フジテレビが「あの教団の“今”」として統一教会・家庭連合の合同結婚式の舞台裏を放送「また教団側の言い分を垂れ流すのでは」と懸念も

フジテレビが12月17日に放送する番組『FNN重大ニュース 大追跡×総決算SP』で、統一教会・家庭連合について取り上げることが判った。
1年半前、フジテレビは同教団の一方的な主張を放送し批判を受けたことがあり、カルト問題に取り組む識者からは懸念の声が上がっている。
本紙は、その際の教団内部文書を入手。そこにはフジテレビが同教団に対し「取材」ではなく「撮影協力」を「要請」し、教団に好意的な放送内容となることを伝えていたと窺わせる内容が記されていた。
今回の放送に際し、信者に配信された公文と合わせ公開する。

◆「合同結婚式の舞台裏」

そして、以下がフジテレビのサイトにUPされた今回の番組の内容だ。

【FNN重大ニュース 大追跡×総決算SP 2017年12月17日】FNN重大ニュース 大追跡×総決算SP

命を狙われ…消えた“北の後継者候補”の行方を知る人物に極秘接触！桜田淳子氏復帰で再注目あの教団の“今”を激撮。今年一番ブレイクしたあの人と生中継！

放送内容詳細
今年起きたニュースをFNNが総力を挙げて大追跡！
各地で相次いだ動物出没トラブル＆クマ騒動…冬眠しない？実態を追うと意外な事実が判明！
街のトラブル…嵐のたびに破壊される悲劇の家から生中継。
桜田淳子氏が舞台復帰で再び注目を浴びたあの宗教団体の合同結婚式は今も行われていた！その舞台裏を取材。
金正男殺害事件のその日に起きていた知られざる事件と姿を消した息子の行方を追った！そして今年最もブレイクしたあの芸能人と生中継。宮根誠司との“因縁”を語る！

◆教団の宣伝を報じた“前科”あり

フジテレビは昨年5月、夕方のニュース番組『スーパーニュース』内の特集コーナー『シュザイブ』で教団側の一方的な主張を垂れ流した“前科”がある。

以下は同番組で放映されたジャーナリストの中村竜太郎（一部ナレーション）と同教団の徳野英治会長のやり取りだ。

中村「信者からどのようにお金を集めているのか？」
徳野「信者の皆様の信仰心に基づく感謝献金　これが何といっても収入源であります」

中村「かつては組織的な献金ノルマはあったのか？」
徳野「それはないです　それはないです」
中村「霊感商法的なことは現在ないのか？」
徳野「現在　信者さんによる霊石販売というのはございません」
ナレーション「過去には宗教団体であることを隠した勧誘手法が裁判で違法と判断されたこともありました」
徳野「行き過ぎた面とか不適切な部分で社会の誤解を招くことがあったことは事実です」

中村竜太郎氏の突っ込み不足もあるが、同教団では年間300億円の献金ノルマがあるのもかかわらず徳野会長の“嘘”をそのまま放送してしまったことは問題だ。


◆「撮影協力」を「要請」
 シュザイブの放送に際に教団広報局（当時）から信者へ配信された内部文書を入手した。

「フジテレビから特集番組制作のための要請があり、教団として了承し、撮影に協力してまいりました」
「今回の17分の特集番組には、教団に対して批判的な、過去の映像も一部入ります。しかし、全体的には、現在の教団の取り組みや、酷使合家庭の姿を紹介する内容と予想されます」
 とある。
文書の内容から、フジテレビが同教団の起こしてきた社会問題について追及する意図を持って取材したとは思えない節が窺える。

◆今回も内部文書が漏洩
そして、今回の放送に先立って教団内では信者に対し広報文化局の加藤局長から以下の公文が配信された。

【統一教会・家庭連合　公文 2017年12月1？日】
12月17日（日）午後4時から、フジテレビ（全国フジテレビ放送網）系の報道番組で、「家庭連合」が取り上げられることになりました。
今年９月に韓国で開催された「2017天宙祝福式」の様子などが放送される予定です。
つきましては、12月17日の礼拝の際に告知するなど、多くの教会員の皆様にご覧いただけるようご案内ください。
尚、報道機関における情報の公正性・中立性の立場から報道されますのでご承知おきください。
広報文化局　加藤誠也　（佐藤　進　代送）

《告知内容》
✻番組放送日程：12月17日（日）16:00～
✻番組名：FNN重大ニュース 大追跡×総決算SP
✻放送内容
「命を狙われ…消えた“北の後継者候補”の行方を知る人物に極秘接触！桜田淳子氏復帰で再注目あの教団の“今”を激撮。今年一番ブレイクしたあの人と生中継！」
✻番組案内のリンク
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/171217fnnnews/

フジテレビが「報道機関における情報の公正性・中立性の立場から報道」するのかどうかが注目される。

◆2世問題に触れるかがポイント
同教団の問題を継続して取材してきた本紙主筆でジャーナリストの鈴木エイトはこう語る。
「現在も同教団によって数億円規模の被害に遭っている被害者は存在している。また借金して献金するよう強要されている信者の存在も多数報告されている。教団が組織ぐるみで行ってきた偽装勧誘からの教化、霊感商法などの体質は、現在も本質なところでは改善されていない。メディアはカルト教団の宣伝に迎合するのではなく、このような被害の実態を含め『教団の今』を正確に伝えるべきである。合同結婚式を取材したフジテレビが、どこまで2世問題を含む同教団の諸問題について触れるかがポイントだ」