藤倉善郎被告、2年ぶりの法廷へ 幸福の科学の一般公開施設への取材めぐり

藤倉被告が立ち入った一般公開施設「初転法輪記念館」

　幸福の科学の一般公開施設に取材に入ったことが建造物侵入罪にあたるとして、2021年に有罪判決を受けた藤倉善郎被告の控訴審公判が、5月10日に東京高裁で開かれる。一審を含め、同被告の公判は2年ぶり8度目。取材・報道の自由をめぐる裁判の行方が注目される。

　藤倉被告は2018年1月17日、幸福の科学教祖の故・大川隆法氏が教団設立語始めての説法会を行った場所として保存されている「初転法輪記念館」に取材に入った。幸福の科学の施設は「どなたでも自由に参拝できます」として一般公開されていたが、教団は藤倉被告については立入禁止であるとして、警察に被害届を提出。藤倉被告は起訴され、2021年3月15日に東京地裁が罰金10万円、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。

一審で有罪判決を受けた際の藤倉被告

　紀藤正樹弁護士を団長とする弁護団は、一審判決が取材という目的の正当性などを十分に考慮していないなどの理由で控訴。追加の証拠作成等のため、二審の公判まで2年2カ月という異例の時間を要した。

　この間、ジャーナリストによる取材をめぐる2つの建造物侵入事件が、不起訴処分となっている。

菅原一秀・元経産相

　藤倉被告の一審判決から2カ月後の2021年6月。取材のため旭川医大に立ち入った北海道新聞の記者が建造物侵入容疑で逮捕され、翌2022年4月、不起訴処分に。その2カ月後の6月には、2019年に菅原一秀衆議院議員（当時＝後に辞職し、公選法違反で有罪となり公民権停止中）側から建造物侵入罪として刑事告訴されていたジャーナリストの鈴木エイト氏と藤倉被告が、すでに不起訴になっていたことが判明した。

　菅原氏の事件は、事務所に取材を申し入れに行き中で待つよう促されたにも関わらず菅原氏側が刑事告訴したもの。取材への妨害や報復を意図した、事実上の虚偽告訴だ。

　宗教団体への取材の重要性を再認識させられる出来事も続いた。

　昨年7月、安倍晋三元首相が殺害。これを受けて政治家と統一教会との関わりが注目され、長年取材を積み重ねてきた鈴木氏が多くのメディアに登場するようになる。著書『自民党の統一教会汚染　追跡3000日』（小学館）は現在、大宅壮一ノンフィクション賞にノミネートされている。また大川隆法氏が今年3月2日に死去したものの、1カ月以上経っても教団が公表しない中、藤倉被告が大川氏の死亡届提出をスクープした。

　『ジャーナリズムと建造物侵入罪』（やや日ブックレット1）の著書がある建造物侵入罪評論家の藤倉善郎氏は、今回の裁判を「取材・報道の自由をめぐる注目裁判」と位置づける。

「今回の事件では、過去に批判的な記事を書いたことを理由に教団が被告人を立入禁止とし、警察に教団職員が一般公開施設に立ち入った被告人について教団職員が〝藤倉氏とわかったので退去させた〟と虚偽の供述を行った。実際には、教団職員はその場で立ち入りを容認しており、被告人自身が自主的に施設から退去するという〝穏当な訪問〟だった。教団による被害届自体が、取材を萎縮させることを目的としたSLAPP的なものだ。これがまかり通るなら、宗教団体が一般の人々を巻き込む窓口である一般公開の施設やイベントの取材もできなくなる」

　高裁の判断が注目される。

◇控訴審開廷情報

東京高裁429号法廷

5月10日（水）　15:40～

15:00から3番交付所で傍聴券抽選（裁判所ウェブサイト）

◇裁判費用のカンパ受付

幸福の科学取材で刑事被告人にされた藤倉善郎氏を支える会（幸藤会）

ゆうちょ銀行　〇一八支店（店番０１８）

普通　口座番号　９２２９７３４

あるいは

１０１４０－９２２９７３４

藤倉善郎氏を支える会

フジクラヨシロウシヲササエルカイ

追記：傍聴券抽選情報を追加しました（5月8日10:37）