教祖の“葬儀” 持参金は「アバウトな感じ、絶対という感じじゃなく」と青年信者

吉祥寺シアター前、信者に貰ったサイダー

教祖の死去を受けて、末端の信者はどのような思いでいるのか。そのリサーチのため統一協会（統一教会）の青年部ビデオセンターを訪ねた。

そこで出会った青年信者から、興味深い話を聞くことができた。


◆吉祥寺【Original Garden】移転、婦人部施設に


記者は昨日、吉祥寺へ行く機会があり、そのついでに統一協会武蔵野教会の青年部ビデオセンター【Original Garden】を訪ねてみることにした。

土足エリアが拡がった旧Original Garden

2年前にOriginal Gardenから受講生を救出した際に、施設の所長とトラブルになった経緯があったのだが、その時以来の訪問だった。

昨日の教祖の死去を受けての信者の様子を尋ねる意図だったのだが、Original Gardenは移転しており婦人部施設が新たに入居、所長も不在だった。

事務室には壮婦の姿、Original Gardenは婦人部ビデオセンターになっていた

事務室奥に積まれた段ボール箱の上に
置かれていたのは教祖夫妻の写真

中に居た壮婦に尋ねると、所長の携帯電話に掛けてくれた。壮婦の携帯電話を借り所長と話した。残念ながらOriginal Gardenの移転先については教えてくれなかった。

◆青年信者が搬入作業

Original Gardenが入っていたテナント箇所は婦人部施設の開設のために家具などが運び込まれており、武蔵野教会の男性青年信者3人が搬入作業をしていた。

１BOX車から積荷を搬出する青年信者

3人のうち一人は街頭で「手相の勉強」「青年意識調査アンケート」などの偽装勧誘をしていた信者で、勧誘阻止活動をしていた記者とは面識がある。その信者に話しかけたがリアクションは返ってこない。
武蔵野教会が属する西東京教区は統一協会の中で最も記者に対するアレルギーが強い地区だ。

黙々と搬入作業をする信者たち。

暑い中、大変そうだったので作業を手伝うことにした。

結構な量だ

素っ気ない態度を取り続ける信者は、施設入り口に荷物を降ろした記者に「中に入らないで」と釘を刺す。


搬入する荷物は、椅子、テレビ、パソコン、モニター、暖房機、扇風機、キャビネット、カラーボックス、パーテイションそして水晶の置物など様々だ。

段ボールに包（くる）まれた妙に重い荷物が・・・

上から見ると・・・・、アレ？これは・・・

統一協会ビデオセンターの定番、紫水晶の置物だ
割らないよう慎重に運んだ

手分けして運び、終始素っ気ない態度だった信者に最後の荷物を手渡して「じゃあ帰るね」と声を掛けると、彼は「ありがとうございました」と言葉を掛けてくれた。


◆心優しき青年信者


表に出て帰ろうとすると、別の若手信者が道路向かいの自販機へ走っていった。彼はドリンクを2本買い、うち1本を記者に「暑い中すみません」と手渡してくれた。
このような心優しい信者の存在が、記者がカルト問題にかかわり続ける理由のひとつだ。


この若手信者に話を訊くことができた。

──教祖が亡くなって皆どんな感じ？落ち込んでる？それとも「来る時が来た」みたいな感じかな？

「それもありますね。ただ、最近の自分のような者はなかなか直接会ったりとか・・・（会ったことは）ありますけど、先輩の人たちとは違うので・・・」

──人によって受け止め方が違うと？

「ちょっと、遠くは感じますよねやっぱり」

──韓国へ弔問に行く人も結構居るのかな？

「自分も行こうとしているのですが、チケットが取れなくて」

──一人12万円の弔慰金が要るとか

「ご焼香じゃないですけど・・・」

──香典代みたいな感じ？

「まあ、ただアバウトな感じですよね、絶対という感じじゃなくて」


ドリンクの礼を言って、帰途に付いた。爽やかな好青年だった。

青年信者から手渡されたサイダー

この10年、カルト問題にかかわってきたが、数々の問題を起こしてきた悪名高き教団と彼のような好青年信者とのギャップを常に感じてきた。
そんな好青年だからこそ、カルト団体に誘い込まれてしまったとも云える。

教祖の死という重大な転機を迎えた信者たち、その思いは各信者によって微妙な差異があるようだ。