統一教会偽装勧誘、本紙記者が“協助”の手口を生体験

ABF勧誘員、10人程確認できた（8日、新宿駅南口）

8日夜、新宿駅南口で統一教会（統一協会／世界基督教統一神霊協会）の青年信者による偽装勧誘現場に遭遇した。

試しに引っ掛かってみたところ、タイミングを見計らってもう一人の勧誘員が合流してくるという“協助”の手口を生で体験できた。

更に、勧誘員には二世信者が多く動員されていることも確認、近くではヨハン教会の信者も勧誘活動をおこなっていた。

カルト勧誘の激戦区になりつつある新宿駅南口をリポートする。



◆統一教会信者であることを否定「ABF卒業生です」


8日夜、記者は通りがかった新宿駅南口で、統一教会杉並教会の信者がミーティングをおこなっている現場に遭遇した。

顔見知りの信者は僅か2人程、殆どが初見のメンバーだ。

ミーティングが終わり、勧誘に散った信者の中で一番若そうな男性勧誘員に声を掛けた。記者の顔はこの勧誘員には割れていない。


──何のアンケート？

「青年意識調査です」

──何のために？

「結果をフィードバックするためです」

──何処に？

「ABFです」

──ABFって？

「阿佐ヶ谷文化フォーラムです」

──そこは何をするところ？

「コミュニケーションを学べるんです！人生の目的が見つかるんですよ。ボランティアもやってます」

──ボランティアって？

「ゴミ拾いです。被災地にも行きました」

──何処に行ったの？

「石巻です」


これは統一教会平和奉仕ボランティア隊・UPeaceのことと思われる。


──ここに書いてある統一原理って？

統一原理って知ってますか？

──「統一教会でしょ？君は信者なの」

「・・・」


勧誘員は言葉を濁して明確に答えない。


──信者じゃないの？

「そうですね、ABFの卒業生です」


統一教会の信者である事を否定、飽くまで『ABFの卒業生』と言い張る勧誘員。


──自分が学んでよかったから他人に勧めているということ？君は信者ではないんだね？

「そうですね」

──これは布教じゃないの？

「ふきょうって・・・？？、字が判らないです」

──伝道ではないの？

「伝道？違いますね」


そこへタイミングを見計らっていたと思われる別の男性信者が合流してきた。統一教会偽装勧誘でお馴染み、“協助”のパターンだ。

“協助”のパターン（2010.6．20）
最初に声を掛けた信者がブロックサインを出すと・・・

⇓

近くでタイミングを見計らっていた仲間が合流
たまたま通りがかった様に装うパターンも

こんな“伝道マニュアル”まである

「一緒に勉強している者なんですけど一緒に話を聞かせてもらっていいですか？」

──君は統一教会の信者？

「そうです」

──じゃあこれは伝道じゃないの？

「違います！」

──声を掛けた人を信者にする目的でやってるんじゃないの？

「違います！」

──ABFに通って信者になる人がいるわけだよね？

「それはどうするかは個人の自由ですから」「強制しているわけではないですから」


相変わらずの偽装勧誘である。入信するとどのような生活を送ることになるかなどの情報を提示せず対象者の自由な意思決定を侵害、伝道目的を伏せて関連施設に誘い込む手口だ。
それでいて信者になるかどうかは個人の自由・選択で強制しているわけではないと言い逃れ、教団の正体を隠し目的を偽っている。


この後、記者を知る伝道機動隊の隊長から勧誘員に電話が入った様で、二人は「他にいくところがあるので」とそそくさと去っていった。

近くで様子を窺っていた“伝機”の隊長を見つけ、近付いていくと、これも脱兎の如く逃げていった。


◆食口歴は？「26年です！」


別の男性勧誘員に声を掛けた。記者とは初めて会うという。
食口（シック・信者の意）歴は何年？と訊くと、「26年です！」と答える。
二世？と訊くと「そうです」と返答。二世信者も偽装勧誘に駆り出されていた。

二世コンビによる偽装勧誘
建物を背にしているのが勧誘対象者
勧誘員二人で囲むような構図にしている

東南口の方へ行くと、やはりABFの女性勧誘員二人組が若い女性を捉まえていた。

声を掛けると、統一教会の勧誘であることは告げていないという。

「今話そうと思ってました」

既に“協助”の状態に入っていながら、「今話そうと思った」とは呆れるばかりだ。

──最初に言わないとダメなんじゃない？伝道活動でしょ？

「そうですね、はい」

こちらは先程の男性信者とは違い、伝道が目的であることをあっさりと認めた。
勧誘対象になっていた女性は伝道目的と訊いて驚いていた。最初から聞いていたとすれば「宗教はちょっと・・・ごめんなさい」と話したように立ち止まらなかった筈である。

入信の経緯を勧誘員に訊くと、「親が・・・」と二世であると明かした。

年は26歳と19歳ということだった。「ご両親は1992年の3万双？」と聞くと「個人的なことなので」と答えてくれなかった。


今回のことから、一世だけでなく二世も街頭勧誘に多数動員されていることが判った。それだけ新たな信者獲得数が減っており、勧誘員もコマ不足になってきたということであろう。


大塚には、年間伝道数がゼロとなり、二世の教育施設に鞍替えしたビデオセンターもあるほどだ。


この後、ABF勧誘員グループは「中野へ移動」との任地変更指令が出て、新宿から姿を消した。



◆ヨハンも新宿で勧誘


JR新宿駅東南口改札前広場には、ヨハン早稲田キリスト教会の勧誘員5人が活動していた。

チャリティーバザーを名目に誘っている。

小さく英語でyohan waseda christ churchと印字されている

勧誘員に声を掛けた。

さっそくチャリティーバザーに誘ってくる。

勧誘員は「私はクリスチャンで～」と名乗った。

カトリック？と聞くと「プロテスタントです」と答えるのみ。教会名を問い質してようやく「ヨハン早稲田キリストチャーチ」ですと、ヨハンの名を出した。

相変わらず、ゴスペルに誘ったり、年に２回就職セミナーもおこなっているという。
年２回の就職セミナーは夏と冬におこなわれるユーコスタと呼ばれる宗教洗脳合宿への動員を目論んでのことであろう。

全員がヨハンの勧誘員だ

長らく統一教会偽装勧誘の独壇場だった新宿駅の南口～東南口は、ヨハン教会の参入で“群雄割拠”の状態となっている。