幸福実現党、“歴史的惨敗”で当選ゼロ

11日夜、党本部の扉は閉ざされたまま

　7月11日、第22回参議院選挙の投開票が行われ、幸福の科学の宗教政党・幸福実現党は、宗教法人「和豊帯の会」の女性党の約半数の得票数で議席ゼロ。比例に候補者を立てた12政党のうち最下位でした。

■歴史的惨敗

　NHK選挙速報によると、比例代表における宗教政党の当選者数と得票は以下の通り。

公明党／6人、7,639,437票（13.1%）
女性党／0人、414,962票（0.7%）
幸福実現党／0人、229,024票（0.4%）

　幸福実現党の得票数は、比例に候補者を立てた12政党の中で最下位。しかも昨年の衆院選の比例区では合計約46万票（0.7%）を獲得しましたが、今回はその半分にとどまっています。同党設立以来（1年間）の歴史的惨敗です。公明党との差は、約33倍です。

　比例での得票数の内訳は以下の通りです。

政党名票／161,018
ドクター・中松氏（特別代表）／38,242
石川悦男（党首）／25,340
林雅敏（幹事長）／1,732
黒川白雲（政調会長）／1,419
饗庭直道（広報本部長代理）／1,275

7月3日、銀座を練り歩くドクター・中松氏と「ドクターなかまツーガールズ」

　ドクター・中松氏は2001年の参院選の比例代表に自由連合から立候補した際、36,076票を獲得しています。本紙既報の通り中松氏は今回、チベット仏教の「金剛大阿闍梨」やマルタ騎士団の「サー」の称号をセールスポイントとして、さらに「ドクターなかまツーガールズ」や「ドクター・中松氏48（DNG48）」といった幸福の科学信者の女性陣を従えた派手な街宣活動を行ってきましたが、計算上、それによる新たな集票効果はほとんどなかったことになります。

　とは言え幸福実現党は、今回改選ではなかった大江康弘参議院議員の1議席があります。比例得票数では幸福実現党をはるかにリードしている女性党や日本創新党（493,618、0.8%）は議席ゼロなので、政党としての格は幸福実現党の方がこの2党よりは上かもしれません。

■選挙協力した自民党候補は当選

　幸福実現党は今回、熊本県選挙区で自民党の松村祥史氏（自民党）を支援しました。松村氏は当選しましたが、2位の民主党候補との票差は44,276票。これは比例でドクター・中松氏が獲得した個人名投票の数より多く、幸福実現党の支援は戦況を左右するほどの規模ではなかったように思われます。

　ほかにも自民党との選挙協力を行った地域があったようですが、具体的な地域や候補者は不明です。

■会見なし、党本部も開放せず

　幸福実現党本部は今回、「当選者が出た場合のみ会見を行い、それまで党本部は開放しない」旨を投票前日に表明していました。実際、個別取材には応じていたものの、会見は開かれませんでした。

　開票の翌12日、石川党首名でプレスリリースを配信し、「本当に多くの国民の皆さまからご指示をいただき、確実な手ごたえを感じておりました。その手ごたえが直接、議席に結びつくところまでには至りませんでしたが、民主党を過半数割れに追い込む力になったと思います」としています。

　さらに本紙の取材に対して党本部広報担当者は、こうコメントしました。

「今回、戦力を集中させるために候補者数を当初の予定から縮小しました。しかしこれによって選挙活動の総量が小さくなってしまった。（戦略も含めた）我々の努力不足。広告については、前回の衆院選での広告効果や費用面を考え、今回はTV・ラジオCMをほとんど打たず、新聞に特化していました」（広報担当者）

■「信仰と政治選択の分離」が2倍に拡大

　ネット上では、昨年の衆院選以来、幸福の科学信者の脱会が続いているとの情報もあります。今回の結果がその影響なのかどうかも尋ねてみました。

「大量脱会というのは聞いたことがありません。個別には辞めている方もいると思いますが、立党後に集ってくれた人たちもいます。今回の結果は、信者数が減ったからではなく、我々の伝える努力の問題。信仰と政治選択の分離が（前回以上に）あった」（広報担当者）

　幸福の科学における政治活動は、幸福の科学の教義における最高神エル・カンターレ（大川隆法総裁）自らが呼びかけたもので、政治活動そのものも教義あるいは教団活動の一部と言えます。仮に大量脱会が起こっていなかったとしても、投票する信者が前回の半数になってしまったという事態は、それはそれで深刻です。

■まだ続けるみたいです

7月9日、雨にもめげず東京・新橋で投票を呼びかけるドクター・中松氏と「ドクター・中松氏48（DNG48)」の一部

　中松氏の選挙活動については、党本部広報担当者はこのように語っています。

「（チベット仏教を選挙活動に利用していることに批判があることについては）、そのようなご意見があることはドクターに伝えます。しかしドクターは我々よりはるかに政治活動の実績がある方。実際にどうされるかは、本人のご意思を尊重します」（広報担当者）

　今後については「今回の結果を踏まえて検討する」とのことですが、

「国難は去っていません。日本を救うという意気込みに変わりはありません」（広報担当者）

　現時点では、政党活動はまだ続けるつもりのようです。