幸福の科学学園問題で大津市建築審査会が月末にも結論

3月1日に行われた建築審査会の公開口頭審理

滋賀県大津市の仰木の里学区に建設中の「幸福の科学学園関西校（中学・高校）」について、地元住民が地盤の案税制に疑問があるなどとして建築確認の取消しを求めている件について、大津市建築審査会が5月30日にも結論を出す見通しです。地元では、幸福の科学学園問題に消極的だった自治連合会会長が3月の会長選挙で落選し、学園建設反対派が新会長に就任。すでに市や県に対して建設反対の意見を表明しているほか、5月16日には連合会役員と越直美市長と会談し、地盤の安全性に関して専門家も交えた協議の場を設置することで合意しています。


仰木の里学区で2013年の開校に向けて建設中「幸福の科学関西校」をめぐっては、本紙既報の通り、昨年12月に仰木の里の住民を中心とした大津市民8331人が市建築審査会に対して建築確認処分の取消請求を行なっていました。建設予定地の地盤が脆弱で地滑り等の危険があることが最大の理由です。また今年3月1日に行われた建築審査会の公開口頭審理の際には、住民側の代理人弁護士から、建築確認の申請図面に記載された土地の掘削面積が工事実態と一致せず、法令で定められた一定面積を超えていることから、建築確認申請そのものが違法だと指摘もなされています。

建築審査会は今月末にも最終審理を行い、30日には裁決を出す見通し。月末から6月初旬には結果が住民に伝えられます。住民側は、結果次第では行政訴訟を起こすことも視野に入れている反面、当初3月中に予定されていた建築審査会の結論が5月末に先延ばしされたことについて、住民側は「ボーリングデータや現地の状況などについて、より突っ込んだ審査がなされるということだと受け止めている」と手応えを示しています。

住民が建築審査会に審査請求を行なって以降、地元の情勢に大きな変化がありました。3月4日に行われた、仰木の里学区の自治連合会の会長選挙で、それまで15年間会長を務めた松村勝氏が落選。学園建設への反対活動に関わってきた野田幸夫氏が新会長に当選しました。松村氏は2010年に幸福の科学学園が仰木の里で大規模な土地購入を決めた際、その事実を知りながら住民ら事実を隠し、本紙の取材に対してウソをつきまくる（なぜかウソ連発の自治連合会長＝大津市・幸福の科学学園問題）など、不自然な行動・言動をとってきており、地元住民の多くが学園建設に反対しているにもかかわらず自治連合会は幸福の科学学園問題について積極的に取り組もうとしませんでした。

しかし反対派が自治連合会会長に就任すると、連合会は4月18日、滋賀県と大津市に対して学園建設反対の意向を表明。学園建設反対へと大きく舵を切り、これまで反対活動をしてきた、連合会被加盟自治会を中心とした「仰木の里まちづくり連合協議会」と足並みを揃える形となりました。

また大津市では、今年1月22日に行われた市長選挙で、越直美氏が現職を破り当選。越市長は、5月16日に自治連合会の新会長を含む役員らと会談し、地盤の安全性について専門家を交えた協議の場を設置することで合意しました。これによって、建設予定地の安全性をめぐる議論に建築審査会とは別の動きも加わることになりそうです。

建築審査会の結論は、現時点では予想できませんが、仮に建築確認の取り消しが認められると、すでに工事が始まっている学園建設は中断され、学園側が訴訟を起こすなり、「開発許可」等、建築確認よりも厳しい手続きを改めて行う必要が出てきます。幸福の科学学園が、予定通り2013年に開校するためには、校舎を完成させた後に滋賀県私学審査会の認可を得る必要がありますが、後者の建設工事が中断した場合には、このスケジュールに重大な狂いが生じかねません。

また幸福の科学は、千葉県長生村での大学（1学年240人）の開校予定を1年前倒しして2015年として発表しています。しかし大津市での幸福の科学学園関西校の開校が遅れれば、大学の入学者数も影響が出る可能性もあります。

幸福の科学の「教育事業」そのものを左右しかねないだけに、大津市建築審査会の結論が注目されます。