幸福の科学施設が統廃合で1割減！ 衰退をウォッチする写真祭りスタート

ELBISプロジェクトのウェブサイト

昨年末から幸福の科学の教団施設が立て続けに統廃合されている。これを受け、幸福の科学脱会者やジャーナリストによって、教団施設の情報を集約し統廃合状況を把握するための「ELBISプロジェクト」がスタートした。1月11日にウェブサイトを開設し、ネット上で広く情報を募集する。サイト開設記念として「閉鎖支部写真コンテスト」の作品募集も開始した。


「ELBISプロジェクト」は、幸福の科学に批判的な現役信者や元信者、ジャーナリストがやや日刊カルト新聞社の協力のもとで始めた、教団施設情報のデータベース化プロジェクト。教団の公式サイトに掲載されている施設一覧と独自の情報を組み合わせて、施設の統廃合（BAN）などの動きの捕捉を目指す。「ELBIS」は「El Cantare BAN Information System」の略。幸福の科学が教団内で運用している信者管理データベース「El Cantare Information System（ELIS）」をパクったものだという。サイト開設以前から秘密裏に準備されていたようだ。

11日に公開されたウェブサイト「暫定版ELBISプロジェクト」は、時期ごとに教団サイトから採取した施設一覧データのほか、独自に調査した非公開施設や宗教法人以外の関連団体の施設なども一覧で掲載。それらをマップにした全国地図のPDFファイルやGoogleマップデータも配信しており、施設数の変遷の統計や、注目施設の紹介コーナーもある。

ELBISプロジェクトより

同サイトによると、昨年12月17日から28日までの間に、幸福の科学は教団サイトに掲載されていた497施設のうち1割近い39施設が統廃合した。その後もこまめに統廃合が発表され、今年1月11日時点では44減の453施設にまで減少している。

理由ははっきりしないが、Twitter上での信者の投稿や関係者が語るところでは、「財政難によるコスト削減」説が有力視されている。

都道府県別で最多の東京都には、統廃合開始前の時点で51施設を有していたが、統廃合により1月11日時点では45施設に。これまで学生信者の活動に力を入れてきた教団が、「東大黎明拠点」（文京区）を閉鎖。「ヤング・ブッダ渋谷精舎」（渋谷区）、「早稲田学生拠点」（新宿区）といった学生信者のための施設をそれぞれ「渋谷精舎」「早稲田拠点」に改称し、学生活動に特化しない通常の教団施設に変えた。単なる施設数削減ではなく、活動分野の「合理化」のように見えなくもない。

幸福の科学では、公表する施設をグレードによって「精舎」「支部精舎」「支部」「その他」の4種類に分けている。精舎が最も格上で、「正心館」等の大型施設はこれに含まれ、支部精舎、支部が続く。「その他」は、学生信者向け施設や、「拠点」と呼ばれる常駐スタッフがいない小規模施設だ。

2015年に閉鎖された山梨東部支部

このうち現在、統廃合が進められている主なものは「支部」で、全国207施設が172施設へと35減している。多くは、教団自前の土地建物ではなく賃貸で開設されていた支部と思われる。今後、施設数の減少に加え、教団が自前の資産を切り崩す施設整理に踏み切るのかどうかも注目される。

プロジェクトメンバーの一人、やや日刊カルト新聞社の藤倉善郎総裁は、「施設の統廃合は、新たな“2世問題”につながりかねない」と指摘する。

「施設の統廃合は、支部長などの教団職員のポストの減少を意味する。幸福の科学では2019年から、大学として認可されず無認可の信者養成機関として開設されたハッピー・サイエンス・ユニバーシティ（HSU）（1期生は260名）からの卒業生が出始める。一切の学歴にも職歴にもならない宗教施設で4年間を過ごした若い信者（多くは高卒の2世信者と思われる）の一般企業や官公庁への就職は難しいだろう。しかし教団が規模を縮小し始めた以上、職にあぶれた彼ら全てを教団職員として召し抱えることもままならないだろう。施設の統廃合は、2世信者を含め若い信者の将来をいままで以上に困難なものにする可能性がある。いま現在HSUに入ることを検討している若手信者は、この現実をしっかり見据えた上で進路を考えたほうがいい」

なお、ELBISプロジェクトでは、サイト開設を記念して「閉鎖支部写真コンテスト」をスタート。閉鎖支部に関する写真と情報の提供を広く一般に呼びかけている。プロジェクト関係者の名を冠した複数の賞を予定しており、受賞者には高画質「若い日のエル・カンターレ」像写真データ（やや日刊カルト新聞社総裁賞）や教団の秘蔵資料データ（アルゴラブ賞）など、豪華賞品が贈られる。

前出の藤倉総裁は、こう語る。

「全国に施設を乱立させてきた幸福の科学が統廃合に踏み切るのは、教団の歴史上、大きな転換。今後もさらに統廃合が進むことが予想されるが、こうして情報を整理する動きが出ると、教団が公式サイトで支部の統廃合を発表しなくなる可能性もある。全国各地の教団施設の開設や稼働状況について現地で確認することが重要で、そのためには全国の皆さんからの情報提供が欠かせない。ぜひ、情報をお寄せください」

写真コンテストの応募は6月30日まで。daily.cult@gmail.com（やや日刊カルト新聞社内ELBISプロジェクト係）宛のメールか、Twitter上でハッシュタグ「#精舎へ行こう #幸福の科学」を付けて投稿することで応募できる。

同プロジェクトでは、蓄積した情報を雑誌『Bansweek（バンズウィーク日本版）』の別冊としてキンドル版と紙版で発行する予定。写真コンテスト受賞者には同誌の紙版も贈呈される予定だ。