幸福の科学主催の花火大会で怒鳴られ脅され追い出された

7月26日、幸福の科学の総本山・那須精舎（栃木県）で「幸福花火祭」が開催されました。花火が打ち上がると会場には「UFOから宇宙人が見ているかもしれませんね」というオカルトなアナウンスが響き渡る、いつも通りの幸福の科学ぶり。そして、一般公開の花火大会でありながら現地に赴いた本紙・藤倉善郎主筆らを取り囲んで怒鳴り散らす辺りには、ふだん外から見ているだけではわからない異様な側面も。

■本紙主筆は早々に退去

総本山・那須精舎の「幸福花火祭」は、今年で5回目。今年は「総本山・那須精舎　開山十周年記念」にあたる花火祭。2012年は教団サイトで「7,700発」の花火が上がると告知されていましたが、翌年からはなぜか花火の数が告知されなくなり、今年も何発打ち上げられたのか不明です。

この花火大会を本紙・藤倉主筆が見に行ったのは、2年ぶり2度目（前回のリポートはこちら）。前回は何事もなく花火を堪能できた上に、教団がPR映像の中で使用した花火大会の映像に、ちゃっかり藤倉主筆が写り込んでいるというオマケもつきました。

しかし今年は、会場に到着し会場内の建物で用を足した直後に、スーツ姿や「ORハッピ」姿の職員らしき信者4～5人に取り囲まれました。

藤倉主筆を取り囲む職員らしき信者たち

「藤倉さんですよね」

──はい、そうです。

「出てもらえますか。ここはうちの敷地なんで。取材はお断りなんで」

──取材じゃなくて花火見に来ただけなんですが。

「敷地に入らないように言われてますんで」

──これは誰でも見られるイベントじゃないんですか。

「あなたはダメです」

──ぼくだけダメなんですか。

「そうです」

──日本中でぼくだけがダメなんですか。

「そうです」

──（ダメなのは）ぼくだけなんですね？

幸福の科学の公式サイトより（赤丸は本紙）

「お帰り下さい。トイレで声かけられたと怖がっているんです」

──誰がトイレで声をかけられたんですか？　ぼくはトイレで信者さんに声なんかかけてませんよ。

「信者さんは声をかけられたと思っています」

──思ってるだけですね。ぼくは声をかけてませんよ。それが（出ろという）理由じゃないの？

トイレ云々というのは、2012年に藤倉主筆が那須塩原のショッピングモール内の映画館で、幸福の科学学園の生徒に取材を試みようとした際のことと思われます。その映画館は、ロビーに面したところにトイレがあり、藤倉主筆がロビーで声をかけようとして近づくと生徒がトイレに入ってしまったり、トイレから出てきてすぐの場所にあるロビーの椅子に座った生徒に藤倉主筆が声をかけたりもしました。もちろん、トイレまで追いかけたなどという事実はありませんし、トイレの前で待ち構えたりもしていません。全て、ロビー内や映画館内、映画館の外のショッピングモール内での接触です。

しかし教団内では、これが「藤倉が女子生徒をトイレまで追いかけた」という話に変わり（そもそも男子生徒にも声をかけていたのですが）、どうやらいまは「トイレで声をかけた」に脳内変換されているようです。

「とにかく出て下さい。禁止になってますよね」

──だって、誰でも入れる公開のイベントでしょ？これ。

「見れません。出て下さい。地元の警察の方から、次に（藤倉が）来たら連絡してくださいと言われてるんですよ。連絡しましょうか？」

──いいですよ。また痴漢だとか言って警察呼ぶんですか？（尾行・通報・恫喝、幸福の科学学園報道の裏バトル参照）

「あなた、痴漢をしたことあるんですか？」

──ありませんよ。痴漢ではないのに、痴漢だとあなた方が警察に通報したんです。

「出て下さいっ！出て下さいっ！！！！！」

最後は、スーツ姿のメガネ信者が、顔面の肉を震わせながら怒鳴り始めました。しかし、一向に警察が来る様子はありません。

藤倉主筆は警察を待つのを諦め、駐車場に戻って車で那須精舎を後にしました。

■取り残された主筆の知人

気の毒なのは、この日、一緒に花火見物に来ていた藤倉主筆の知人・Aさん（41歳）です。藤倉主筆は、知人を会場に置き去りにしたまま、車で退去してしまったのです。

「だって、教団の人は、ぼく“だけ”は入場させないって言ってたから、AさんはOKってことなんだろうなと思って」（藤倉主筆）

帰る足を失ったAさんは、強制的に花火大会を最後まで見るしかなくなりました。

以下、Aさんによるリポートです。

■UFOから宇宙人も見ている花火大会？

チアダンス部のパフォーマンス

花火祭の会場は、中高年も多かったのですが、高校生くらいの若い世代の男女も目立ちました。幸福の科学学園の生徒たちでしょうか。

午後7時をまわり、辺りが薄暗くなってくると、元ゴルフ場だった敷地内の池のほとりにそびえ立つ金ピカの「大ストゥーパ」の前の広場で、幸福の科学学園のチアダンス部のパフォーマンスが始まりました。観客が立っているため、後ろの席はあまり見えず、隣に座っている、ご老人が文句をぽろり。

「立ってんじゃねえよ。最近の若い奴らは」

その後、「東山道三蔵よさこいチーム」のダンスもありましたが、こちらもよく見えず。旗だけがはためいているのを見ているだけでした。

パフォーマンスが終わると、男性の声でこんなアナウンスが流れます。

「大宇宙の根本仏、主エル・カンターレ、大川隆法総裁先生、本日は幸福花火祭をお許しくださり、誠にありがとうございます。主の御生誕の7の月に、手の栄光をたたえ、大輪の花火に託して、主への感謝とユートピア建設への誓いを捧げさせていただきます。主への祈り。主エル・カンターレよ。あらゆる光とあらゆる力とあらゆる知恵とあらゆる愛の根源の方よ。我らに光をお与え下さい……」

周りに立っている信者たちも、アナウンスに合わせて「主への祈り」をぶつぶつ唱えます。

これが終わると、元気な女性のアナウンス。

「第1部のテーマは『太陽の法』です！ 2000年、『太陽の法』はアニメーション映画として公開されました。本日は、そのテーマ曲とともに花火を打ち上げます。それではカウントダウンです。3・2・1点火！」

エル・カンターレ、マンセー！

花火の打ち上げが始まりました。

すぐ目の前の池から打ち上がる花火は、間近に見られるので、なかなか素晴らしいものでした。ただ、会場内のアナウンスで

「この花火祭も、はるか上空からUFOに乗って見ている宇宙人もいるかもしれませんね」

なんて言ってるのを聞くと、嫌でも「ああ、自分はいま、イカれたカルト宗教の中にいるんだな～」と実感せざるを得ませんでした。

■Aさんも信者に囲まれる

30分ほどで花火が終わると、金ピカの大ストゥーパの中を拝観します。信者たちがぞろぞろと中に入っていきます。

会場のアナウンスで、幸福の科学に入信する方法などを紹介していました。やはり、一般人が来ていることを前提としたイベントです。

大ストゥーパへのお参りを済ませて、敷地内の別の建物を見に行こうとすると、ハッピを着た信者に囲まれました。それまでも軽くマークされているなとは感じていましたが、ここからあからさまなつきまといに変わりました。

3～4人が周りを取り囲む形でついてきて、私がの歩みと同じスピードでついてくる。止まると止まる。

花火の打ち上げが始まる前、藤倉さんから

「追い出されました～。車ごと退去したので、帰りは信者の車でもヒッチハイクして出てきて下さい」

というメールが来ていました。本当に無茶なことを言う人です。信者に取り囲まれながらちょっとした大名行列状態になっている状況で、そんなことできるわけありません。そのまま徒歩で那須精舎を出ることにしました（花火祭会場から那須精舎の敷地を出て一般道に行くには、1kmほど距離があります）。

■教団施設の外でもつきまとい

周囲に一般信者の姿がなくなると、スーツ姿のメガネをかけた信者が、ほとんど怒鳴り声に近い口調で詰め寄ってきました。

「藤倉さんの知り合いの方ですよね!!」

──そうですけど。

「写真消してください!!」

すさまじい形相で怒鳴ってくるので、本気で怖くなりました。スマホの録音機能をオンにして、

「録音しますね。はい、さっきみたいにわあわあ言っていいですよ」

と言ってみました。すると、録音を始めた途端、メガネ信者もおとなしくなって、喚き散らさなくなりました。

それでも、写真を消せと言ってきます。

──なんでですか？

「取材はお断りなんです！」

──オレが取材で来ていると証明してくださいよ。オレは別にカルト新聞のライターとかじゃないし。

「藤倉さんの関係の方ですよね。カメラマンですよね」

──はあ？　カメラマンって、今度は職業差別？

「藤倉さんの関係なんですよね」

──知り合いだと言っただけですけど。

「カメラマンなんですよね！」

──カメラマンって言っても、ハムスターの写真集くらいしか出してないしなあ。

私はこの時、一眼レフを首からぶら下げていましたが、本職はカメラマンではありませんし、カルト新聞の記者でもありません。なのに、藤倉さんの知り合いだと言っただけで、幸福の科学の人は職業まで勝手に決めつけてきます。

「信者が藤倉さんにつけ回されて怖がってるんですよ！　怖くてピアノ教室に通えなくなった生徒もいるんですよ！」

──っていうかオレは藤倉さんじゃないし。

そのうち、ハッピ姿の信者が、タメ口で何か言ってきました。しかし私が「タメ口きいてんじゃねえぞコラ！」と怒鳴ると、彼はタメ口をやめて、「気をつけてくださいね～」などと言い、那須精舎の敷地を出てからは、街灯もほとんどない暗い道を歩く私の足元を懐中電灯で照らしてくれました。

写真を消せ、消さない、のやりとりが繰り返された後、信者は警察を呼ぶかのようなことも言っていました。私も

「警察行きましょうよ。それで解決するじゃないですか」

と言っていたのですが、彼らはいつまでたっても警察を呼んでくれません。

敷地を出た後も、幸福の科学信者数人に付きまとわれながら、真っ暗な道を、とぼとぼあてもなく歩き続けます。

■その頃、藤倉主筆は……

敷地外から見た花火

Aさんによるリポートはここまで。その頃、一方の藤倉主筆は、那須精舎から2kmほど離れた農道に車を止めて遊んでいました。山道をさまよい、敷地外からでも花火がよく見える場所にたどり着いていたのです。やはり花火を見に来た地元の農家のおじさんと出会いました。

──おじさんは、精舎の中で見ないんですか？

「いやあ、オレは行かねえよ。地元の若い連中は何人か行ってるみたいだけどな。あんたこそ、中に入って見りゃよかったのに」

──ぼくは幸福の科学を怒らせる記事を雑誌で書いたから、一般公開の花火大会だけどお前だけ入（い）れないと言われて追い出されたんです。

「はっはっは。そうかあ。まともそうに見せても、そういうところは、しょせん新興宗教だなあ」

──あそこの学園の中では、歴史の授業で“坂本龍馬の前世は劉備玄徳だ”なんて教えたり、幸福実現党を支持する政治教育をしたり、寮生活のルールを破った生徒を他の生徒から隔離して生活させたり、ひどいんですよ。でも、見事な花火だな～。幸福の科学、中はドロドロだけど花火は美しいですね～。

「いつもは花火がうるさくて眠れないから、今年は、どうせ眠れないならと思って見に来たけど、これは見事なもんだ」

──あ、ホタルもいるじゃないですか。

花火が終わった後も、しばらくのんびりホタルと戯れました。その頃、知人のAさんが信者たちに取り囲まれて怒鳴られているとも知らずに。

■A氏、生還

結局、Aさんは藤倉主筆に電話で連絡を取り、無事合流しました。Aさんが携帯電話で藤倉主筆に電話をかけ始めた途端、つきまとっていた信者たちは退散していました。警察を呼ばれたと勘違いでもしたのでしょうか。

Aさんにつきまとっていた信者たち

藤倉主筆がAさんを車に乗せて走りだすと、さきほどまでAさんにつきまとっていた信者の一群が那須精舎に向かって歩いているところに遭遇。藤倉主筆とAさんは、車のスピードを落として窓を開け、

「お疲れ様でした～」

と礼儀正しく挨拶をして、楽しい花火祭の会場を後にしました。

「幸福の科学って、バカなんですね。放っておけばいいのに、脅したりしたらかえって記事にされちゃうだろうに」（Aさん）

まったくもって、その通りになりました。