10月1日に創刊1周年を迎えた本紙は、オウム真理教(現・アレフ、ひかりの輪など)信者の家族からなる「オウム真理教家族の会」(代表・永岡弘行氏)に対し、2010年度の「やや日刊カルト新聞社賞」を授与することを決定しました。
やや日刊カルト新聞社賞は、毎年1回、創刊記念日に、カルト問題への取り組む人物・団体の社会的貢献を称えるもので、今年が第1回目。受賞者には本紙の1年間の広告収入全額が贈られます。
■命懸けの取り組み
オウム真理教家族の会は1989年、オウム真理教に入信した家族を取り戻すため「オウム真理教被害者の会」としてスタート。故・坂本堤弁護士が顧問を務め、メディアがオウム真理教の危険性に目を向ける以前から、オウム問題に取り組んできました。坂本弁護士一家はオウム真理教に拉致・殺害され、永岡代表もVXガスによる襲撃を受けて重傷を負いますが、その後も現在に至るまで活動を継続しています。
また同会は、2006年以降、オウム真理教をめぐる一連の事件の実行犯について、死刑反対の署名活動を行っています。その後死刑判決が確定した実行犯の数が増えるにつれて、署名の対象者も増え、現在は9名の死刑囚(麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚を除く)について死刑執行回避を求めています。
同会のメンバーは必ずしも実行犯の親たちとは限りませんが、「自分の子どもも一つ間違えば被告人席に座っていた」という思いもある一方で、弟子たちが死刑になることで、オウム事件の内情が語られる機会が消えてしまうという社会的なデメリットを危惧しての署名活動です。
今回、本紙が同会に受賞していただきたいと考えた最大の理由は、「家族がカルトに入信した」という、カルト問題においておそらく最も困難な問題に長年取り組み続け、そればかりか文字通り命懸けでオウム問題を世に問うてきた点です。
■カルト問題の構造をめぐる問題提起
テロ実行犯の死刑に反対することについては、当然、異論もあると思います。しかし死刑反対の主張を支持するか否かに関わらず、信者の家族がなぜ実行犯の死刑に反対するのかということを、私たちは「カルト問題」の現実として知る必要があります。
オウム真理教の信者たちには、もともとは自身の悟りや社会変革を求めていたにもかかわらず、麻原という指導者や病的な組織の論理によって道を誤った人々が多くいました。オウム信者によるテロの実行は、「善なる目的をもった人々が犯した犯罪」あり、「麻原や教団に利用された被害者が加害者になる」という構図でもありました。いずれもほかの団体も含めたカルト問題全般に通じる特徴ですが、オウム真理教の場合は、これが無差別テロという最悪の事態につながりました。
実行犯たちには被害者的側面もあり、さらにこうした究極的な「カルトの構造」を見をもって体験した生き証人です。彼らは、社会や、いまだアレフやひかりの輪として団体を継続させている信者たちに、その体験や問題を伝えることができる人々です。
実行犯を単純に「テロリスト」と捉えるだけでは見えてこない、こうした問題提起を行っているのが、オウム真理教家族の会です。
家族を教団から取り戻すための活動、社会に対する重要な問題提起、さらにそれらを長年にわたって粘り強く継続してきた点は、カルト問題に取り組む被害者団体のモデルとしても、大きな価値を持っていると思います。
■受賞記念インタビューと寄付について
同会は、アレフやひかりの輪などに所属している信者の家族のために、今後も活動していきます。同会のこれまでの活動に対して尊敬と感謝の思いを表明すると同時に、今後の活動に対して微力ながら支援したいとの思いから、「やや日刊カルト新聞社賞」を受け取っていただくことにしました。選考では、本紙の記者陣が全員一致でした。
本紙では、受賞を記念して同会の永岡代表へのインタビューを予定しております。追って、これまでの同会の活動や信者家族の思いについて、永岡代表の言葉を直接、本紙紙面でご紹介させていただきます。
また、「やや日刊カルト新聞」では、Google AdsenseとAmazonの広告を掲載しており、創刊日2009年10月1日から2010年9月30日までの1年間の広告収入の合計金額が6万6261円になりました。端数を切り捨て、6万6000円を同会に寄付させていただきます。
広告収入の内訳は、Google Adsenseが6万2355円、Amazonが3906円です。これと別に、6月に開催したトークイベント「幸福の科学ナイトだぜよ!」の本紙主筆の出演料5000円と、夏のコミケでの号外販売収益約1万円があります。広告以外の収入については、本紙の今後の物販等の原資に充てさせていただきます。
10 コメント:
適切な選択による受賞だと思います。
ただ、伝統的な賞状、感謝状の書き方に携わっている立場からのコメントをあえて申し上げますと、賞状の類には句読点を使わず、半字分の空白を句読点の代わりに用います。
句読点を使わないほうが格調高いものに仕上がります。
参考まで。
ご指摘ありがとうございます。人様を表彰するのが初めてな上に、自分が表彰された経験もないもので、表彰状の体裁には全く無知でした。次回以降、気をつけたいと思います。
カルト宗教に悩む人々が結束する機会は、あった方が良い。
私が気にしている「リトル・ペブル同宿会」にも必要である。
名古屋で暮らすある信者は(ブログで明かした事である)身内や知り合いに反対されても聞き流せば何とかなるという態度をとる。私は話を聞き流されている人々や脱会した人々と身近な立場で動きたいと考えているのだが、できていない。
私は自費出版をきっかけにして人との繋がりを作りたかった。カトリック教会とのやりとりの結果、販売を止められたため、現在進めている原稿の書き直しの後で別の手段による自費出版・販売方法を探す事にしている。
何でエホバの証人は取り上げないのだろうか・・・?
輸血問題とか色々あるだろうに・・・
ニュースブログなので、何かニュースがあれば取り上げます。
本当に立派な取り組みで、他の団体も参考にして本当の問題点について理解し合い
各団体が結束を強めていっていただければと思います。
受賞記念インタビューの記事も早く見れればと思います。
仏光会と谷垣さんについての記事はどうでしょうか?
よくわかりませんが、反日カルトだとか。
絶対邪教です。
でも、今、批判するのは政治的にマズイかな?
>輸血問題とか色々あるだろうに・・・
輸血を本人が選択して行なわない事はカルトではないと思います。
例えば、臓器移植を行なうか行なわないかは、当事者の選択に委ねられる事だと思います。
輸血というのも、一つの医療行為ですので、その選択は個人に委ねられる事だと思います。
本人が輸血を望んでいるのに、その宗教の代表者等が無理にその医療行為を阻止してしまえばカルトになるのではないかと思います。
> 輸血を本人が選択して行なわない事はカルトではないと思います。
カルトにおいては、「一見すると本人の選択であるかのような体裁だが、その背景には、信者に有害な信念を植えつける教化システムがある」場合が多いので、本人が選択したというだけでカルトではないと言い切ってしまうのは非常に危険です。
また、たとえ本当に本人が選択した結果であったとしても、それが教義に基づいたものであるならば、カルトと呼ばないにしても「宗教をめぐる社会問題」ではあるので、「やや日刊カルト新聞」が記事にする可能性は大いにあります。
「やや日刊カルト新聞」は、「明らかにカルト」な団体のことしか記事にしないという方針はとっていません。「カルト」と呼ぶか呼ばないかは、実はあまり重要ではありません。「そこに宗教やスピリチュアリティをめぐる問題があるかどうか」が重要だと考えています。
2010年10月7日23:48にコメントさせて頂いたものです。
こういう風に、自由にコメントが投稿できる場所を提供して下さってありがとうございます。
人それぞれに捉え方が異なるのは当然の事だと思いますので、異なった意見も伺えるので、興味深いです。
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