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2015年3月20日金曜日

【社説】地下鉄サリン20年、上祐氏の“文化人”化を許すな

上祐史浩氏
今日3月20日、あの地下鉄サリン事件から20年を迎えた。前年に起こった松本サリン事件と合わせると死傷者は約7000人。いまだに後遺症に苦しむ人々も多い。子供がオウムに入信してしまった親たちは、一連のオウム事件への罪の意識を抱えながら、いまだ戻らぬ子供たちの身を案じ続けている。オウム真理教の後継組織のひとつ「アレフ」は、教祖・麻原彰晃への回帰を強めていると言われ、反省に乏しい実態が比較的見えやすい。しかしアレフばかりに目を奪われて、上祐氏が“文化人”化していく状況を見逃してはならない。上祐氏もまた、後継団体「ひかりの輪」を存続させ、親元にも社会にも戻らない信者たちとともに群れているのだ。

■「被害者」をダシに自己正当化

ひかりの輪の上祐代表は、教団を率いる理由のひとつに、サリン被害者への賠償を挙げる。しかし賠償なら宗教団体でなくてもできる。宗教活動ではなく賠償を目的とした団体でもかまわないはずだ。この点について上祐氏は、2013年1月に本紙・藤倉主筆との対談(本紙主筆ら、元オウム・上祐史浩氏をいじる参照)で、こう述べている。

「それ可能だと思いますか? オウムに集まった人は宗教に関心があった。そして宗教で失敗して、それを乗り越える新しいものに脱皮していくのをまとめるのが私の限界。オウム信者が賠償だけのためにまとまれるか。彼らはみんな被害者だと思っています」

「宗教」による動機づけがなければ賠償などしない。上祐氏が標榜する、オウム事件を反省しオウムを超越する宗教団体の実情は、そんなものだ。その宗教団体の存続の口実に、「被害者への賠償」が利用されている。

上祐氏のこの発言は、東京・新宿のライブハウス「ロフトプラスワン」でのイベントの一幕だ。このイベントの休憩時間に「サイン会」を行っていた上祐氏に、観客から批判的な声があがった。

上祐氏にサインをねだるなんて、どうかしている
「サインというのは一般に、芸能人とか作家とか、やましいことがない人が書くのが自然なので、それをやっているのが正直わからなかったんです。会場の人も、どういう気持でサインを受け取っていたんでしょうか」

上祐氏は、ここでも「被害者の賠償」を口実にした。

「署名することで(自分の著書の)販売を促進して、被害者への賠償になればという気持ちでやっていますが、そういった印象を抱かれる方もいらっしゃると思いますので、今後、やり方、その他考えながらやっていきたいと思います」

私は数年前、上祐氏へのインタビューについて、ひかりの輪の広報担当者から

「取材謝礼の出ない取材は受けない」

と断られている。理由は、またまた「被害者への賠償のため」だ。

上祐氏にインタビューした雑誌の関係者に尋ねると、ひかりの輪から同様のことを言われ数万円の謝礼を支払ったという。しかし入金は、オウム真理教犯罪被害者支援機構宛ではなく、ひかりの輪宛だ。

知人のフリーライターは、上祐氏から無料でインタビューを受けてもらった同業者もいると語る。

一連の事件を総括し同じ過ちを繰り返さないためになどと語ってメディアに登場するテロ集団の元スポークスマン・上祐氏が、好みのメディアや書き手を選別するために「被害者への賠償」を口実としているのだしたら、とんでもない話だ。

■宗教学者まで上祐氏を持ち上げる

この上祐氏を持ち上げる人々がいる。上祐氏のウェブサイト内の「識者・著名人の声」には、田原総一郎氏(ジャーナリスト)、大田俊寛氏(宗教学者)、鈴木邦男氏(「一水会」最高顧問)、平野悠氏(ロフトプロジェクト代表)による、好意的評価の弁が並ぶ。

中でも深刻なのは、大田俊寛氏だ。

3月18日、大田氏は「高橋克也被告裁判・証言草稿──地下鉄サリン事件20年に際して」なる文書を公表した。この中で大田氏は、かつてオウム真理教を詳細した中沢新一氏や島田裕巳氏などを批判し、こう書いている。

〈私はこの場をお借りし、過去の宗教学がオウム真理教に対して判断を誤ったことを認め、一人の宗教学者として、深く謝罪の意を表したいと思います。誠に申し訳ありませんでした。〉

しかしその大田氏自身、前述のように上祐氏を持ち上げ、上祐氏の宣伝に利用されている。口先で謝罪して見せたところで、やっていることは20年以上前の宗教学者たちと大差がない。いやむしろ、当時の宗教学者を批判していながら同じことをしているのだから、もっと始末が悪い。

■上祐氏は“嘘つき”で罪に問われた人

ジャーナリストの青沼陽一郎氏は、上祐氏の証言に頼ったNHKの番組を批判した際、こう書いている。

〈上祐という人は偽証罪すなわち〝嘘つき〟で罪に問われた人です。肝心のことを追及せずに、どこまで本当のことを語っているといえるでしょうか。発言者に寄り添い過ぎていて、信憑性の確認に欠くものです。〉(青沼陽一郎氏「是々非々にて候。」より)

〈しかも、サリンプラント建設の当初の責任者は上祐氏本人であったことは認めていますが、その他にも、当時東京・亀戸にあった亀戸道場で炭疽菌を大量培養して最上階の噴霧装置からこれを一斉散布しようとした計画の責任者は上祐氏でした。これがのちに亀戸異臭騒動となって、大騒ぎになります。〉(同)

こんな犯罪組織やその幹部が、「被害者への賠償」を口実に組織を存続させる。その上、「21世紀のための宗教の革新--新しい宗教の創造」(上祐史浩オフィシャルサイトより)などと大風呂敷を広げる。まさに「どの面下げて」だ。

今年2月21日には、テレビ朝日が特集番組『オウム 20年目の真実』を放送した。上祐氏の証言を軸として、オウム事件の経過をまとめる内容だ。番組は、オウム残党を集めた分派宗教団体であるひかりの輪を「宗教哲学を学ぶ教室」という言葉で紹介した。公安調査庁のレポートを根拠にアレフの危険性に言及したが、公安調査庁が「上祐派」についても同様に危険視していることには触れなかった。ただ観察処分の対象になっている事実を示しただけだ。

上祐氏の証言に載った番組作りをするばかりか、視聴者に向けて、上祐氏や「ひかりの輪」が既に禊(みそぎ)を済ませた存在であるかのようにアピールした。テレビ朝日が思想的に上祐氏を支持しているのではなく、自らの番組に協力してくれた上祐氏への配慮か、あるいは自らの番組内容に説得力を与えるために上祐氏を「まともな人物」として見せたかったのだろう。

しかしどのみち、偏った情報によって不必要に上祐氏を持ち上げた事実に変わりはない。

■20年という時間は、何だったのか

本来、アレフはもとよりひかりの輪も、即刻解散すべきだ。それが実現していないのは、アレフやひかりの輪のみならず社会の側の責任でもある。

きちんと仕事につく能力を持っているオウム信者ですら、会社にバレれば職を失いかねない恐怖を常に抱えている。脱会して「元」信者となっても、それは変わらない。「元」信者なのに、一時、自治体に住民票を受理してもらえず生活保護を受けられないでいたケースもある。

被害者への賠償どころか、自身の生活すらままならない。社会の側の受け入れ体制の不備だ。単純にオウムを敵視・危険視するだけでは、何も解決しない。

ひかりの輪は設立当時、自立できない信者の生活の維持も設立理由の一つとして公言した。社会の不備の改善を訴えるのではなく、それを団体存続の理由として活用しているのだ。

「オウム真理教は日本社会が作り出したもの」

オウム事件以降、そんな趣旨の言葉を時折耳にしてきた。そしていま、テロ集団の元スポークスマンが文化人面して残党の宗教団体を存続している。状況を作り出しているのは、相変わらずこの日本社会だ。

地下鉄サリン事件から20年。これだけの時間がありながら、この社会は何も進歩していない。進歩したのは、日本社会の体たらくに便乗する「文化人・上祐史浩」の処世術くらいだろう。

ひかりの輪の解散は、すぐに実現し得ない机上の理想論かもしれない。しかし、せめて上祐氏を持ち上げる風潮は改めるべきではないか。

20 件のコメント:

  1. ミキプルーン真理教とズバリ真理教に注意

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  2. ひかりの輪がなかったら会員のほとんどはアレフに残ってただろうし、そうでなくとも元オウムということで職につけず生活保護を受けたりホームレスに陥っていたのでは。
    そんな状況で自発的に被害者賠償する人なんてほとんどいないだろう。

    一方、被害者は現実問題として医療介護、生活のためのお金が必要なのは事実。

    上祐は自分で自分を文化人だと言っているわけでもないし、ひかりの輪で上祐を崇拝の対象とさせているわけでもない。
    そういう意味ではオウムやアレフのような宗教とは種類が異なるのも事実だろう。

    ひかりの輪が取材の謝礼や書籍の売上げから被害者賠償しているのだから、謝礼の支払い先が直接被害者支援機構宛である必要もない。

    上祐を批判するのは良いが、やみくもに批判すれば良いというものでもないな。

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  3. 自分から上祐にサインねだって記念写真まで撮ってるような奴が「ど の 面 下 げ て」こんな記事書いてるんだ藤倉?

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  4. 自分が無料で取材してもらえなかったひがみに見受けられる。

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  5. 彼らだって人間。犯罪者であれなんであれ食わなきゃ生きていけない。取材謝礼なら全部賠償に回したらそれこそどうやって食っていけば良いのかね?擁護するわけではないが、この記事書いた人はそんな事も思わないでかきなぐっているのですか?

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  6. コメント欄に同意。

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  7. もしも、刑務所から麻原教祖が出所したら、世界は不安と恐怖に襲われるのに、法の華三法行の福永法源が、刑務所から出所し、教団(現在は天華の救済)に復帰し、通常の業務を行っている?というのに、世間は興味が無いのでしょうか?週刊新潮くらいしかネタにしていませんね。
    ここは、カルト新聞様にスクープ「法の華の今」を書いて頂きたいものです。
    もちろん、福永法源の近況写真つき。

    天華の救済 宇宙・みらいグループ
    〒140-0002
    東京都品川区東品川4丁目8-8
    新幹ビル3階
    代表電話:03-5782-8077(9:00~19:00)
    FAX:03-5782-8078

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  8. 批判するなら「氏」とか付けるのやめたらどうかいな。
    「上祐」でいいでしょ。

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  9. 中途半端なんだよな。

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  10. 宗教、イデオロギー対立の最終解決手段は皆殺し。
    古くは島原の乱とか。
    オウム側もかつて殺し合いの域に入った。
    日本国の側は同じことをやるわけにいかない。
    どんな形であれ、皆殺し以外の方法は
    中途半端でストレスのあるものにならざるを得ない。

    原発事故と同じで、今後も苦痛を分担していくしかないですね。

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  11. 中国は法輪功の信者を強制収容所に送って殺している。
    それは全体主義でありカルト的行為の上塗り。

    元オウム信者。
    単に皆殺しが許されないだけでなく
    自殺や暴走に追い込んでもいけない。
    処刑と同じことだから。

    そしたら元信者を束ねる穏当な指導者
    というのは必要になるんじゃないか?
    で、元信者の信頼を得られる人間は限られる。
    もちろん監視は必要だけど。

    忘れてはいけないけど
    段階を踏んで許していかないと終わらない。
    日韓の歴史問題とか。

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  12. >元信者の信頼を得られる人間は限られる。

    そういうことなんだよな。

    仮に藤倉が元信者をまとめようとしたって全然無理なわけで。

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  13. コテハン紹介


    幸福の科学の工作員

    ポチ・・・・人生後ろ向き(本人確認済み)

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  14. 「オウム対策住民協議会」の受け売りでしょうか・・・・。

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  15. 個人的に気にくわないだけだろこれ。

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    1. >2015年3月22日 11:23
      藤倉さんを叩いているのですか?
      法華経を信じ南無妙法蓮華経と唱えてください

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  16. ひかりの輪はオウム分派であり現役オウムであるので解散は当たり前である。

    上祐は麻原「尊師」の次に偉い「正大師」という最高幹部だから代表であり、オウムの位階を踏襲している。

    高橋さん、浅川さんたち遺族被害者は解散を求めており賠償は言い訳でしかない。

    上祐は何の反省もなくオウム分派ひかりの輪のことしか考えず遺族被害者に謝罪拒否し会おうとしない。

    カナリヤの会と仏教界で元信者の面倒は十分に見れる。

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  17. ジャップキラー2015年4月17日 3:59

    ネトウヨみたく犯罪者は死ぬまでゆるすなー内心の自由も認めないーって発想の持ち主なんですねわかります
    じょうゆうのオウム後継組織への批判は続けていくべきだし再び凶悪犯罪や信者を苦しませないか監視はしていくべきだろうがじょうゆう個人としてなら何をやろうが勝手だろ
    じょうゆうの周りの連中もきなくさいブサヨやポストモダン()の馬鹿学者様ばかりではあるが
    そんなくさい連中でもどんな過激派でも過酷な集金や殺人でなければ活動は自由にすべきだしやましいところがあるからサインするなとかキチガイ道徳保守右翼かよ

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  18. 坂本弁護士は「他人を不幸にする自由はありません」と言ってオウムに殺されました。
    坂本事件を反省したら、ひかりの輪は解散して当たり前です。

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  19. 現役オウム分派ひかりの輪

    http://www3.hp-ez.com/hp/aum

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