文春記事で窮地の統一協会、文藝春秋本社前で連日の抗議デモ

統一協会（統一教会）が週刊誌の記事に反発、発行した大手出版社に対して連日抗議デモをおこなっている。出版社の正門と通用門、そして最寄りの駅前などで横断幕を張り大声で叫ぶ信者、周辺ではビラ配布要員の信者も配置している。
週刊誌発売日の翌日、記事で組織の内幕を暴かれ慌てた統一教会松濤本部は、家庭教育局の名で首都圏の成和部の教育担当者に説明会を開催、内部統制に追われた。
統一協会は記事を書いた週刊誌記者を糾弾する文章を公式HPに掲載し、出版社に抗議文を送付、そして信者を動員して抗議デモをおこなった。抗議デモのリーダーからは、日本の信者全員が断食をしているとの発言も飛び出した。週刊誌発売から抗議デモまで、その一連の流れを追った。


◆週刊文春記事

　今月1日発売の週刊文春の記事“統一教会　日本から「4900億円送金リスト」を独占入手”で、数々の内部事情を晒された統一協会（統一教会）。
翌2日、二世を抱える祝福家庭に動揺が拡がるのを惧れた松濤本部は急遽成和部関係者を集め説明会を開いた。家庭教育局の名で首都圏（第3、第5、第6地区）の地区長、事務局長、総務部長、成和部関係者に対し説明会の案内を流し、説明会では成和部（青年～子女）教育担当者へ記事に対する本部の見解を大嶋副本部長が説明し、質疑応答もおこなわれたようだ。

【案内文　2011年09月01日】

案内文

To:首都圏（３、５、６ＪＫ）ＪＫ長、事務局長、総務部長、成和部関係者

From:家庭教育局

題目:『週刊文春』の記事に対する説明会の開催案内

御聖恩感謝申し上げます。
本日９月１日発刊された『週刊文春』の統一教会記事に対する本部の見解を大嶋副本部長より説明して頂きます。　
急ではありますが、大変重要な内容となりますので、ご参加下さるよう宜しくお願い申し上げます。


記

１．趣旨：『週刊文春』記事に対する本部見解の説明と質疑応答
２．日時：９月２日（金）１４時受付　
１４時３０分～１５時３０分
３．場所：松濤本部２階礼拝堂
４．参加対象：成和部（青年～子女）教育担当者

◆抗議文掲載～デモ

　翌3日、統一協会は公式HPに於いて、記事を書いた週刊文春の石井記者を糾弾する文章を“お知らせ”に掲載し文藝春秋社に抗議文を送付した。そして一日置いた5日、公式HPにその抗議文を載せ、文藝春秋本社にデモを掛けたという流れだ。

　5日の統一協会公式HPには、デモの様子を撮影した画像がUPされている。横断幕を持つ信者の中には普段街頭で偽装勧誘を行っている信者の姿も確認できる。

　文藝春秋本社に午後3時ごろ現れたデモ隊は、約1時間半、正門・通用門及び最寄りの麹町駅前で“週刊文春「捏造・歪曲」報道を糾弾する”と書かれた横断幕を張り、信者が一人ずつ演説した。韓国語で演説をしたとの目撃情報もあったが、統一協会本部広報によると、この日の抗議デモは全員日本人で韓国人はおらず信者の発す言葉が聴き取りづらく韓国語に聴こえたのではないか？とのことだった
　配布したビラの内容は3日の公式HPの“お知らせ”の前半箇所と同じものだ。


　YOU TUBEに5日の抗議デモの様子がUPされていた。

　青年信者が主体のデモ隊は、リーダーと思しき壮年信者が「献金も喜んでやってます」と発言、二世の女性信者が半泣きで叫ぶ姿が“痛々しい”。

　5日の公式HPの“お知らせ”によると「抗議行動は、文芸春秋社から誠意ある対応が行われるまで、明日以降も継続される予定です」と記載されている。

◆無許可で道路使用

　所轄の麹町警察署に問い合わせたが、警備課にデモの届けも交通課に道路使用許可の申請もされておらず“無許可”とのことだった。

◆統一協会広報に問い合わせ。「エイトかぁ～」

　取材のため、6日の抗議デモの時間を訊くため当日朝、統一協会広報に問い合わせた。電話口の男性に用件を伝えると「お待ちください」と言われたが、保留音が鳴らず電話口の向こうで「エイトかぁ～」と澤田氏らしき声が聞こえた。記者からの電話は統一協会松濤本部ではあまり歓迎されていないようだ。直後、電話口に出た澤田氏は快く「正確な時間を確認して携帯に掛けます」とのことだった。数分後、新人広報局員で彼が街頭での手相勧誘員時代から親しくしているO君から電話があり「上に聞いたら“教えられない”とのことでした」とのこと。“上”とは誰か質すと「局長です」とのこと。
　統一協会のデモを取材する外部メディアは“やや日刊カルト新聞”だけだが、情報を伝えないということは抗議デモを拡く知ってほしいというより、やはり内部向けに「抗議しました！」という事実を作りたいだけなのか？と取られても仕方ないだろう。

◆“勝手な断食デモ”決行！？

　抗議デモの時間は訊き出せなかったが取り敢えず、13時前に麹町に行った。丁度抗議デモがおこなわれていた。ビラ配布に数人の男性青年信者と壮婦信者がいる他は、老若男女が入り混じった9人の信者が文芸春秋本社通用門前に並び、横断幕を手にシュプレヒコールを上げていた。韓国人の信者も数人確認できた。
　横断幕には“「謝罪」掲載まで無期限リレー断食決行！！”、各信者の襷には“週刊文春が歪曲報道”“抗議の断食決行中！！”と書かれている。

　抗議デモの映像を撮影した。衝撃（笑撃）の映像を前編・後編２回に分けて公開する。撮影と信者への質問は記者がおこなっている。

【やや日刊カルトTV】　2011.9.6統一協会（統一教会）、文芸春秋本社前で“断食”抗議デモ（前編）


【やや日刊カルトTV】　2011.9.6統一協会（統一教会）、文芸春秋本社前で“断食”抗議デモ（後編）



　過剰な被害者意識を植え付けられている信者は、自らが所属し帰依する組織が多大な被害を日本に齎してきたことには考えが及ばないようである。　
　熱弁を揮う抗議デモのリーダー（右）と断食を誇る老年信者（左）
　リーダーは「砂漠での40日断食、その水も摂らない勝手な・・・、曾ての40日断食を継承する正当な～」と演説。今回の支離滅裂な謝罪要求に絡めた断食は文字通り“勝手な断食デモ”と云える。　

　デモ取材恒例、記者を撮影する信者

　リーダーの壮年信者によると、３日前から日本にいる全食口が２４時間水以外は摂らない完全断食をしているそうだ。配布ビラの裏を見ると統一協会がしきりに喧伝する被災地ボランティア組織“U-PEACE”のメンバーが輪になって食事をしている写真が掲載されている。
　日本の全信者が断食決行中とのことだが、せめて彼らや成長期の二世・三世信者には食事を与えてもらいたいものだ。

　通用門前での演説を終え、移動するデモ隊。
　正門前を通るデモ隊。文芸春秋側も警戒を強める　文藝春秋側は正門と通用門に警備員を配置し、厳重な警戒態勢を敷いていた。記者も当初、取材中に統一協会関係者と間違われ「敷地に入らないで！出てください！」と注意を受けたほどだ。

◆“やや日”にも抗議デモ予告！？

　“韓日祝福”で日本人男性と結婚して日本に住んでいるというデモ参加者の壮婦信者に話しかけられた。記者に「ハッピーです」と語った韓国人壮婦信者は「日刊カルテ新聞？カルト？」「読んでみます」「いい記事にしてくださいね、また悪い記事にしたら前へ行ってやりますからね」と釘を刺した。

　正門前は横断幕を向けるのみで素通りし、公園へと消えていくデモ隊。

◆東亜日報襲撃事件

　韓国では2006年8月、“東亜日報襲撃事件”が起こっている。これは雑誌“新東亜”に、清平の役事など統一協会の行事に記者が潜入取材して脱会者の証言などの批判記事が掲載されたことに韓国人信者が反発、雑誌記者に殺人予告メールを送り脅迫した上、約800人が東亜日報新聞社に押し入り朝8時30分から午後5時まで占拠した事件。その際、韓国人信者たちはガラスを割り、社員に怪我を負わせるなど狼藉を働き恐喝・脅迫・業務妨害で東亜日報新聞社から告発された。

◆信者から暴力被害も　

　統一協会信者は“平和を愛する”穏やかな信者ばかりではない。記者は過去に統一協会信者から殴られたことがある。9年前、渋谷にあった統一協会のダミー施設で印鑑販売会社“新世”の経理担当者Kは、後の裁判で有罪判決を受けた古澤部長と話す記者に対し文句を付け、拳で記者の顔面を殴りつけた。「あ、やばい。やめろ！」と叫ぶ古澤部長の声に全速力で逃げるK。何故か殴った方が渋谷駅周辺を逃げ回る。一旦取り押さえ組み伏せた記者に対しKは下からまた記者の顔面を殴りつけ逃走。死に物狂い、全速力で逃走するk、通行人を巻き込む惧れがあり追跡を断念した。渋谷警察に届けたが、Kは逮捕されるのを警戒し半年間姿を見せなかった。
“新世事件”で運良く逮捕を免れたk。開運印鑑の御利益か？　

　当時、渋谷では別の信者から「拉致してやろうか？俺たちは怖いぞ」と脅されたこともあった。

　数年前には、秋葉原で偽装勧誘を阻止した際に男性信者に上着を引き裂されたこともあった。
　新宿では勧誘阻止に立腹した女性信者が記者の腕にパンチ、いずれも現行犯で私人逮捕した。現行犯逮捕できた場合は即座に警察に通報し、厳重注意を受けさせてきた。

　記者は身を持って一部の統一協会信者には暴力体質があることを体感してきた。

◆週刊ポストには“泣き女”同伴の抗議

　抗議デモの継続を宣言した統一協会、日本でも韓国東亜日報の様に襲撃事件が起こる惧れはないのか？

　統一協会が週刊誌を発行した出版社に抗議デモをおこなったのは今回が初めてではない。2010年6月9日の統一協会公式HPの“お知らせ”『週刊ポスト』(小学館）に対し抗議デモによると、小学館に対してもデモを敢行している。

　その週刊ポストの関係者から、以下のコメントをもらった。

「うちもいま統一協会に訴えられているけど、その記事を載せたとき、うちにも統一協会がデモをかけてきましたよ。デモが来たな～と思って見ていたら、幹部と女性信者が抗議文持って社内に入ってきたので、応接室で対応しました。そしたら、女性信者が『こんな記事が載ったら、私の信仰が家族に理解されなくなる』と言って、もうわんわん泣くんですよ。で、女性信者が泣いてみせてから、幹部が抗議文を手渡してきた。“泣き女”同伴の抗議でした」

　どうやら日本国内での抗議は“泣き女”レベルのようだが、20年前の幸福の科学による講談社FRIDAY事件の例もある。
　抗議デモを今後も継続するという統一協会、この“嫌がらせデモ”が業務妨害を引き起こさないか危惧されることろだ。