美人候補者ネット投票に"幸福の科学の自作自演"疑惑

先の参院選期間中に投票が実施され、幸福実現党の候補者5人がベストテン入りした、運営者不明の投票サイト「美人すぎる候補者総選挙　参院選3013」について、幸福の科学による自作自演では？との疑惑がネット上で持ち上がっています。調べてみると、幸福実現党の釈量子氏（参院選後に党首に就任）の写真だけ妙に画質がよかったり、サイト開設直後から投票期間中にSNSなどで同サイトを紹介しているのが、ほとんど幸福の科学関係者ばかりだったり、不自然な点も。

自作自演疑惑について検証しているのは、幸福の科学系ウェブサイトの観察を行なっているブログ「幸福の観測所」。現在、＜「bsk48.com」というサイトについて＞＜「bsk48.com」というサイトについて 2＞という2つの記事を掲載しています。

自作自演疑惑の根拠として同ブログが挙げているのは、おおまかに2点。1つ目は、幸福実現党の候補者5人の顔写真データの画質が、他の候補者と比較して不自然に高画質であるという指摘です。2つ目は、このサイトが開設されたと思われる7月12日頃以降、最速でこのサイトをSNSなどに掲載して紹介しているのが幸福の科学関係者ばかりだという点です。

■幸福実現党の2名だけ、なぜか他サイトの画像より高画質

同ブログによる検証の詳細は上記のリンク先を読んでいただくとして、本紙では独自に、同ブログの検証を補足してみようと思います。

まず1点目の写真データの画質です。「美人すぎる候補者総選挙　参院選3013」の候補者としてノミネートされたのは35人。その全てについて、同サイトで使用されている顔写真と同じカットを、ネット上の別のサイトから拾えるかどうか試してみました。結果、すべての写真が、各候補者た党のウェブサイト（ブログ含む）やソーシャルメディアのアカウントから拾えることがわかりました。

次に各候補者の写真について、同サイトの画像データの画質が、ネット上で拾える写真よりも小さい（同程度のサイズに直しても画質が粗くなる）ケースを抽出します。同サイトでは画像を最大450*450ピクセルにして掲載しているので、それより大きな画像があるのに450*450ピクセルにしているケースは除きます。つまり、「不必要に画質が悪い」ケースだけに絞るというわけです。その結果は、以下のとおり。

候補者　     　　　　　　　　　同サイトの画像／他サイトの画像
沖智美（みんなの党）   　     292*292／360*360
浜川百合子（共産党）  　     179*179／640*960
波多野里奈（みんなの党）  400*400／640*960
長谷川羽衣子（緑の党）     380*380／591*889
牧山弘恵（民主党）　           200*200／262*350
丸川珠代（自民党） 　          340*340／800*1105
丸子安子（みどりの風）   　  280*280／360*480
山本香苗（公明党）       　    400*400／672*960
吉川有美（自民党）      　     160*160／256*256
吉羽美華（新党大地）  　     180*180／264*393

この10人のうち、最も悲惨な扱いを受けているのは、丸川珠代氏。初当選した前々回の参院選で幸福の科学の支援を受けていたと言われていますが、他サイトに800*1105の写真データがあるのに、同サイトでは450*450ではなく340*340と、必要以上に小さなデータが使われています。

一方、幸福実現党の5候補者を見てみましょう。

　候補者　　　同サイトの画像／同等以上の他サイトの画像
小松由佳         450*450／640*960
釈量子        　  450*450／なし
谷井美穂         450*450／1817*2401
中根裕美         450*450／392*458
湊侑子        　  450*450／なし

この作業から、以下のことが見えてきました。

(1)　ネット上に存在する写真より不必要に画質を落とした写真が使われている候補者が35人中10人もいるのに、幸福実現党は5人とも同サイトの顔写真の最大サイズ（450*450）のデータが使われている。

(2)　幸福実現党5人のうち、釈量子氏と湊侑子氏については、450*450以上のサイズの画像が他サイトで見当たらなかった。同様のケースは、他党の候補者では皆無だった。

仮に各候補者の許可を得て画像を流用したのであれば、わざわざサイズを落とした画像を使うことは考えにくく、仮に無断で流用したのであれば、なぜ幸福実現党の2名だけ、他サイトから流用できるデータよりサイズが大きな画像を入手できたのか説明がつきません。

もっとも、サイズが同等以上の画像が「他サイトで見つからない」というのは、本紙が発見できなかっただけかもしれません。しかし、すべての候補者の画像を同じ方法で探したのに、幸福実現党以外では同様のケースが皆無でした。同サイトの運営者が、幸福実現党の2名についてだけ、ものすごく一生懸命ネット上で高画質の画像を探したということでしょうか。それはそれで不自然な行動ですが。

■幸福の科学関係者が拡散

冒頭で紹介したブログ「幸福の観測所」が指摘しているもう一つのポイント、「最速でこのサイトをSNSなどに掲載して紹介しているのが幸福の科学関係者ばかり」について。

同サイトの開設時期は7月12日夜10時前と思われますが、「幸福の観測所」では。Facebookで最も早く「美人すぎる候補者総選挙」サイトを紹介したのは、当時の幸福実現党党首・矢内筆勝氏だったとしています。その日時は14日午前9時30分。この速さが不自然ではないか？というわけです。

しかし本紙が調査したところ、矢内氏より2時間以上早い14日午前7時17分に、武田明恵氏が同サイトをFacebookでシェアしていました。参院選中、幸福実現党の比例代表候補トクマの街宣スタッフだった人物であることから、幸福の科学信者と思われます。彼女は、それ以前にMiroku Itsui氏がFaecebookで同サイトをシェアしたのを受け、それを自らもシェアしています。Miroku Itsui氏は、幸福の科学幹部の伍井みろく氏と思われます。

Yahoo!Japanのリアルタイム検索を使い、Facebook内に「美人すぎる候補者総選挙」のURLが掲載されている箇所を確認できます。14日朝にMiroku Itsui氏から始まった「美人すぎる候補者総選挙」の拡散は、その後も幸福の科学関係者によって進められていったことがうかがえます。初期の20人程度を見てみると、紹介の仕方やFacebook内での別の発言、交友関係から、そのほとんどが幸福の科学の信者あるいは周辺人物。幸福の科学との接点が見いだせない人物が話題にしているケースがほとんど見当たりません。

矢内氏がFacebookで拡散するより前に、信者や周辺人物等によって拡散されていました。

同じ方法でTwitterを検索してみると、Facebookより早い初動でした。最初の投稿は@HAPPIER1973氏によるもので、7月13日20時49分。サイトが開設されたと思われる時刻から24時も経っていません。

@HAPPIER1973氏は、「美人すぎる候補者総選挙」の結果をツイートしていますが、なぜか「美人すぎる候補者総選挙」を紹介するツイートは削除しています。フォロー相手を見ると幸福の科学信者が複数いますが、本人のツイート内容には、直接信仰を示す発言は見当たりません。

これに続いたのは、@superjacksons1氏。過去のツイートもほとんどなく、フォロー・フォロワーともにゼロ。直後に、よく似た名前のアカウント@superjacksons氏が、「美人すぎる候補者総選挙」を紹介しました。スーパージャクソンちゃん氏は、幸福の科学や幸福実現党関連のリツイートが複数見られます。これに続いた@goldentimemama氏は、トクマ関連のツイートをリツイートしたり、「大川隆法総裁の言葉bot」をフォローしていたり。

Twitterにおいても、幸福の科学との接点や支持がうかがえる方面から「美人すぎる候補者総選挙」が拡散されていたことがうかがえます。

■絶妙のタイミングの機関誌記事

『ザ・リバティWeb』より

ちなみにGoogleニュースで「美人候補」で検索すると、参院選中の記事としては幸福の科学の機関誌『ザ・リバティ』のウェブサイトと産経新聞社の『ZAKZAK』しかヒットしません。「美人すぎる候補者総選挙」に言及しているのは、『ザ・リバティ』のみ。

奇しくも、「美人すぎる候補者総選挙」サイトが開設されたと思われる7月12日付けで、『ザ・リバティ』のウェブサイトには＜【参院選】「幸福実現党は美人候補ぞろい」とネットで評判 埼玉・谷井氏、兵庫・湊氏、徳島・小松氏らが話題に＞という記事が掲載され、前日11日には＜【参院選】幸福実現党・釈氏がネットで話題に「結婚したいなら釈量子!」＞という記事が掲載されています。「美人すぎる候補者総選挙」と前後して、幸福の科学で「美人候補祭り」が始まっていたわけです。

結局、幸福の科学周辺以外では、「美人すぎる候補者総選挙」が目立って話題になっている気配がありませんでした。一般の人々の間で話題になったのは、「美人すぎる候補者総選挙」の投票が終了し、結果が発表された後のようです。

■青年部が“組織動員”

Googleのブログ検索を使って、「美人すぎる候補者総選挙」を紹介した最も古いブログ投稿を探してみると、出てきたのは「幸福の科学・幸福実現党を応援します！！」というサイト。

【幸福の科学・幸福実現党を応援します！！ 2013年07月16日】楽しい投票のお知らせです♪
青年部からのお知らせです！

皆さまも参加してみてくださいね♪♪♪

HSウェブサポーターズの皆様

いまツイッターやフェイスブック上で出回っている、

「美人すぎる候補者総選挙」
↓↓↓
http://bsk48.com/

をすでにご存じですか？

参院選に出馬している35名の美人候補のうち、幸福実現党からも

・釈量子さん

・谷井美穂さん

・中根裕美さん

・湊侑子さん

・小松由佳さん

がエントリーされています！

私もさっそく投票してみました。

※誰に入れたかは内緒です(笑)

このサイトでは、投票完了画面の下の方に、自分のフェイスブックやツイッターに「美人すぎる候補者総選挙」のサイトをリンクできるボタンが出てきます。

特定の政党や候補者を応援するサイトではありませんが、幸福実現党やエントリーされている候補者の知名度アップにつながる可能性があると思います。

まずは皆様ぜひ投票してみてください。

そして、投票完了画面の下の方に出てくるフェイスブックとツイッターのリンクボタンから、お友達やフォロワーにサイトをシェアしてください。

フェイスブックもツイッターもされていないという方は、LINEやメールでお友達に教えてあげると良いかもしれませんね。

以下をコピペしてお使いください。

「美人すぎる候補者総選挙」

→ http://bsk48.com/
（略）

青年部が信者らに投票を呼びかけたわけですから、完全に組織的な動きです。

本紙は幸福の科学グループ広報局に、(1)「美人すぎる候補者総選挙」は本当に幸福の科学信者が開設したサイトなのか、(2)そのような疑惑を向けられることについてどう思うか、(3)ネット上でほとんど話題にもなっていなかったサイトの開設直後に、このように組織的に投票を呼びかけた経緯は？との3点の質問をメールで送りました。以下、それに対する教団からの返信です。

【2013年7月28日付の質問について 2013年07月28日】

藤倉善郎殿

本日2013年7月28日付の質問について、以下の通り回答します。

やや日刊カルト新聞からの取材には、お答えいたしません。

以上

幸福の科学グループ広報局

●● ●●

釈明する気もないようです。

■自作自演が濃厚だが……

上記で示してきたとおり、他でほとんど話題にもされていないのに幸福の科学関係者が「美人すぎる候補者総選挙」の情報を拡散し、党の青年部が組織動員をした上で、「釈量子氏3位」だの「5人がベストテン入り」だのと教団機関誌が報じた事実は判明しています。

「美人すぎる候補者総選挙」を幸福の科学自身が作ったのか、それとも無関係の人が作った企画に幸福の科学が便乗したのか、断定できる情報は見当たりません。しかし、いずれにせよ「自分たちでネット投票を盛り上げさせておいて“全員ベストテン入り”と自らアピールする」という点での自作自演があったことは間違いなさそうです。

ただ、選挙期間中は人気投票の経過や結果の公表が公職選挙法で禁じられています。「美人すぎる候補者総選挙」は当初、17日に中間発表、7月20開票としていましたが、途中から公選法違反であることに気づいたのか、結果発表は参院選投票終了後の21日に変更されました。

そのため幸福の科学は、釈量子候補が3位だったことも、5候補がベストテン入りしたことも、選挙期間中にアピールすることはできませんでした。もはや、いったい何のための自作自演だったのかわからない不毛なお祭りに終わった形です。

実際の参院選では、幸福実現党は全員落選。比例代表の政党別得票数では最下位の約19万票に終わりました。