統一教会新宿教会長、“拉致監禁キャンペーン”取材の本紙記者を「ホントに困っている」と中高生二世信者に愚痴る



本紙記者に対する泣き言を10代の中高生女子
二世信者に愚痴った野添新宿教会長

30日午後、東京・高田馬場駅前のロータリー広場に於いて、統一教会（統一協会／世界基督教統一神霊協会）による“拉致監禁キャンペーン”演説がおこなわれた。

事前に情報を察知した記者は、現地へ取材に赴いた。
ビラ配りには10代の中高生女子の二世信者も動員され、二世信者に取材する記者を地区教会の教会長が遮り中高生女子信者に記者への泣き言を愚痴るという一幕もあった。


教団ぐるみでおこなってきた霊感商法や違法勧誘の問題に頬被りをして、逆に今までに4000人以上の信徒が「拉致監禁・強制改宗”された」と被害を主張している統一教会。

霊感商法などの違法行為への追及の矛先逸らしと教団内部の統制の手段としておこなわれているその“拉致監禁キャンペーン”に則り、自称“拉致監禁体験者”が体験談を語ることが、この日の遊説の主旨だ。

高田馬場駅ロータリーには『統一教会拉致監禁被害者』『私は拉致監禁されました』との襷を掛けた信者が集結しアベルの指示の下、それぞれの配置場所へビラ配りに散っていった。

演説者とビラ配布員
正体隠しの違法勧誘にかかわっていた信者も多く見受けられる

配布されたビラには、統一教会側の言い分をまんべんなく反映させたトンでもリポートを発表したHRWFのウィリー・フォートレ氏のセリフ吹き出し写真も刷られていた。

統一教会に利用され尽くすウィリー・フォートレ氏
自業自得か？

ビラ配りには10代の二世信者も動員されていた。


動員された10代の二世信者4人　屈託なくビラ配りに勤しむ
“純粋培養”され、教団の表の顔しか知らされていない

 中高生だという二世信者に話を訊いていると、新宿教会の野添教会長が慌てて駆け寄ってきた。
野添教会長は記者と話していた二世信者に「この人はね、エイト君といって、統一教会に大反対している人なのね。だからあんまり関係ないんだよね。もうね、ホンっトにね～困っているんです、この人にはね」と声を裏返させながら愚痴り始めた。野添教会長に「何が困っているんですか？」と訊いたが何も返答はなかった。“困っている”ことがあるなら直接記者に言えばいいものを、顔に似合わずなんとも内気な教会長である。教会長の気持ちを忖度すると、新宿教会の偽装施設【ファトス】【東京家庭アカデミー】や違法勧誘の実態を記者に暴かれ施設を閉鎖せざるを得なかったことを指して“困っている”とでも言いたかったのであろうか。

インターネットの情報は見ないという中高生二世信者、更には野添教会長の慌てぶりからも、情報統制に必死な様が伝わってきた。

ビラを受け取る人はごく僅か

学生グループと対照的な10代の二世信者
彼女らが教団の実態に気付く日は来るのだろうか

純潔デモでお馴染み、国際勝共連合の街宣車が登場

 純潔デモでも使われている勝共連合使い回しの街宣車から、青年部長と野添教会長が前フリ演説をおこなう。

元広島カープの衣笠似の野添教会長
後ろは青年部長

「統一教会の皆さん！頑張りましょー！」野添教会長の掛け声に、拳を突き上げ応える二世信者。

祖父母に連れられた少年信者も熱心に聴き入る。

 街宣車の屋根上には『私は拉致監禁されました』ととプリントされた襷を掛けた自称拉致監禁体験者が登場。

統一教会について「ぶっちゃけ余りいいイメージを持たれてない」「行き過ぎということがございまして、世間様にご迷惑をおかけしたこともあります」「民事裁判では連戦連敗」「もっと行き過ぎをやってしまって特定商取引法違反で逮捕されて罰金刑をくらっちゃた人もいる」「弁解の余地がない」「真摯に受け止め反省して社会のルールを守って世間様にご迷惑を掛けないようにしようと努力をしているところです」「定着してしまった良くないイメージはそんなに簡単に拭えるものではありません」との前置きの後、お決まりの拉致監禁話を始めた。

統一教会が齎し続けている多大な被害を単なる“イメージ”の問題だとでも言いたいのであろうか、実に都合の良いすり替えである。

続いて、もう一人自称拉致監禁体験者が街宣車の屋根に上った。終始、原稿を見ながらの演説で、感極まり泣き顔で話したかと思えば、しまいには教祖・文鮮明の宣伝が始まるなど、主旨が判らない内容だった。

最後に青年部長が「ジャーナリストの佐藤優さんの著書から、皆さんに統一教会の拉致監禁問題の文面を御紹介したいと思います」と話し、車内から女性信者が該当箇所を読み上げた。

佐藤優氏のこの著書については、本紙でも昨年1月の掲載記事【『論壇の雄』？『知の怪物』？、元外務省主任分析官の不見識』】で取り上げており、記事内で宗教問題に詳しい事情通の指摘として「「非常に問題のある記述で、統一教会に関する問題を、極めて一面的に捉え、矮小化した形で読者に提示していると言わざるをえない」と記載している。当該記事で懸念した通り、統一教会が盛んに佐藤氏の記述を利用している構図が見えた。

ちなみに街宣車内でナレーションを読み上げていたのも、街頭で正体隠しの違法勧誘活動をおこなっていた女性信者だった。

それにしてもこの青年部長は「宗教の自由の被害、人権の侵害問題を多くの方々に是非理解していただきたい！」と力説していたが、統一教会が組織的な違法勧誘により一般市民の信教の自由を侵害し多大な人権侵害をおこなってきたことについては何の言及もなかった。

教団が与えた被害は無視、教団信者が受けたと主張する“被害”のみ声高に喧伝する青年部長

信教の自由の侵害と人権侵害をおこなってきた教団が掲げる標語
実に性質の悪いジョークだ

通行人を捉まえるビラ配布信者

勧誘目的を隠しながら個人情報を訊き出す

ビラ配布に動員されていた信者は、殆どが街頭で違法勧誘に携わっていた勧誘員たちだ。彼らもまた正体隠しの違法勧誘により統一教会信者にさせられてきたという経緯がある。

記者は街宣車の演説者に対し「霊感商法については？」「組織的に違法勧誘をやってきたことについては？」「入信の経緯は？」と問い掛けたが、誰からも返答はなかった。

この日も通行人の対応は冷ややかで、無視する人が殆どだった。足を止めて聴き入る人は皆無であり、聴いているのは信者ばかりという状況だ。結局は内部統制の手段としての活動に過ぎないということである。

組織的に一般市民の人権侵害を繰り返してきたカルト団体が、いくら被害者面をして訴えてみても、社会的コンセンサスは決して得られるものではない。

「霊感商法の何が悪いんだ」と開き直り発言をしていた日本統一教会の梶栗玄太郎会長が今月26日に死去し、新会長には2009年の統一教会の霊感商法会社“新世”の摘発を受け組織的な霊感商法と違法勧誘の責任を信者に押し付ける“徳野声明”を出した徳野英治前会長が就任した。28日の梶栗会長の聖和式と翌29日の徳野新会長の就任式では、霊感商法の“首謀者”の一人と指摘される“コマンダー”古田元男・現国際宣教協会共同会長が登壇している。

旧態依然とした体制を持続させる自浄作用無きカルト教団、本気で自らの厚顔な主張がまかり通ると思っているとしたら誠におめでたい人たちである。