滋賀県大津市の仰木の里で起きている激しい反対運動が、この周辺で起きなかったのもうなずける……と思っていたら、こんな立て看板を見つけた。
この近辺にも、オウムが進出しようとしていたのだろう。ここでも反対運動を起こされるとは、やはり、日本のカルトとして、オウムは別格である。

特に検問もなく、那須精舎に入れた。やはり、「どなたでもご参加いただけます」というのは嘘ではない。駐車場で車を止め、会場である大ストゥーパの辺りに向かう。車のナンバーを見ると、那須地域に限らず、関東圏を中心に各地のナンバーがある。函館ナンバーまであったのには驚きだ。

ビビン！
何かを受信したのか、本紙取材班の全員が息を止めてその車を見る。
「The Lord El Cantare」
コミケ会場近辺である程度痛車を見慣れている私でも、これには戦慄を覚えた。まあ、幸福の科学信者と本紙読者以外にとっては、目に留めるほどのものでもないので、特に生活に不都合などはないのだろう。

会場に入り、会場案内図と団扇をもらう。この会場案内図を見れば、総本山の涅槃池のほとりに聳え立つ、大ストゥーパの背後で花火が上がるのが分かるだろう。黄金色に輝く、主・エル・カンターレ大川隆法総裁先生のことを表す「ＯＲ」のロゴがいくつも刻まれている大ストゥーパの後ろで、まるで後光が差すかのように花火が上がる、という演出効果を狙っているのかもしれない。
屋台も出ているし、子どもが走り回っている。ここが幸福の科学の宗教施設であることを除けば、普通の夏祭りの風景である。
花火の前に、幸福の科学学園チアダンス部と、幸福の科学学園吹奏楽部によるパフォーマンスが、大ストゥーパの前で行われる。この日のために練習してきたのだろう。花火観覧エリアには、親子連れや、「Happy Science Academy」のロゴの入ったジャージを着た、幸福の科学学園の生徒と見られる中高生もいた。

美しい花火とユニークなナレーション

19：30。日も落ちて、そして花火の打ち上げが始まる。
花火の打ち上げは五回に分けられ、それぞれにタイトルがついている。花火の間にナレーションが入るのだが、それが普通の花火大会とは違う、幸福の科学らしさを醸し出している。

１．霊界
２．奇跡

まあ、ここまでは良いとしよう。しかし、３番のタイトルが凄かった。

３．宇宙人

宇宙人が地球に来ているという主旨のナレーションを聞いて、私は軽くのけぞった。

４．ファイナル・ジャッジメント

大川隆法総裁製作総指揮の、現在ロードショー中の映画「ファイナル・ジャッジメント」の紹介がナレーションで流れる。
そして、ラストのタイトルが最高であった。

５．主エル・カンターレの大勝利

まあ、ユニークなのはナレーションだけで、花火はとても美しいものであった。
写真が何枚も続くが、ご了承願いたい。

本紙取材班、総本山で礼拝

花火が終わり、大ストゥーパへと参拝する時間がやってきた。本紙取材班も参拝の列に並ぶ。この後には特別に祈願を受ける方々のための時間が設けられているので、それまでに参拝を行う必要がある。大ストゥーパの入口辺りで、各自一枚の封筒を受け取った。
「御生誕感謝奉納」と描かれた封筒。そう、７月は、主エル・カンターレ、大川隆法総裁の誕生月なのだ。
私はエル・カンターレ像の前で、幸福の科学の礼拝方式に従って祈りを捧げた。
「世界から、反社会的カルトがなくなりますように」
幸福の科学の信仰の対象である、地球の最高神であるエル・カンターレ様に、この願いは届いたのであろうか。

参拝を終えると、本紙取材班は東京への帰路についた。
宗教的な部分を除けば、ごくごく普通の花火大会であった。
おそらく、参加していたのはほとんどが幸福の科学の信者であろうが、日本各地で夏に開かれる花火大会の参加者と全く同じように、彼らもこの花火大会を楽しんでいたのであろう。
しかし、那須精舎の一角に飾られていた絵馬に、以下の言葉が書かれていたのも事実である。

「大宇宙の根本神　主エル・カンターレ大川隆法総裁先生」
「偉大なる救世主にして地球神　主エル・カンターレ、根本仏　大川隆法総裁先生」

このどちらもが現実なのだ。
疲れ果てていた我々が家に着いたのは、真夜中をとうに過ぎた、翌２２日であった。