幸福の科学“エル・カンターレ祭”中継を本紙記者ではない誰かが拝聴

主催者発表では入場者数5500人（公式サイトより）

12月5日、幸福の科学による毎年恒例の「エル・カンターレ祭」の一環として、教祖・大川隆法総裁による大講演会が東京国際フォーラム（東京・千代田区）で開催されました。例年は非信者も入場可能な1万数千人から2万人を動員してきた大講演会ですが、今回は信者と限られたメディアなどのみで入場者数は5千数百人。会場入口では「中国対策」と称して客の荷物をチェックするなど、ものものしい秘密イベントになりました。本紙主筆と本紙記者ではない誰かたちからのタレコミを元にリポートします。


■“出入禁止”vs“記者全員クビ”

「エル・カンターレ祭」は、幸福の科学の教祖にして本尊であり、地球最高神にして宇宙の根本仏であり、古代ギリシャの神・ヘルメスの生まれ変わりにして再誕の仏陀であり、09年の衆議院議員選挙に立候補して落選した大川隆法総裁を「エル・カンターレ」という名の神として称える祭りで、例年12月に開催されます。昨年は本紙でも、記者たちが入場して大川総裁のお話を拝聴して内容を報じたほか、藤倉善郎主筆がカノジョ（現在の妻）と「エル・カンターレ祭デート」をするなどして楽しみました。

しかし今年は、藤倉主筆が『週刊新潮』で幸福の科学学園の宗教教育・政治教育・懲罰制度の問題を報じたことが原因で、本紙記者が全員、教団の施設とイベント会場全てで出入禁止に。これでは記者たちが「エル・カンターレ祭」の本会場どころか衛星中継会場（全国の教団施設）にも入れないことから、本紙は記者たちの「信教の自由」を守るため、藤倉主筆を除く副代表と記者全員をクビに。教団に対して露骨に「出入禁止でも行くぞ」と意思表示しながら、双方、緊張の「エル・カンターレ祭」当日を迎えました。

■主筆は宇都宮で撃沈

まずは、本紙唯一の記者である藤倉主筆。本会場である東京国際フォーラムへの入場を早々に諦めて、地方の教団施設を攻めます。宇都宮市内にある幸福の科学「未来館」です。この施設については1996年、建設計画に反対する地元の「住民の会」会長の弁護士に対して、幸福の科学が名誉毀損などを理由に1億円もの支払いを求めて東京地裁に提訴しました。しかし結局、幸福の科学側が「話し合いを持った結果、誤解であったことが理解できたため」という理由で提訴を取り下げました。

地元でもいわくつきの「未来館」に「エル・カンターレ祭」当日の12月5日、本紙・藤倉主筆はアポなしで衛星中継を拝聴しに行きました。駐車場には自家用車が10台ほど止まっています。信者たちが集まってきているようです。

玄関を入って、受付に行きました。

藤倉「ここで大講演会の中継を拝聴できるとうかがったんですが」

女性「えっと……どちらから……」

藤倉「会員ではないんですが、講演を拝聴したくて」

女性「えっと……お名前を……」

藤倉「藤倉といいます」

女性「えっ!?　あ……ちょっとお待ちください」

女性は受付の奥の事務所にすっ飛んで行きました。藤倉の名を聞いただけでこの反応。「出入禁止」の通達はきちんと地方の施設にも周知徹底されているようです。事務所から別の女性が出てきました。

女性「今日はちょっと……」

藤倉「講演会の中継は会員限定なんですか？」

女性「はい、そうなんです」

公式サイトで一般公開を謳っておきながら、平気でウソをつく信者。つづいて職員とおぼしきスーツ姿の男性が出てきました。

男性「入場はお断りしますので、お引き取り願えますか」

藤倉「誰でも入れると聞いたんですが、信者限定なんですか」

男性「いえ、そうではなくて、藤倉さんはお断りなんです」

主よ、頑張ったけどダメでした

藤倉「“藤倉”って言っただけで、よくわかりましたね。手配書でも回ってるんですか」

男性「はい。そういうことですので。あ、手配書というわけではないですが」

藤倉「わかりました。お騒がせしました。失礼します。あ、本買ってっていいですか」

男性「それもちょっと」

男性は話している間、何度も何度も藤倉に向かって合掌していました。最後は、立ち去る藤倉にドアまで開けてくれました。幸福の科学の施設で、ここまでうやうやしい歓迎を受けたのは初めてです。

■厳重警戒の東京国際フォーラム

藤倉主筆の「エル・カンターレ祭」は、ものの数分で終了。藤倉主筆には、地球最高神にして宇宙の根本仏のお話を拝聴する「信教の自由」はないことがわかりました。

ちょうどその頃、やや日刊カルト新聞の記者ではない誰かは、本会場の東京国際フォーラムへ。入口脇で写真撮っていたところ、警戒中の係員から注意を受けましたが、その後も監視つきのまま撮影を続行。そこへ教団の広報局長の登場です。

本紙記者ではない誰かの名刺

広報局長「エイトさん、絶対来ると思ってましたよ（笑）」

記者ではないエイト氏「やや日をクビになったから入れてください」

広報局長「ダメですよ～。なんで、ああやってますます藤倉さんが話をややこしくする記事（おそらく、記者を全員クビにしたという記事のこと）書いてさ。『これはエイトさん行かせるぞ』という意味だろうと。もっと（ほかに）対応の仕方があるのに。（私は教団内で）藤倉さんのことで怒られた。少なくとも中の人は怒るよ。感情がどんどんこじれていく。藤倉さんがあそこまでやったからほんとに皆怒っちゃっている。頼むからもうこれ以上こじらせないでくれる？　よっぽどのことよ。残念だけどさ。ただでさえ皆怒っているのに、更に火に油を注いでどうすんの」

この広報局長自身が、大川総裁が新潮社の佐藤隆信社長の守護霊を召喚した際に、藤倉と新潮社の取材について「バカなのか」「頭おかしい」と笑い飛ばして、自ら火に油を注いでたりします（本紙〈a href="http://dailycult.blogspot.jp/2012/11/blog-post_21.html">幸福の科学が公開した「新潮社社長の霊言」はウソまみれ〉）。

記者ではないエイト氏「楽しんでいただけたかと…？」

広報局長「それを理解できる人とできない人がいるから。別にエイトさんに対して怒っているわけじゃないけど。（エイトさんが）頑張ってるのわかっているから」

そこに月刊『サイゾー』の記者が通りかかると、別の広報局職員とおぼしき男性がすかさず「あ、どうも○○さん！こちらへどうぞ！」と中へ案内しました。

記者ではないエイト氏「いいなあ。サイゾーはよくてやや日はダメなんですか？」

広報局長「サイゾーはうちのこと、前から書いてくれてますから」

やや日刊カルト新聞だって、前から幸福の科学のことを書いています。しかも『サイゾー』よりはるかに多くの幸福の科学関連記事を載せています。

この本会場、入り口では厳重な手荷物検査が行われていました。以前はこんなことはなかったと思うのですが。

記者ではないエイト氏「手荷物検査はやや日への警戒ですか？」

広報局長「違う違う、中国とかいろいろあるから」

中国のせいで、記者ではない誰かたちは、信者のカバンに潜り込んで入場することもできませんでした。

主よ、本会場に入れない私は負け犬です

すごすごと尻尾を巻いて引き下がった負け犬の記者ではない誰かは、国際フォーラムから有楽町駅へ。その間ずっと、若い信者に尾行されました。写真を撮って手を振りましたが、ノーリアクションでした。

この報告を聞いた本紙・藤倉主筆は、落胆の色を隠せません。

「エイトさんはきっと、クビになったから尾行してもらえたんですよ。いまだにやや日刊カルト新聞の記者をやってるぼくなんか、宇都宮の未来館を出た後、誰も尾行してくれませんでしたよ」

■衛星中継会場は空席だらけ

一方、東日本の某精舎で衛星中継の拝聴に成功した記者ではない誰かもいました。そこでは入場チェックもなく、難なく入場できました。あまり人はおらず、礼拝室のドアにクリップで即席の「御法話拝聴会場」という貼り紙が出されているだけ。90席ほどの会場には30人くらいしかいませんでした。

大川総裁の講演のタイトルは「地球的正義とは何か」。

最初に衆院総選挙の話をした後、世界中3500カ所に衛星中継しているので、幸福実現党の皆さんについては「かすかな応援しかできません」と語りました。しかし、その後に続く話は、ほとんど幸福実現党がらみの話。大川総裁先生は、選挙のことしか頭にないようです。

最初は演題どおり「正義とは何か」「この国において守られるべき正義とは？」という話かえら次第に、アメリカの覇権が終わりを告げようとしている、中国が台頭してくるという話になり、2009年の日本の衆院総選挙の話に。

民主党が勝って政権交代を成し遂げた09年の総選挙ですが、それに抗うよう、幸福実現党を立ち上げたとのこと。また、「自民党にも民主党にも信者の政治家がいる」と語り、政治的な信条と宗教的な信条の矛盾に悩まされているだろうが「離れていく人はほとんどいなかった」とも語りました。また「政治と宗教は分離できるものではない」と、はっきり政教分離を否定しました。

民主党政権については、「民主党政権ももう最期」「決められない政治などと言われているが、決められなかったのではない。決断して、日本を悪い方へと引っ張っていった」とこき下ろします。このとき、中継のカメラは本会場の客席で拍手する信者たちの映像に切り替わり、その盛り上がりぶりが伺えました。

次は北朝鮮の批判。

「北朝鮮にも幸福の科学の信者がいる」（どうやって布教したんでしょうね？）

「北朝鮮の体制をこのまま次の世紀まで残すつもりはない」

さらに韓国の信者に向けて

「北朝鮮は1時間あったらソウルを火の海にできる。そのときに、日本に守って欲しいんですか？　やるべきことは人も住まない島の領有権を争うことじゃない、監禁された2000万人を解放することです！」

次は中国批判です。

「一般の中国国民ではなく、中国政府に対して反省を求めたい！」

ついでに日本のマスコミにも触れました悪い（唯物論的な）マスコミと良いマスコミがあるとして、

「神や霊を否定するのは、中国や北朝鮮に屈しているのと同じ」

という話に。

最後は地球の進むべき方向について、

「答えはすでに私の本の中にある。今年は80冊出した」

どと豪語。

「私の指差す方向に、地球の未来がある！」

と締めくくりました。

中継会場の壇上には奉納袋があり、中継を拝聴していた信者たちは植福（お布施）を呼びかけられていましたが、有難い法話の終了後に植福したのは3人ほど。案外、さばさばしていました。

2011年の「エル・カンターレ祭」

昨年7月の「御生誕祭」の大講演会は幕張メッセで行われ、入場者数は2万200人（主催者発表）。同年12月の「エル・カンターレ祭」は、さいたまスーパーアリーナで1万8000人（主催者発表）。今年7月の「御生誕祭」は、同じ会場でやはり1万8000人。ところが今年の「エル・カンターレ祭」は東京国際フォーラムで5500人（主催者発表）と、それまでの3分の1以下になりました。

都知事選と衆院総選挙を16日に控えた今年の「エル・カンターレ祭」。幸福実現党の躍進に向けて弾みとなったのかどうか。