フジテレビ『あの教団の“今”を激撮』を検証、撮影優先で突っ込み不足か

フジテレビ『FNN重大ニュース 大追跡×総決算SP』

17日、フジテレビが放送した『FNN重大ニュース 大追跡×総決算SP』で 「桜田淳子氏復帰で再注目あの教団の“今”を激撮」「桜田淳子氏が舞台復帰で再び注目を浴びたあの宗教団体の合同結婚式は今も行われていた！その舞台裏を取材」として統一教会・家庭連合に関する特集が流れた。
しかし、識者が懸念した通り 、撮影を優先するあまり肝心の教団による社会問題を追及するという観点から見ると、物足りないものだった。

◆2世信者取材には広報責任者が常に帯同か
VTRにはベナン共和国の女性信者とマッチングされた2世信者が登場。「ベナン共和国で教団のボランティアに参加」と紹介された2世男性信者だが、本紙で報じた通り、ベナンでの同教団ボランティア団体『ココナッツの会』は伝道目的を隠匿し現地で活動している偽装ボランティア組織だ。

2世参加の偽装ボランティア

合同結婚式に参加する2世信者への取材撮影映像を観ると、教団広報責任者の加藤誠也広報文化局長がつきっきりだったことが判る。つまり全て教団のお膳立ての上での取材というわけだ。

2世信者を取材するカメラに映る教団広報の加藤局長

◆全国弁連会見や 日韓トンネルにも言及
荒唐無稽な日韓トンネルについての取材映像や、直近の数億円の金銭被害を訴える被害者の存在について言及する全国弁連（全国霊感商法対策弁護士連絡会）の記者会見の映像も流れた他、正体隠し勧誘について触れる場面もあった。

2億円の被害に遭った被害者について触れる場面も

◆徳野会長の「嘘発言」が流れる
霊感商法や正体隠し勧誘について問われた教団の徳野英治会長が、教団ぐるみで行なってきたのにもかかわらず、その責任を信者になすりつけたり、正体隠し伝道＆教化についてごまかすやりとりも流れた。教団の指示で霊感商法を行なってきた信者は徳野会長の弁明を聴いてどう感じただろうか。

偽装勧誘についても指摘

霊感商法について問われると・・・

真っ赤なウソを吐く徳野会長

教団ぐるみで信者に行わせていた霊感商法なのに

教団の保身のため、信者に責任をなすりつける

平然と嘘を吐く徳野会長

偽装勧誘～教化についてもごまかし「コンプライアンス」を強調する徳野会長

全然、認めていないのだが・・・

◆教義に裏付けされた不法行為
過去も現在もそしてこれからも教団が「過ち」を認めることはない。何故なら教団内では「万物復帰」などの教義に基づき霊感商法や偽装勧誘を正当化しているからだ。教団は「天法（神の理）は地法（一般社会の法律）に勝り優先される」と信者に徹底して刷り込んでおり「財産を収奪することによって相手を永遠の命へ導く」とされているため、その影響下にある信者は勧誘時や霊感商法の過程で嘘を吐いても何ら罪悪感を覚えることはない。法律軽視の教団が主張する「コンプライアンス（法令遵守）」など、2009年の霊感商法会社・新世の摘発に慌てて掲げたスローガンに過ぎないのだ。

◆本紙主筆が一刀両断
 同教団の実情に詳しい本紙・鈴木エイト主筆は語る。
「フジテレビが2億円規模の被害を訴える被害者の存在や偽装勧誘に触れたことは評価できるが、霊感商法について『一部の信者が～』とナレーションを入れるなど事実誤認箇所が多々見られた。霊感商法や偽装勧誘が教団によって組織ぐるみで行なれてきたということは、元信者の証言などからも周知の事実。撮影を優先するあまり、ツッコミ不足になったという印象。相手の吐く嘘に対し、追及する材料を持っていなかったのではないか。教団トップへの直当て取材というせっかくの機会に際して準備不足であったことは否めない。2世信者についても、2世が政治利用されている勝共UNITEの問題などに触れていないのは致問題だ。全体として1年半前の同局スーパーニュースの『シュザイブ』よりはましだったが、ジャーナリズムという観点で見ると社会問題を起こし続けている教団を追及できておらず期待外れ。『あの教団の“今”』を正確に指摘できているとは言えない内容だった。もし私が徳野会長に直当て取材できていれば、教団の吐く嘘を暴けたと思う」

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