幸福の科学学園vs新潮社裁判、被告のフリーライター出廷へ

被告のフリーライター

『週刊新潮』に掲載された記事によって名誉を傷つけられたとして、学校法人幸福の科学学園が新潮社や同社関係者、記事執筆者のフリーライター・藤倉善郎氏に対して1億円の損害賠償を請求している裁判で、7月4日、藤倉氏に対する尋問が行われます。東京地裁606号法廷で午後1時45分から。藤倉氏が裁判所で尋問を受けるのは、有史以来初めてとなります。


この裁判は『週刊新潮』が2012年11月22日号に掲載した〈特別読物　文科省も県もお手上げ！　子供に嘘を刷り込むデタラメ授業！　「坂本龍馬の前世は劉備」と教える「幸福の科学」学園の罪〉と題する記事をめぐるもので、記事の執筆者は本紙主筆でもあるフリーライターの藤倉善郎氏。記事は、幸福の科学学園那須校で授業中に教師が「坂本龍馬の過去世は劉備玄徳」などと、教祖・大川隆法総裁による「霊言」にもとづく内容を生徒に教えていたり、幸福実現党を支持する政治教育を行ったり、寮生活のルールを破った生徒を他の生徒から隔離して最大3週間、部屋で教祖の説法DVDを見せる「独房懲罰」が横行していたりすると報じました。

これに対して幸福の科学学園は、1億円の損害賠償を求めて新潮社、新潮社社長、デスク、記者、藤倉氏を相手取って東京地裁に提訴していました。

原告である学園側は裁判の中で、教師の霊言に基づく発言の存在そのものは否定せず、教師が「雑談ないし参考として行ったに過ぎ」ず授業の目的ではないと主張。政治教育については、「（幸福実現党宣言だけを教材にしているわけではなく）共産党宣言についても概要を教えたことはある」という趣旨の主張を展開している以外、なぜか反論していません。「独房懲罰」については、記事では10例以上、最大3週間だったとしているのに対して、学園側は1週間以上の停学または謹慎は「開校以来4例」、「過去に実施された停学又は定額の最長期間は2週間である」などと主張し、記事は「針小棒大に事実を歪曲したもの」と主張しています。

これに対して、被告である新潮社と藤倉氏側は、学園の複数の元生徒・保護者などに取材し証言の整合性などを慎重に確認していること、記事の表現が「評論の域を逸脱したものではなく、相当な範囲内」であること、記事掲載前に幸福の科学グループ広報に取材し大筋で事実と認める回答を得ていることなどを理由に、真実性、公共性、公益目的を満たすことから不法行為は成立しないと、真っ向から争う姿勢を見せています。

これまで8回の口頭弁論で双方の主張が出され、7月4日午後1時45分から、記事を執筆した藤倉氏への尋問が行われることになりました。また学園側は、記事によって2012年度の中学・高校の受験者数の合計が前年度から57%減ったなどとする教頭の陳述書も提出しており、教頭に対する尋問も同日行われる予定です。

藤倉氏は、本紙・やや日刊カルト新聞の主筆も務めており、本紙に掲載した記事でも週刊誌・月刊誌などで掲載した記事でも、幾度となくカルト教団からの抗議を受けたり、自宅が警察の家宅捜索を受けたりしています（最終的に不起訴）。しかし実際に裁判の被告になったのは初めてで、法廷で証言を行うのも初めて。尋問を3日後に控えた藤倉氏のコメントです。

「週刊新潮での記事掲載直後、幸福の科学は関連ウェブサイト上で“捏造記事”“事実無根”などと反論していましたが、実際の取材や裁判で学園側は、大枠の事実そのものは認めてしまっています。政治教育の存在については、裁判では反論すらしていません。教師の授業中の発言の文脈や“独房懲罰”の期間や頻度など、いずれも“程度問題”を争っているだけに見える。しかし尋問では、大枠の事実関係だけではなく細部の“程度問題”についても、慎重な取材に基いた真実であることや、学園生徒たちの人権状況から考えて評論としても何ら逸脱していないことを、しっかり説明していきたい。みんな、見に来てね」

当日は、極めて珍しい、スーツ姿の藤倉氏が見られる見込みです。

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