統一教会“放置”の国を訴えた元信者、弁連全国集会で教団の組織的違法行為と“デタラメ”ルポライターを糾弾！

脱会者から「これほど変な人がいるのかと驚いた」
と指摘された“ルポライター”米本和広氏

7日午後、都内で全国霊感商法対策弁護士連絡会の全国集会が開催された。

教祖の死去を受けての統一教会（統一協会／世界基督教統一神霊協会）内外の動きなどの基調報告の他、各地の弁護団からの報告、元信者の体験談、ゲスト講師の講演、韓国の宗教者・弁護士との懇談などがおこなわれた。

統一教会元信者の女性の体験談の中では、教団の組織ぐるみの違法行為や隠蔽工作が赤裸々に語られ、この女性のプライバシーを侵害しデマを書いた統一教会関係紙やルポライターについて烈しく糾弾する場面もあった。


◆第56回弁連全国集会

集会では、基調報告として東京事務局の渡辺博弁護士から各地での訴訟の概要の他、教祖の死後も金集めに奔走する教団の実態や跡目争いに言及がなされた。
福岡や札幌での高額判決について、それぞれ大神周一弁護士と郷路征記弁護士から報告がなされた。札幌判決報告については原告団の女性が当事者として語る時間も設けられた。

各地で進行中または結審した統一教会・神世界・高島易断など各カルト団体が関する裁判についても全国の弁護士から報告があった。

立教大学の香山リカ教授は講演「『だまし』に負けない心理学」をおこない、家族会は取り組み状況が発表、韓国でカルト対策に取り組む宗教者・弁護士との懇談もあった。

壇上で挨拶した有田芳生参議院議員は、マスコミの一線で活動する若い記者の中にオウムや統一教会の問題を知らない世代が多くなってきたと触れ、記者や本紙藤倉主筆が継続してカルト問題を追っていることについて評価した。

また、山口貴士弁護士からICSAの報告があり、記者も最近のカルト勧誘の実態について話した。


◆元信者の体験談で、統一教会の組織的違法行為が明らかに


今回の全国集会では、違法行為をおこなう教団を放置してきた責任を国に問う訴訟を提起した統一教会脱会者の女性が体験談を話した。

2001年に渋谷で正体隠しの勧誘に遭った女性は宗教団体であることを隠されたまま通教、合宿を経て信者となり、都内の偽装施設や販売代理店で偽装勧誘や霊感商法にかかわってきたという。

女性が信者時代に販売させられていた霊感商法グッズの
主力商品“水晶の置物”四体で600万円

鑑定士役とタワー長と呼ばれる責任者・補佐役などが結託して、ある社長夫人から4億円を巻き上げたり、身体の弱い30代女性から1.5億～2億円を献金させた話や資産額によって偽装施設を振り分けたやり方など、組織的におこなわれて来た霊感商法の実態をその当事者として語った。
更に代理店にいた頃には夜中2時3時まで働かされ、“蕩減”が高いとされる韓国人牧会者からローソクで叩かれたり、蹴られるなどしたことも明かされた。

また2009年2月に統一教会の印鑑販売会社“新世”が摘発を受けた際には、夜中に関係書類などを薬品で溶かしたりホーム（合宿所）の裏庭に埋めて隠すなど隠蔽工作にかかわり、また「いつ自分が逮捕されてしまうかもしれない」と怯えていたことも話した。

彼女の話からは、勧誘された側である被害者が勧誘する側に回り加害者となる構図と、“因縁から解放されるため”にやっていたことがいつの間にか“神のため”にすり替わっていたことなど統一教会が施すマインドコントロールの狡猾さも垣間見えた。


◆脱会後も統一教会系新聞とルポライタ―から被害


親から話し合いたいとの申し出を受け、勧誘された当初からずっと抱いてきた“疑念”と向き合った女性は脱会を決意、「こんな酷い団体を放置してきた」国の責任を問う訴訟を自分の意思で提起した。

また、2010年11月に脱会届を出した後、統一教会系新聞・世界日報が顔写真を勝手に掲載、フルネームが英訳版に掲載され、更にそれが転載されたことについて弁護士が削除要請をおこなってもなかなか削除しないなどの酷いプライバシー侵害と受けたと話した。

ルポライターの米本和広氏について女性は「米本というジャーナリストに至っては、私が提訴すると、ブログに個人情報を勝手に載せた上、きちんとした取材もせずに、拉致監禁被害者、依存症と勝手に決めつけた、これでよくジャーナリストを名乗れる」「不正確で独断と偏見による悪意に満ちた見解を延々と書き連ねられた」と受けた被害を語った。
国への提訴について米本氏が書き連ねたデマと憶測についても「全く何を言っているのか？これほど変な人がいるのかと驚いた」「こんな会ったこともない顔も知らない人からこんな嫌がらせを受けなくてはいけないのか」「事実に反するコメントを延々と書かれた」「米本氏が私について書いていることは、細部に至るまで全て恐ろしいほどデタラメ」「不正確」「勝手な憶測」「こんな無神経なことを書くと呆れる」と糾弾、そして「統一教会を辞めたことによってやっと自分の意思で考えて検討して判断して行動する自由を取り戻すことができた。だからこそ裁判を起こした」と教団に考える力を奪われていたことを明かし、米本氏の一連の記述を「このようなデタラメは心外」と斬って捨てた。


◆国の責任を問う訴訟を提起


女性は、統一教会が組織の金儲けのために信者を道具としてコマとして使ってきたことに憤りを感じるとし、酷使され自由意思を奪われて受けた労働被害などについて損害賠償を求めるとともに、人の弱み悩みにつけ込む手口や被害者を加害者にさせる手口など卑劣さ悪質さも酷いとし「被害の過程や内容が何十年も全く同じだと判りショックを受けた」「同じ被害を受けている被害者が多くいる」「こんな酷い団体を放置してきた国の責任を問うために提訴した」と、裁判を起こした動機について話した。

そして質疑応答の際に質問に答える形で、自分ひとりだけの力では脱会に至らなかったとして親やカウンセラーへの感謝を口にし、こんな酷い団体を辞めることができて幸せと語った。


この女性が提起した国の責任を問う裁判、初回は9月24日10時45分から東京地方裁判所で原告の意見陳述がおこなわれる。
本紙ではこの裁判について、密着取材をおこなう予定だ。