10月1日に創刊2周年を迎えた本紙は、オウム真理教(現・アレフ、ひかりの輪など)によるサリン事件直後から、被害者の検診・治療・後遺症ケアを行ってきたNPO法人「リカバリー・サポート・センター(R・S・C)」に対して、2011年度の「やや日刊カルト新聞社賞」を授与することを決定しました。同賞は毎年1回、創刊記念日に、カルト問題に取り組む人物・団体の社会的貢献を称えるもので、今年が2回目となります。受賞者には本紙の広告収入から10万円を贈らせていただきます。
■サリン事件被害者へのサポート
R・S・C(理事長=木村晋介弁護士)は、東京新宿区に本部を置くNPO法人で、今年、法人化10周年を迎えました。オウム真理教による松本サリン事件(1994年)と地下鉄サリン事件(1995年)以降、医師や看護師・検査技師、心理師がボランティアとして参加し、被害者への検診のほか、治療支援や後遺症へのケアを行ってきました。
2つのサリン事件では計6600人が被害を受けたと言われており、被害者は事件後数年経ってもPTSD・頭痛・手足のしびれ・視力低下などの後遺症に悩まされ、15年以上が経過した現在でも、「体がだるい」「目が疲れやすい」「かすんで見えにくい」「忘れっぽくなった」「体が緊張する」といった不調を訴える被害者が多くいます。
R・S・Cはこうした被害者に対して現在も年1回の検診を行っており、これまでシンポジウムの開催や行政への要望書提出といった形で被害者救済に関する問題提起も行ってきています。
■貴重なデータの蓄積
サリン事件は、ほとんど未知の化学兵器による未曽有のテロ事件でしたが、信じられないことに、国による被害者への検診や追跡調査は行われていません。そのため、2009年に国が「オウム真理教犯罪被害者等給付金」制度をスタートさせた際、各被害者の被害実態や経過を把握するのが非常に困難でした。
ここで活用されたのが、R・S・Cが長年蓄積してきた検診データです。民間団体とは言え、医師による検診のデータが蓄積されており、加えて、それまで検診にあたってきた医師らが、診断書を発行したりもしました。これが、被害者が後遺症の存在や程度を証明する上で非常に有益な資料となりました。
本来は国が行ってしかるべき役割を、R・S・Cが代わって担ってきたとも言えます。
■被害者と警察との調整役も
オウム真理教犯罪被害者等給付金は、公安委員会を認定機関として都道府県警が申請受付を行いました。ところが受付が開始されると、R・S・Cに被害者からの問い合わせや苦情が殺到。その半数以上が、警察の対応への不満を挙げる内容でした。当時、理事長の木村晋介弁護士は記者会見でこう語ったほどです。
「給付金制度は、認定の簡便化を重視した制度であるため、デリカシーを欠くことはなはだしい。(略)警察は犯罪捜査は得意なんでしょうけど、民事事件的な部分についてのセンスがない。こういう機関に被害者が申請に行っても、まるで事件の参考人を調べるかのような態度というか……。(警察官から)『3日しか病院に通っていないんだから、どうしようもない。10万円(の認定申請)でハンコを押せ』と言われ、被害者が『治療日数は少ないが、こういう後遺症があるんだ』と訴えても、『サリンとの関係がわからないじゃないか』と言われると、被害者をバックアップするものがない」
R・S・Cは、申請受付がスタートした直後、サリン被害者たちに向けて「申請を控えるように」「(すでに申請した人は)いったん取り下げるように」との通知を出しました。そして警察庁と話し合いを進め、被害者への聞き取り方法の改善や検診データ等との照合、認定基準の事実上の見直しなどを実現した上で、被害者に対して申請の再開を呼びかけました。
■“カルト問題”とR・S・C
R・S・Cの活動や問題意識は、サリン事件という無差別テロの被害者救済に主眼をおいており、「宗教問題」の部分にあまりコミットしてはいません。その点で、ほかのカルト宗教の「被害者の会」や、昨年「やや日刊カルト新聞社賞」を受賞した「オウム真理教家族の会」と性格が異なります。
これが果たして「カルト問題」に取り組んでいる団体と言えるのか?という疑問を抱く方もいるかもしれません。
しかし、もはや「宗教」として論じるだけではどうにもならないほどの事件を起こしたのがオウム真理教です。宗教団体の側は宗教的な論理や組織構造から被害者を生み出すのかもしれませんが、その被害は必ずしも宗教的な被害ばかりではなく、また被害を受けるのは信者ばかりとは限りません。
「宗教問題」ではなく「テロ事件」として被害者へのサポートを行うR・S・Cのあり方は、むしろカルト宗教による被害の幅の広さを私たちに見せつけているように思います。
以上のように、被害者へのサポートと社会に対する問題提起の両面において、R・S・Cが長年積み重ねてきた活動は意義深いものであり、本紙としてもカルト問題に対する見識を深める上で参考にさせていただいています。そのことに尊敬と感謝の意を表します。ささやかではありますが、「やや日刊カルト新聞社賞」の賞金が今後の一助になれば幸いです。
■本紙は今後も無節操に表彰行為を行います
実は昨年の「やや日刊カルト新聞社賞」を「オウム真理教家族の会」に贈った際、本紙は記事で<(サリン事件の)実行犯を単純に「テロリスト」と捉えるだけでは見えてこない、こうした問題提起を行っているのが、オウム真理教家族の会です>と同会を賞賛しました(オウム真理教家族の会に「やや日刊カルト新聞社賞」)。ところが今年は逆に、オウム真理教によるテロ被害に取り組むR・S・Cを賞賛しています。
受賞理由が節操なさすぎと思われる方もいるかもしれませんが、要するに「やや日刊カルト新聞社賞」は、特定の考え方を支持する賞ではなく、その考え方や活動の社会的功績を評価するものだということです。
オウム問題にかかわる2つの団体は立場や考え方が違いますが、私たちは、その両方から学ぶべきです。どちらかが唯一の正解というわけではありません。一つのカルト集団でも、引き起こす問題は一つではありません。
今後も「やや日刊カルト新聞社賞」は、その都度考え方が違う団体に贈られることもあるでしょうし、本紙や主筆・藤倉と意見を異にする団体や人物に贈られることもありえます。そうすることによって、皆さんに柔軟で幅広い視点を提供するとともに、自らも研鑽していきたいと考えています。
その点、読者の皆さんにも、幸か不幸か「やや日刊カルト新聞社賞」の対象になってしまった方々にも、ご理解いただければ幸いです。
※やや日刊カルト新聞社賞について
第1回となる昨年度は「広告収入の全額」を賞金としてスタートしましたが、第2回の今年度以降は賞金を10万円とし、残りの広告収入は「やや日刊カルト新聞」の活動に充てさせて頂きます。
藤倉殿
返信削除9月末にカンパの収支を公開すると言われて
いましたよね?
どうしてまだ公開されないのでしょうか?
善意のカンパで取材活動しているわけですから、しっかりと内容を公開するべきです。
家宅捜索などで、自分の寄付金が正しい用途に使われているか、皆不安がっていますよ。
お手数ですが、よろしくお願いします。
ぼくは9月末を締め日として報告する、と予告しました。9月末に公表するなどという予告はしていません。「9月末に公表」と「9月末を締め日として公表」が違うってことくらい、わかりますよね、ふつう。
返信削除カンパについては、やや日刊カルト新聞のメンバーで会議を開き、カンパと取材費補助に関連する規約等と、いただいたカンパの額と使途を確認し、記者への取材費補助の支給を行った後、公表の予定です。10月中にその会議を開催すべく日程調整中です。
なお、警察の家宅捜索で押収されたのはパソコンとサーバです。記事として報告済みですので、ちゃんと読んでください。カンパについて警察の捜査が行われているわけではありません。家宅捜索によって「寄付金が正しい用途に使われているか」と不安がる意味がわかりません。
皆不安がっているときましたか。
返信削除純粋なやや日読者はそんなことは無いと思いますし、私は僅かなカンパもしていない事を申し訳なく思っております。
幸福の科学の世論調査は集計に手間取るのが、組織的な情報操作により世論とは言い難く難航しているのではと、KK記事コメント欄をみると個人的な意見ですが想像してしまいます。
やや日新聞社賞の授与についてはどう思ったのでしょうね。
ダミー団体でも作ってナンチャッテ社会活動でもして、来年は狙ってみてください。
せっかく良い行いをしたのですから、みんなで喜びを分かちあえば良いのに・・・、こんなときに限って書き込みが少ない。
返信削除相手に都合の良いことに対しては沈黙し、自分たちに都合の悪いことは必死になって反論(邪推)する。
残念だなぁ~~~
匿名さん
返信削除> 私は僅かなカンパもしていない事を申し訳なく思っております。
どうか、お気になさらず。そういうことで読者に申し訳ないと言われてしまうと、かえってこちらが申し訳なくなってしまいます。
> 幸福の科学の世論調査は集計に手間取るのが、組織的な情報操作に
> より世論とは言い難く難航しているのではと
あ、すいません。世論調査は、集計に手間がかかるのは確かなんですが、忙しくて手を付けられなかったというのが正直なところ。おかしな組織票とかはなさそうですよ。少なくとも「藤倉の常識」からは、まあみんなそう思ってるよね、って感じの結果です。もうすぐ出します。ほんとすいません。
次のテーマは何にしようかなあ。やっぱ学園問題かな。
アンチ統一教会やアンチ幸福の科学がせっせとお布施したのにオウム関連に送られてガッカリの図。
返信削除賞金はお布施からじゃなくて広告収入からじゃない?
返信削除同じようなもんだろ。
返信削除10月7日8:48匿名
返信削除主筆藤倉様、有難うございます。
世論調査は偏見で勝手に想像してしまいました。
学園問題等の記事の反応が羨ましくて、僻み心で書いてしまいました。
しかし、何故お金の事に興味のあるコメントが多いのでしょうね?
広告収入、カンパなどその都度いろいろ説明していると思うのですが、説明が信じられなければ記事も信用できないと、すべて疑って閲覧しているのでしょうか。
疑うのが悪いわけではないですが、私の様に歪曲させてはいけないですよね。
リカバリー・サポート・センターの活動に感動しながら拝読させて頂きました。
返信削除そして…
「本紙は今後も無節操に表彰行為を行います」
で、爆笑もさせて頂きましたで。
それからな。
他人のおカネのことにやたらうるさい輩はほっときなはれ。こういう人に限って一銭も出さへんねん。ヤラシイな~。
<ルート検索 - MapFan Web(マップファン)>
返信削除*ブラウザの関係でurl転載出来ませんので、
上記サイトで下記住所を入力してみてください。
<幸福の科学(宗教法人)綜合本部>
東京都品川区東五反田1丁目2-38
↓
<エルプランニング>
東京都品川区 東五反田4-9-2 東五反田KBビル
反対派だって統一教会の金の問題をいつも追究しとるがな。
返信削除統一教会の献金の使い道と、やや日の広告収益とカンパの使い道は違うと思いますし、途中でピンハネもしませんから、自分達の世界観だけで考えないでください。
返信削除実は反対派弁護士から金貰ってるんじゃないのか?
返信削除お金が動かないと人も動かないとおもっているのですか?
返信削除別に。
返信削除でも、反対派弁護士からお金が流れてる可能性は否定できないだろ。
藤倉殿
返信削除誰も家宅捜索を受ける人間に対して寄付しようとは思わないでしょう。当然ですよね。
ユーザのみなさんは、あなたが正式な方法に則って取材していると信用してカンパしたわけです。
それに対して貴方は「なぜ不安になるかわからない」と言っています。その貴方の感覚こそ私には理解できませんね。家宅捜索を受けて容疑者となったら、自分ばかりではなく周囲の人達にも迷惑がかかるということはおわかりですよね。
少なくとも善意でお金を出した方々の期待を裏切ったわけですから、一言ぐらい謝罪の言葉があってもいいのではないでしょうか?
いつかは「和解にこぎつけた家族」とか「世間を惑わせる路線をやめた団体」というのが表彰されたらいいな・・・・・・と私は思います。
返信削除オホーツクさん、本当にそう思います。
返信削除家宅捜索の理由は、記事として内容を明らかにされてますね。
返信削除藤倉さんの、意見は理解出来るものだと思います。
今の考え方でこれからも続けていってください。
カンパの使われ方も、もちろん異論はないです。
まあ、世の中賛否があって当然です。
藤倉さんもいちばん、よくおわかりでしょうね。
藤倉さん
返信削除悪質な感情操作しようとするコメントがはびこっていますが、寄付した人は馬鹿らしいコメントより貴殿がたの新聞を楽しみにこれからもしています。がんばってください。
記者を貶めることに必死のコメントは、書いた人の読解能力と品性を疑います。
>誰も家宅捜索を受ける人間に対して寄付しようとは思わないでしょう。当然ですよね。
ユーザのみなさんは、あなたが正式な方法に則って取材していると信用してカンパしたわけです。
2011年10月7日22:36 の匿名など
お金を一銭もだしていない人間が語る必要なし。なにを勘違いして「カンパした人」代表みたいな発言ができるのか…愚かなコメントは慎んでください。