藤沢市の統一協会ダミー施設、正体隠しの勧誘発覚も本紙記者に「違います！」「不愉快です！」「いいがかり」と完全否定

藤沢の統一協会ダミー施設“SECC／湘南教育カルチャーセンター”

神奈川県藤沢市に、統一協会（統一教会）の婦人部偽装施設があることが判明した。

統一協会であることを隠して近づき、観相・手相・姓名判断から転換期トーク、そして家系図・先祖の因縁と歴代の偽装手口を総動員して詐欺勧誘を行っていたのだ。相変わらずの手口、しかも「宗教ではない」と嘘を吐き、「誰にも言わない方がいい」と卑劣な口止め工作をしていたことも判った。

被害者から悪質な勧誘手口の詳細を聞いた記者は、藤沢市に赴き、この統一協会ダミー施設を訪ねた。

また、岐阜県大垣市の統一協会の婦人部ダミー施設が、明日から“開運セミナー”を開くことが判った。

今も尚、全国各地で、組織的且つ継続的におこなわれている統一協会の偽装勧誘。その実態を追った。

◆統一協会の組織的な正体隠し勧誘は今も続いている！

藤沢のカルト勧誘被害者Aさんに被害の詳しい経緯を訊いた。

今年１月、藤沢市に住むAさんは自宅マンションに、年配女性と若い女性二人組の訪問を受けたという。

「二人組から『私たちは藤沢駅近くで観相学を勉強しているのですが、観相学に興味はありなせんか？』と訊かれました。「興味は全くありません」と答えたのですが、年配の方の女性が、小学生になる子どもの手相を見始めたんです。その子どもについて話す内容がかなり当たっていました。
（記者注：これはもちろん誰にでも当て嵌まる内容や、いかようにも言い逃れできる言葉を使ったインチキの手口である）

「流れで私の手相鑑定と姓名判断が始まりました。『御主人とあなたは今年から大きな転換期で大事な時期に入りました。特に御主人は今年大変な年になるので、ちゃんとした先生に早く鑑定してもらった方が良い』と言われ、更に『2千円で詳しい鑑定をしてあげる』と言われたので、鑑定の予約を入れてしまいました」

数日後、藤沢駅から程近い雑居ビルに案内されたAさん。通されたビル4階には【SECC　湘南教育カルチャーセンター】と書かれていた。

「SECCで『とても素晴らしい先生です』と鑑定士の年配女性を紹介されました」

「鑑定では思い当たることばかりを言われました。鑑定士からは、『これから先に起こるであろう大変なことは、先祖からのメッセージなので、家系の勉強をすれば未然に防げます』と言われました」

「『これは宗教ですか？』と問うと「これは宗教ではなく家系の勉強です』とハッキリ言われました」

「その後、、『今の私たちの良いこと悪いこと（家庭不和など）全ては先祖の因縁が原因、家系には癖があって、自分の家の家系図を勉強することで先祖を供養してあげられて、自分たちも幸せになれる』という内容の『家系の講演会ビデオ』を鑑賞させられました」

「帰り際に、先生から『次回は、家系図の鑑定をしてあげるので、戸籍謄本を持ってきてください』と言われました」

「そして、次に行った時に先生から、ひとしきり『家庭を救うのは女性の力が大きく、あなたにはその使命があると強く出ている！今を逃したら次はない！』『家系図をちゃんと調べていけば自分たちが迷った時に選ぶべき道がハッキリ分かるようになるそれは“師”（初めて出てきた言葉でした）が、詳しく鑑定して教えてくれる』と言われました」

「最初に、『これは宗教ではなく家系の勉強』と言われていたし、宗教色を感じられなかったので入会を決めると、代金として12万円を納入するように言われました」

「その時に渡された会員証がこれです」

Aさんが渡された“湘南教育カルチャーセンター”の会員証

次回の予約を取らせて通わせる手口だ

「担当者からは『次回からビデオを観てもらって、観終ったら判子を押すので判子がたくさん押されるように頑張りましょう！』と言われました」

「帰り際に『家系の話をしても胡散臭いと思われたら可哀相なので、ある程度勉強が進むまでは家族は勿論、人に言わないように』と言われました」

その言葉が引っ掛かかったAさんは、帰宅後『家系図を基に先祖を供養する勉強』なんてあるのか』とインターネットで検索して、SECCの正体が統一協会だと気付いた。


Aさんは語る。

「あのまま正体に気付かず通っていたら、洗脳されていたと思います」


『観相学の勉強』『手相』『姓名判断』『素晴らしい先生の鑑定』『転換期トーク』『家系図講演』『家系図鑑定』『先祖の因縁』と、従来の手口を総動員した悪質で卑劣な詐欺勧誘だ。
鑑定を担当した“素晴らしい先生”は、壮婦信者が演じる“役”に過ぎず、インチキ占い師であることは云うまでもない。

◆ダミー施設を直撃、「不愉快です！」を連発
記者はこの統一協会のダミー施設でおこなわれている詐欺勧誘の実態を取材するため、今月11日、藤沢に向かった。

藤沢駅から5分ほど歩いた先、バス通りに面したテナントビル“REVER（リベール）藤沢”。

統一協会ダミー施設が入るビル

その4階に【SECC／湘南教育カルチャーセンター】はあった。

4階の共用部から、SECCが確認できる。

入り口に立つと自動ドアが開いた。中に入り、靴脱ぎ場から声を掛けた。

 他のダミー施設と同様、サロン風の内装だ。

ほどなくして奥から人が出てきた。

写真の女性は一旦引っ込み、別の60~70歳くらいと50~60歳くらいの女性ふたりと女児が出てきた。
記者と応対したのは50~60歳くらいの年配女性だ。


―ここは統一協会の施設ですよね？


「違います」

―ここで家系の勉強会をやってますね？

「たま～にですよ。講演会は何回かやっているので」

―『家系の講演会』やってるのって統一協会ですよね？

「いえ、その辺りハッキリと分かりませんけれども」

―家系の講演ビデオを観せてますよね？

「いえ、そんなビデオ、ここでは扱ってないので分かりません」

―あなた方は統一協会の人ですか？

「違います」

―統一協会の信者ではないのですか？

「まあそれは、それぞれねぇ・・・」「何か不満や不審でも？」

―ここを入口にして統一協会の信者になるということがありますよね？

「それは宗教は自由ですからこの先どうなるか、分かりませんよ」

―惚けないでください。統一協会ですよね？

「いいえ、違います」

ここは統一協会の施設で、あなた方は統一協会の信者なんでしょう？

「そうやって断定されながら言われると非常に不愉快なんですけど。なんなんですかあなたはっ！失礼ですよ！関係ない方からいろいろ言われてもこちらもいい気持ちはしない。そうすると営業妨害にもなりかねませんよ！」

―あの女の子は二世ですか？三世ですか？

「私の娘です！そうやって断定されながら言われると非常に不愉快なんですけど。」

―統一協会ではないと？

「だから！統一教会の施設じゃないとハッキリ言ってるんです！さっきから！」

―統一協会とは全く無関係なんですね？

「分かりませんよ！これからだって、だって宗教は自由なわけでしょ！」

―正体隠してここに誘い込んでますよね？

「すみません！お帰りください！とても不愉快です！」

―統一協会信者ですよね？

「何かしら決めつけられてそういう風に言われると不愉快ですから」

「ちょっとヨシカワさん！警察に電話して！」

―何か問題があるのですか？

「別に問題ないんですけどもぉ！不愉快なんですよっ！そういう風にして言われるのが！」

記者を押し出す壮婦信者。

―完全否定ということでいいですね？

「電話して！警察に！」

―統一協会ではないということでいいですね？

「統一教会なんか違うからっ！言ってるじゃないですか！」


そう言って奥に引っ込んだきり、出てこなかった。

しばらく待ってみたが、一向に警察官が来る気配がなかったので、ビルを後にした。

当の信者からも、統一協会信者と言われることについて「不愉快です！」と評される統一協会、信者が自分の属する団体を問われ、そう表現するしかないとは、なんと社会的評価の低い団体であろうか。

◆“藤沢フォーラム”から“湘南教育カルチャーセンターへ”？

藤沢では以前から【藤沢フォーラム】という名称の統一協会ダミー施設に於いて、佐々木恒明なる講師による家系講演会がおこなわれていたとの情報があった。

REVER藤沢ビルに、SECCが入居したのは昨年夏頃だ。【藤沢フォーラム】がREVER藤沢ビル4階に移転し、名称を【SECC／湘南教育カルチャーセンター】に変更して詐欺勧誘を続けているということであろう。

◆「不法侵入罪で訴える」息巻く壮婦

後日、ＳＥＣＣに確認の電話をした。


「はい、ＳＥＣＣです」

―そちらは統一協会の関連の施設ではないのですか？

「ちょっとお待ちください」

数十秒後、先日の女性が電話口に

「もしもしぃ、どういったご用件でしょうか？」

―そちらは統一協会の関連の施設かどうか確認したいのだが？

「違います～。違います～。違いますので。違いますので」

―全く無関係ですか？

「何回も、そのように来られるんだったんならば、本当に警察を通して、私ホリカワといいますけれども、土曜日お会いしました」

―ホリカワさんは代表の方ですか？

「エイトさんですね。それであなた入ってきてからデジカメで撮ってたでしょう？そういうのはほら不法侵入罪で訴えられますから」

―あそこは玄関入り口ですよね？

「ええ、玄関であったとしても入って構えてたでしょう？カメラ。私見てますのではい。また何か変な言い掛かりとかつける場合は」

―言い掛かりですか？統一協会の施設ですよね？

「だから違います！とハッキリ言ってるでしょう！」


先日の激昂壮婦ホリカワ氏は統一協会との関連を再度完全否定、「変な言いがかりをつけると不法侵入で警察に訴える」と息巻いていた。

◆岐阜県大垣市でも“開運フェア”“しあわせ講演会”

今週15日から“開運フェア”開催

また、カルト勧誘被害者のサイト情報から、岐阜県大垣市にある統一協会ダミー施設【孝心フォーラム（旧・ピュアライフ）】に於いても、明日水曜日から3日間“開運フェア”なる催しがおこなわれることが判った。

昨年12月の“しあわせ講演会”

この偽装施設では以前から“しあわせ講演会”などをおこなっており、正体と目的を偽った訪問勧誘を続けている。

13日、孝心フォーラムに統一協会との関係を問い質した。

電話口の女性に用件を伝えると、男性に取り次がれた。

―孝心フォーラムは統一協会と関連する施設ですか？

「統一運動の教えを指針としてはいますが教会自体ではないです」

―運営者、かかわっているスタッフは全員信者ですか？

「はい、そうなりますね」

―通うことにより統一協会に伝道していくということはありますか？

「いえ、それはないです。いろんな方がみえてますので、統一原理とか仏教とかの教えも取り入れておりますし」

―信者に勧誘する目的で『開運フェア』や『幸せ講演会』をおこなっているのではないと？

「そうですね、中には『その教えを更に学びたい』という方もみえますし、元々ご自分の持っている宗教をされている方もみえますし、ここに来るから教会員や信者になるということではないですね」

―孝心フォーラム側としては、そのように（信者に）したいと思っていないのか？

「それが目的ではないです」

ーパンフレット等にはどこにも『統一原理』や『スタッフが全員信者』などとは書いてありませんね？

「こちらに来ていただいて説明させていただいて、それでご了解される方はまたそのようなことをお伝えしていきますけれども」

―最初に全部言わないのですか？統一協会の関連する施設ではあるわけですよね。統一原理を教えていたり、信者が運営しているということなのですから。

「ああ、そうですね」

―一番最初に言うのですか？

「ええ大体、最初には」

―自宅を訪問したり街頭で声を掛けて講演会などに誘うのか？

「街頭ではしておりませんが・・・」

―訪問はされていると？

「はい」

―その際に、統一教会であると告げていますか？

「いえ、教会自体は特には」

―でも先進んでいくと統一協会の信者になる可能性はあるわけですよね？

「ええ、そうですよね」

―だと、言わないとマズいのでは？

「ああ、・・・分かりました」

―明後日からの開運フェアでは、来られる方に「孝心フォーラムは信者が運営する施設で統一原理を用いる」と説明されるわけですよね？

「そうですね」

―『開運』と『統一原理』って関係があることなんですか？

「いや、それとは関係ないですね」

―教えに統一原理を持ち込むというのは『先祖の因縁』とか『家系』とかそういう関係の話なのですか？

「その話というよりは、幸せな夫婦を築いていこうとかそういった話が中心になりますけれども、あと運勢とか開運とか最近だと言葉の使い方とかそういった観点のお話です」
―あなたは講師ですか？孝心フォーラムの代表者ですか？

「私は代表ではなく講師という形で・・・」

―では先祖や家系の話をする講師の『先生』なのですね？

「はい」

―常に孝心フォーラムにいらっしゃるのですか？そちらのスタッフとしてかかわっているということですか？

「いや・・・、わたくしはあの・・・今日は・・まぁ・・たまたま」

―「たまたま」ですか、分かりました。全国でこの手の家系の講演会や幸せ講演会というのは統一協会が実質的にやっていますよね？

「あ、そうですか」

―それはハッキリ最初から言うべきでは？

「分かりました」


―統一協会の伝道活動としてこれをやっているのか？

「あの・・・、それがメインではないですね」

―でも、伝道の目的はあるわけですよね？相手を幸せにしてあげようというのが第一だと思いますが？

「そうですね、そこがメインですので」

―そのためにその人を統一協会へ導くという目的があるわけですよね？

「いえ、それは特にないですね。最後それは本人さんが選択することではありますので」

―選択するには一番最初に全部情報を与えないとおかしいのでは？

「ああ・・・」

―孝心フォーラムは、元ピュアライフですよね

「そうですね、はい」

―ピュアライフも統一協会関連施設だとして名前が挙がっていますが？

「そうですか」


講師の先生役の信者は、統一協会との関係を全面否定こそしなかったものの、「教会自体ではない」「（伝道）目的ではない」と、統一協会の組織的信者生産手口を否定した。

◆“直接伝道”“改革の成果”の絵空事

“日本統一教会”では『改革の成果2011』として『直接伝道』を喧伝している。しかしながらその実態は、依然として正体隠しの詐欺勧誘が横行している状況だ。

他にも、昨年末に都内の統一協会ダミー施設に於いて、正体隠しの勧誘から家系図等を使った詐欺勧誘カルト被害も報告されており、本紙既報記事“〔潜入レポート〕　“家系のおはなし”講演会は統一協会の勧誘だった！ ”のように、全国各地で同様の手口が横行している。

表向きは伝道手法の改善を謳いながら、その実、裏では隠れて組織的な詐欺勧誘をおこなっている統一協会。この反社会的カルト団体に正常化への自浄作用などあり得ないということが判る。