“リレー断食中”の統一協会、記念式典取材拒否の本紙記者に豪華弁当お裾分け

10月3日、東京都小平市に於いて統一協会（統一教会）の創立52周年記念式典が開催された。1.000人以上の信者が集まる盛大な式典だ。本紙はその情報を得て記者を派遣したが、会場ホール入口から中には立ち入れなかった。やむを得ず会場外のロビーで取材をおこなう記者に統一協会から豪華弁当の差し入れがあった。
公共の施設でおこなわれたカルト団体の式典、その問題点を含めリポートする。


◆今年は正体を隠さず会場を使用

昨年の創立51周年式典は大田区民ホール“アプリコ”で開催された。その際、統一協会はアプリコ側に“ＵＣ創立51周年記念式典”としか届けず、統一協会の式典であることを隠匿して会場を使用したことが判明している。（末端信者だけではない！日本統一教会本部も正体隠して公共施設を使用！？ ）
今年は施設側に“日本統一教会創立52周年記念式典”と、統一協会であることを隠さずに、会場の“ルネこだいら”を借りたようだ。

◆入場整理券を巡る食い違いも

式典前日、ルネこだいらの事務局に問い合わせたところ、施設側は統一協会であることを承知、“宗教行事”ではなく“式典”・“講演”・“アトラクション”をおこなうとのことで使用を許可したそうだ。
また、入場については整理券が必要だが受付でもらえるので誰でも入れる催い物とのことだった。
統一協会広報に問い合わせた。広報担当者は記者に、整理券は既に配布し終わっており当日来ても中には入れないと告げたが、会場外のロビーでなら取材は可能とのことだった。

◆大勢の信者が来場

　
西武新宿線小平駅構内でその統一協会広報局員と行き会い、会場へ向かった。駅南口ロータリー先には会場への案内板を持つ若い男性信者が配置され、来場者を誘導していた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小平市民文化会館“ルネこだいら”

ルネこだいらに到着。１階正面出入り口中の案内板には何の表示も出されていなかった。

開場時間前にもかかわらず既に大勢の壮婦壮年信者が来場、ロビーに並んでいた。

若い女性信者らが応対する受付前で来場者を出迎えるのは連日の文芸春秋社に対する断食デモでお馴染みのと井口氏だ。この日は式典のため紀尾井町での文春抗議デモはやらないそうだ。文春デモに参加した壮婦信者も何人か来ていて、井口氏に挨拶をしていた。記者が井口氏と歓談していると統一協会のカメラマン二人から記念写真の要請があり井口氏と並び撮影に応じた。
井口氏によると式典は統一協会（統一教会）が「日本に進出して最初の礼拝を行った日から52周年のお祝い」とのことだ。

来賓・受賞者を出迎え歓談する井口氏

大ホール入口は“一般”信者と“来賓”“受賞者“に分かれており、日本統一教会前会長の徳野氏の姿もあった。

日本統一協会前会長徳野氏

やや日記者に目撃されないように、その他の来賓や役員は他の入口から会場入りしたそうだ。

本紙記者記者に対して、ホール入口から奥への入場はできないと再度言及があったので、ロビーに待機して来場する信者をチェックした。入場者は事前に配布された整理券を手にしていた。　
整理券は近隣の地区教会へ決まった数が配布され、各教会で式典参加者をセレクトするシステムだったようだ。

記者と面識のある信者も来場していた。

荒川教会のソン教会長とその側近、西東京教区の取材妨害トリオ、荒川・足立の青年信者、文春デモに参加していた二世信者・壮婦信者・関内のビデオセンターVOiCEの女性スタッフ、そして本紙既報の　〔潜入レポート〕　“家系のおはなし”講演会は統一協会の勧誘だった！にも登場した“家系のおはなし講演会”の関根講師（南大田教会）の姿もあった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　関根講師登場！　撮影を遮る職員

統一協会の若手本部職員（中々の好青年）が記者に張り付き撮影を阻止しようと奮闘していた。

来場者の大半は壮婦信者だ。壮年信者も少なからずいたが、青年信者は二世を含め僅かしか来ていなかった。

梶栗日本統一教会会長の次男でワールドカープ・ジャパン（W－CARP JAPAN）会長の梶栗正建氏から話しかけられ、名刺を交換した。正建氏は記者に「お手柔らかに」と告げ、式典会場に入っていった。


式典が始まった 。

中の様子が漏れ伝わってきたが、本部職員がホール入り口のガラス戸を閉め、物販スペースで聖歌を大音量で流し始めたためホールからの音声は聴こえなくなった。

◆“面白い旅団”に豪華懐石弁当の差し入れ

施設外観を撮影し、ロビーに戻ると本部職員より「今日は御祝いですからどうぞ」と豪華な弁当が差し入れられた。

弁当を受け取る本紙記者

京樽の懐石弁当　“月（赤飯）”　￥1.300

文春抗議デモで‘リレー断食”をしている筈の一部信者に思いを馳せながらも、“面白い旅団”の一員として美味しくいただいた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　完食！

ちなみにこの京樽の懐石弁当‘月（赤飯）”の値段は1.300円、自分たちに都合の悪い記事を掲載するメディアの記者にも差し入れをするという温和な面が垣間見えた。

◆“マンセー”三唱で閉会

「マンセー！」の声が響いてきた。式典が終わったようだ。大勢の信者がロビーに溢れ出す。

関根講師の姿を見つけ声を掛けた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　会場を後にする関根講師

残念ながら関根講師は本紙の記事は見ていないそうだ。

本部職員は身を呈し記者の撮影をガード、彼の献身的な姿勢には立場は違えどその真面目さ・忠実さの部分には敬意を表したい。

掌で撮影阻止

身を投げ出しガード！　凄い反射神経だ

◆式典パンフレット

式典のパンフレットを入手した。

式次第によると教祖の七男の亨進氏はビデオレターのみの参加だが四男の國進氏は壇上で挨拶したようだ。

◆問題ある団体の公共施設使用承認基準は？

ルネこだいら事務室を訪ねて今回の式典について訊いた。

文化施設として冊子“ルネこだいら”に記載されている「使用を承認できない場合」の各項に該当しない以上、使用を断る理由がないとのことだった。

ルネこだいらは市から委託を受けた公益財団法人“小平市文化振興財団”が運営しており利用基準については定めがある。

小平市役所市民生活部地域文化課にも訊いた。

市としては、問題ある団体か否かとの判断は難しく、暴力団であるとか破防法などの法律で規制がある団体ならば別だが“使用を承認できない場合”に該当しない場合は承認しているとのことだった。

また、事前に主催者側と施設側で打ち合わせがあるそうだ。そこで問題がないと判断すれば使用を承認するという。

冊子　【ルネこだいら　小平市民文化会館　利用のご案内】


【使用を承認できない場合】

次の場合使用の承認はできません。
（１）公益を害し、または風俗を乱すおそれがあると認めるとき
（２）施設または附属設備等を損傷するおそれがあると認めるとき
（３）管理上支障があると認めるとき
（４）その他、市長が使用を不適当と認めるとき

 　今回のように公共施設を使用させることで、反社会的との指摘が為されている団体に対し、自治体が「真っ当な団体である」とのお墨付きを与えてしまいかねない側面がある。
式典に参加した信者も「自分たちの団体は公共施設も使用できる公に認められた団体なのだ」との思いを抱いたであろう。

「ルネこだいらは審査が甘い」と今後もカルト団体がこの会場の使用を続ける惧れがある。

利用団体をどこで線引きするかの判断は確かに難しいところではある。しかしながら果たして現在の“消極的判断”のままでよいのか、関係者には一考を促したい。

今後もし市側が統一協会の会場使用を断るようなことがあれば英断だと評価したいが、却って市役所前で信者による抗議の断食デモなどが行われないか懸念される。