幸福の科学学園問題でフリーライターらが会見＝滋賀県

幸福の科学学園の実態を報じた記事をめぐる裁判で『週刊新潮』側の勝訴が確定したことに関連して3月2日、記事の執筆者であるフリーライターの男性（41歳）が滋賀県庁内で地元住民と合同で記者会見を行いました。フリーライターの男性は「記事は学園那須本校の違法性を指摘したものだが、裁判が行われている間に開校した関西校も同じ学校法人が運営するものだ」などとして、大津市内にある同学園の関西校についても疑問を投げかけました。



■県は違法な学園に公金を拠出するのか

会見するフリーライター

本紙既報の通り、『週刊新潮』の記事について幸福の科学学園が１億円の損害賠償などを求めていた裁判は、『週刊新潮』と執筆者のフリーライター・藤倉善郎氏の勝訴が確定しています（幸福の科学学園裁判、新潮社側の勝訴が確定＝最高裁が上告不受理）。この記事は、幸福の科学学園那須本校で、歴史などの一般的な教科でも霊言を元にした内容の授業が行われていることや、幸福実現党を支持する政治教育が行われていること、寮生活のルールを破った生徒に対して常軌を逸した懲罰が行われていたことを指摘する内容でした。

記者会見では藤倉氏が、学園那須本校で教師が霊言に基づく授業を行っていたことを示す生徒のメモ、違法な政治教育が行われたことを示す授業プリント、生徒の懲罰の実態を示す学園側の資料などを配布。さらに、学校法人幸福の科学学園が大学設置認可申請の過程で文部科学省職員を脅したとされる件に言及したほか、学園創設者の大川隆法氏自身が不公正な入試が行われていることを告白している映像も上映。これらを踏まえて関西校について懸念を表明しました。

「学園の違法性を指摘した記事の正しさが裁判で認められたということは、つまり違法な学園だということ。裁判以外の場でも、この学校法人自体に法律や常識を守ろうという意識がないことが明らかで、関西校も同じ学校法人が運営している。また大川氏自身が不公正な入試の存在に言及した発言は、関西校に関するもの。勝訴が確定した記事は那須本校についてのものだが、関西校についても同様の問題がある可能性がある」（藤倉氏）

また栃木県や滋賀県が学園に対して年間1億円前後の私学助成を行っていることにも触れ、「違法な学園について実態調査もせずにこのような大金を支出しているのは疑問」「卒業生の8割が進学・就職を放棄して教団に入るような信者養成機関への助成は、政教分離原則上も問題があるのではないか」と語りました。

学園那須本校での違法な政治教育の存在を示す授業プリント

■地元住民「学園に大きく裏切られた」

住民側からは、地元「仰木の里まちづくり連合会」の副代表が出席。関西校開校の計画が判明した当初から住民側は「学園用地の地盤の安全性」「地域連携の欠如」「学園の教育内容」の3点について懸念してきたとし、『週刊新潮』の記事をめぐる裁判等で明らかになった学園の実態について、こう語りました。

「公教育を担おうとする団体である学校法人が“組織として”活動されている中で、このようなことが短期間に繰り返されることには、正直、疑問を感じます。学園の関係者は、私たちに対して「安心してください」と当初はしきりに言っておりましたので、正直、大きく裏切られたと感じております」

住民側は、『週刊新潮』側の勝訴確定を受けて、学園に対して地元への説明を求める要望書を送ったものの、未だに回答はないとのことです。滋賀県知事や県の担当部局に対しても今後、学園の認可プロセスの再検証や学校運営への指導・監督を行うよう求めていくとしています。

■越市長への抗議声明を提出

地盤の危険性が指摘されながら開校した関西校

地元住民は、関西校の敷地の地盤に地すべりの危険があるとして、本来必要な「開発許可」ではなく、より簡易な手続きの「建築確認」での建設工事を認めた大津市を相手取って大津地裁に提訴し、現在も係争中です。

その裁判で先だって、被告の大津市側がひた隠しにしてきたボーリング調査結果のデータが開示されました。その数値が、地盤の危険性を訴える住民側が独自に入手して示した数値とほぼ一致するものであることから、住民側は、会見当日に越直美市長宛の抗議声明を大津市に提出しました。

抗議声明では、大津市がこうしたデータを速やかに開示しなかったために「原告らは無用な訴訟対応を迫られた上に、訴訟は著しく遅延した」と指摘。「市民の生命・身体・財産に対する安全を軽視してきた姿勢」であるとして、越市長に謝罪と改善を求めています。

この抗議声明も、会見の席でメディアに配布されました。

■地元住民は報道より前から指摘していた

大川隆法氏の問題発言の証拠を示すフリーライター

会見後、藤倉氏は本紙の取材に対して、こう語りました。

「閉鎖的な学校の実態について独自に取材し報じるのは地元メディアでも難しいかもしれないが、今日の会見で、学園の教育内容の問題性は認識してもらえたと思う。状況に応じて地元メディアがスムーズに動けるよう、今後も情報提供を惜しまない」

また今回、地元住民との合同会見となったことについては、こう語ります。

「地元住民たちは『週刊新潮』に記事が載るより2年も前から、幸福の科学や宗教に対する漠然とした不安や嫌悪感ではなく、地盤、地域連携、教育内容といった極めて具体的な問題を指摘する活動に取り組んできた。地域の問題について、報道よりも先んじた運動がきちんと地元で行われていることを示したかった。『週刊新潮』の勝訴は、地元住民の問題意識が間違っていなかったということでもある。滋賀県や大津市には、こうした地元の声に真摯に耳を傾けてもらいたい」