新歓期を迎えた東京大学で偽装勧誘が横行

各大学では、新1年生が入学し、サークルの新歓活動のシーズンを迎えている。こうした中、東京大学で偽装勧誘が横行している実態が明らかになった。東京大学は、カルトやそれに類する団体が、優秀な団体幹部候補生を求めて勧誘に力を入れてきた経緯があり、ここ数年でも、ヨハン早稲田キリスト教会や親鸞会、統一協会の活動が目撃されている。幸福の科学も、ここ数年、学園祭に出展するようになっており、本紙既報のとおり。

■学生サークルの連絡先が非学生の共産党職員！？

この春、東京大学で最も大々的に偽装勧誘に励んでいるのは、大方の予想とは異なり、宗教団体ではなかった。東京大学駒場キャンパスを訪れると、「みんせい」と署名の入った立派な立て看がいくつも置かれているのを目にすることが出来る。いずれも、数万円では効かないプロ用の有料フォントを使用しており、一見しても、学生サークルとしてはいささか豪華な看板である。

「みんせい」とは、正式名称を日本民主青年同盟といい、日本共産党を「相談相手」とする青年・学生の組織だ。これらの立て看板は、その東大駒場班のものであり、みんせい東大駒場班には、東大教養学部等に在学する民青同盟員が所属しているとされる。

しかし、これらの看板にはよく見ると不自然な点がある。他のサークルは、新歓担当者のフルネームや学部・学年、あるいは、学内の部室が明記してある。しかし、「みんせい」の看板に記されているのは、「西川」という名字だけであり、学部学年も明らかにされていない。また、新歓企画の会場として「部室」と書いてあるが、具体的な場所はこれまた伏せられている。

この「西川」というのはどういう人物なのであろうか。東京大学の学内事情に詳しい何ろく氏（東大大学院1年）は、こう説明する。

「西川氏は、その名を西川龍平氏といい、東大生ではありません。民青同盟の東京都委員長を務めていますが、もとは日本共産党東京都委員会青年学生部に所属する党職員です。2010年に東大文学部を卒業し14年現在、東大にはなんらの学籍を置いていないし、他大の学生でもない人物です」

学生からなるはずのサークルの連絡先に収まっているのが、学生ではないというのだ。それに、民青同盟は日本共産党をあくまで「相談相手」にしているだけで、あくまで青年・学生の自主的なサークルだと主張している（日本民主青年同盟「目的と規約」参照）。それでいながら対外的な連絡先がその日本共産党の職員になっているのは、何を意味するのだろうか。

最近では少なくとも2008年から、みんせいの連絡先氏名に共産党職員が収まっている。この間「みんせい東大駒場班」の連絡先を「務めた」のは、西川龍平氏を始め、椎野大輔氏、平野義尚氏（いずれも日本共産党東京都委員会青年学生部に所属する共産党職員）など3名にのぼる。しかも、西川龍平氏は、2010年以来2回目の「再登板」である。4年前の新歓担当者が再び出現するなどということは、学生のサークルとしてはありえない事態である。何ろく氏はこう話す。

「民青同盟は、政治や文化・科学などに関する学習会を多数開催し、新入生の知的好奇心に訴えてきます。しかし、ひとたび民青同盟に入れば、数ヶ月後には『日本共産党を知る会』が設定され、執拗な入党勧誘を受けることになります」

本紙が繰り返し報じているとおり、正体を隠した勧誘(偽装勧誘)が、対象者の自由意思を侵害するものであり違法であることは、統一協会に関係する裁判で認定されているところである。政党なら同じ事をやっても許されるなどということはあるはずがない。

また、学内には「東大9条の会」の立て看板も設置してあったが、この立て看板の裏面に連絡先として記してある人物も、関係筋によると学生共産党員だという。また、立て看板に使用されているフォントが民青同盟の立て看板と共通している。

■入学式会場前で正体を隠して出版物を配布する幸福の科学

4月11日、日本武道館(千代田区)で午前・午後の二回に分けて、東京大学の入学式が挙行された。この時、式典会場に向かう路上に現れたのが、「The Liberty」なる雑誌を無料配布する女性である。団体名などを名乗ることもなく、ただ黙々と「確実に売れるマイクロヒット戦略」と大書きされた「The Liberty」誌を東大新入生に配る女性。

ではこの「The Liberty」とはどのような雑誌なのだろうか。目次を見ると、「大川隆法　【未来へのメッセージ】『水平思考』を身につけるには」とあることがわかる。そう、「The Liberty」は、幸福の科学出版が発行する月刊誌なのだ。

当然、同誌を配布していた女性の正体は幸福の科学の勧誘員だとみられる。定価535円の雑誌を東大新入生に無料配布する彼らの思惑がどこにあるかは、推して測るべきであろう。なお、幸福の科学は、東大五月祭にも、「東大Happy Science」名義で出展予定である。

今後しばらくの間は、東大を始めとする主要大学で、親団体の存在をあいまいにしたフロント団体や正体隠しによる勧誘活動が活発化されることが予想される。本紙も、各大学にフロント団体を立ち上げて新入生に注意を呼びかけることを検討中だ。（参考本紙記事＝やや日刊カルト新聞社、予告通り大学での新聞配布を開始）

（東大DailyCult・特派員＝大東隆作）

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※記事中、西川氏と「9条の会」について情報を補足しました（2014年4月23日）