ストーカー裁判で被告の統一協会信者に“自己中心的で身勝手”“執拗で悪質”“反省なく再犯も”と懲役3月求刑、被告の“トンでも意見陳述”を紙上公開

東京地方裁判所（霞ヶ関）

本紙10月31日既報記事統一協会信者ストーカー裁判が大詰め の続報。

11月8日霞ヶ関の東京地方裁判所531号法廷に於いて検察の論告求刑、弁護側の弁論・被告人の意見陳述がおこなわれた。

検察は宇佐美被告に対し懲役3月を求刑。
意見陳述で涙ながらに“トンでも”自論を展開した被告、その内容を法廷メモから抜粋し紙上公開する。

◆またも空席が

この日の法廷、開廷前には48枚の傍聴券を求め抽選には104人が並んだ。開廷前に確認すると、やはり傍聴席には6つの空席があった。

◆「自己中心的で身勝手」「犯行態度が執拗で悪質」「反省は皆無」「逆恨みして再犯に及ぶ惧れ」

検察は論告で、公訴事実を詳細に検証し「本件各公訴事実は当公判法廷に於いて取り調べられた関係各証拠からその証明は充分である」「被告人は被害者との結婚を諦めることができず、被害者に対する未練から機会があれば被害者と会って話をして被害者との関係を修復する目的、つまり恋愛感情を充足する目的で各犯行に及んだものと認められる」と述べ、被告の「被害者が偽装脱会していると思い婚約についての意思確認のためにまず居場所を捜す目的だった、待ち伏せしたわけではない」との弁解を「捜査段階での取り調べでは被害者に対する純粋な恋愛の気持ち」を明かしていたことを指摘、被害者の居住先からサウナセンターでの経緯についての被告人の供述についても「不合理で全く信用できない」とした。

情状では「曾ての婚約者への未練を断ち切れず被害者の父親の車にGPS機能付き携帯電話を貼り付け位置情報を元に被害者の所在を予測し尾行、5回に渡り待ち伏せした悪質なストーカー事案」「被害者の心情を全く無視」「犯行動機が自己中心的で身勝手」「犯行の態度が執拗で悪質」「被害者及び家族の精神的苦痛は大きく、被害結果が重大」、そして「被告の『被害者のためを思って探したのに告訴された。やり方があまりにも酷すぎる。悪いことをした気持ちではなく悪いことをされたという気持ち。後ろめたいことは何ひとつしていない。社会のルールを破ったわけではない』などの供述は自己を正当化するため虚偽の弁解を重ねており反省は皆無で被告人の規範意識の欠如は甚だしく被告人の刑事責任は重大であり本件告訴を逆恨みして被害者に対し再犯に及ぶ惧れは否定できない」と告げた。

そして検察は最後に「自己の刑事責任の重さを痛感させ規範意識を発生させて再犯を防止するためにも厳重に処罰すべき」と「被告人を懲役3月の刑に処するのを相当とする」と求刑した。

◆無罪主張の弁護側には裁判長から恒例の指導が

被告弁護人の堀川淳弁護士は「被告は〇〇さん（被害者）が拉致監禁による脱会強要を受け偽装脱会をしている可能性があると考え、結婚意思の確認をする目的で公訴事実記載の各行為をおこなったものであり、恋愛感情を充足する目的でおこなったものではない」「祝福破棄の意思表示は被告人に到達すらしていなかった。到達後も合理的理由から婚約破棄を本心とは認識していなかった」「思いがけず見かけた、来ることを予想していたわけではない。被告の各行為はストーカー規正法上の待ち伏せには該当しない」「偽装脱会を疑い結婚意思の確認には最終的にはGPSを用いた方法によるしかないと考えたものであり、偽装脱会をしているなら承諾が得られ『私のことを捜してくれた』と喜んでもらえると思っていた。仮にストーカー規制上法の待ち伏せに該当するにしても、被告人の主観に於いてはこれら各行為が身体の安全・住居等の平穏・名誉が害され行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法であることについての認識・認容がなかったのであるからストーカー行為の故意がなかったといえる」「本件はストーカー規制法を適用すべき事案ではない」「被告人の供述は捜査段階から一貫していて信用性が高い」と話した。

その後もくどくどと統一協会信者への拉致監禁・強制改宗の話を続ける弁護人、恋愛感情を充足する目的ではなかったと繰り返し主張する。

更にGPSの精度や新宿のパーキングでの経緯に関して細かく説明を始めた弁護人に対し福士利博裁判長から「あと7分くらいですよ。ひとつひとつ細かい部分は読まなくていいです。冒頭に読んだところ、また重複している」と注意が入る。

しかしながらまた同じような弁論を重ねる弁護人に、裁判長から「ここで言いたいのは用件を欠くというところでしょ」「ポイントを選んで」「細かい事実経過はいいじゃないですか」などと助言も入る。

堀川弁護士はその後予定していた弁論の原稿を大幅に省略、つっかえながら読み進め「本件事案の特質性」「〇〇氏（被害者）が被告人に対し気遣いの気持ちや考えを直接且つ明確に伝えなかったために被告人が意思確認の必要性に迫られやむなくおこなった行為」「各証人の証言は信用性がない」などと続けた。

そして「この告訴は常軌を逸しており告訴権の乱用である」とし「本件公訴事実記載の恋愛感情充足目的及びストーカー行為の故意を有しておらず待ち伏せもしていない。よってストーカー行為は成立せず裁判所に於いては速やかに無罪の判決をすべきである」と無罪を主張、弁護人からの弁論を締めくくった。

◆被告人は意見陳述で涙ながらに無罪訴え。原稿の“目の当たり”を“めのあたり”と読むミス

最後に被告人の意見陳述がおこなわれた。

裁判長から「随分長いですか？」と前以て質問があり、宇佐美被告は「大体10分くらい、早く読めば7分くらい」と返答。裁判長は「できれば要点を述べてもらいたい」と釘を刺し、宇佐美被告の原稿朗読が始まった。

宇佐美被告は冒頭読み始めるとすぐに言葉に詰まり、涙混じりの声になった。どうやら感極まったようだ。

「このように相手が消えた体験は二度目。過去数十年も続いてきた典型的な統一教会信者への強制改宗のための拉致監禁だったのです」「教会の悪い風評を利用して親の子供に対する愛情を逆手に利用して恰も信者になった息子娘たちが犯罪行為をおこなっているかのように妄想や錯覚を起こさせ恐怖感と不安を抱かせてこれを成長させ最後に拉致監禁へと向かわせることをよく知っていました」「強制説得を企画する人たちの動機が親子の問題を本当に解決するのではなく強制改宗をして多額な報酬を得ることを目的としており、そのためには手段を選ばず人権をも蹂躙していることも知っていました」「そして彼らがそのシステムを永続的に維持するため常に風評を作り流し固めあげてきた事実を目の当たりにしてきました」と早口で“拉致監禁キャンペーン”原稿を読み進める。
しかしながらここで宇佐美被告は、原稿の“目の当たり”の箇所を“めのあたり”と読み間違える痛恨のミスを犯す。自分で作成した原稿ではないとバレてしまった格好だ。

己のミスにも気付かず拉致監禁キャンペーントークを続ける被告。内容は毎度のことで変わり映えしないのでこの箇所は本紙でも省略する。

◆北朝鮮拉致被害者と混同も

そして宇佐美被告はまた「私は反対派に対する酷いやり方に怒りを感じ」と言い間違い。それにも気付かず「私たちに起こった苦難の真実を突き止めたいと思いました」と続ける。

「現在の立場に関係なく私と同じ環境に置かれたら皆さんはどう考えますか？北朝鮮に拉致された家族を持つ人たちに無条件に諦めなさいと言えますか？もし拉致されて北朝鮮に連れていかれた家族や婚約者から『幸せにやってます、心配しないで私のことは忘れてください、捜さないでください』と手紙が来たら、心からそれをメッセージとして受けとめることができますか、信じることができますか？」と無茶苦茶な論を張り「愛する家族が行方不明になったら、ありとあらゆる手段で捜すのが万人の心ではないでしょうか」「何故〇〇さん（被害者）は電話やメールでハッキリと私に伝えなかったのか？伝えてくれていればわざわざGPSを使ってまで〇〇さん（被害者）を捜す必要性はありませんでした」とGPS 携帯の悪用を正当化する始末だ。

◆GPSについて「何の役に立つテクノロジーか」と熱弁を振るう被告

ここから被告人は図に乗ったのかその暴走が加速する。

「GPS携帯電話は、もしもの時に犯罪を未然に防いだり迷子になった子供を捜したりすることのできる普通の道具なのです。背景と目的をみて判断してほしいと思います。携帯を電車の中で使えば嫌な顔をされたり注意されたり怒られます。しかし誰かが倒れて意識不明だったり喧嘩が起きたりするのを見てなんとかしたい思いから電話で助けを求める人を見て『ルールだから電車で電話するな！』と文句を言う人はいないと思います」「私は傷付いているかもしれない〇〇さん（被害者）を少しでも早く解放してあげたかったのです」「本当に必要な時に使用できないとしたら何の役に立つテクノロジーになるのでしょうか」「それを使わなかったことで〇〇さん（被害者）の被害が大きくなるかもしれません。またそうなればどれだけ悔しいでしょうか」

被告のテクノロジー論が法廷に炸裂した。

◆「目を覚まし自我を取戻し前向きに」と被害者を“気遣う（？）”被告。傍聴人からは「お前が言うな！」との声も

被告人は改めて“恋愛感情の充足目的”を否定し「私はこのように不当な言い掛かりとぞんざいな扱いを受けたことに憤りを感じています。しかしながら〇〇さん（被害者）に対しては気の毒だと思っています。それは周りが作り仕立てた〇〇さん（被害者）であるからです。〇〇さん（被害者）は本当は心優しい人でしたが、今は恐ろしい人になってしまいました。不幸な人生を他人のせいにすることで逃れることしかができない辛い状況であり、今の〇〇さん（被害者）が心のバランスをかろうじて保つためになんとか生きるための仕方のない精神状態なのだと思います。今回私が起こした一連の行動は（中略）自己中心的な恋愛感情を満たすためにおこなったことではありません。ただ結果として〇〇さん（被害者）が強制改宗により何処かの時点で意識が変わり私の行動で不安を感じたのであればその点は気の毒なことをしたと思っていますが、私は〇〇さん（被害者）が『私と幸せな家庭を築きたい』と言ったことをハッキリと覚えておりその一点を信じて続けてきた結果だということだけは理解してほしいです」「〇〇さん（被害者）は充分対応することが可能だったのに争うことしか解決の道がないと仕向けられました。拉致監禁・強制改宗をおこないながら『拉致監禁は存在しない』と主張する人間に破壊され作り変えられてしまったことが本当に残念でなりません。〇〇さん（被害者）が持っていた誠実さや優しさなどの人として大切なものを捨てさせてまで一体何が残るのでしょうか？今本当に幸せなのでしょうか？私が今後〇〇さん（被害者）とかかわりを持つことはありませんが、〇〇さん（被害者）には目を覚まし自我を取戻し一日も早く自立して自然で前向きに人生を歩んでほしいと願うばかりです。そして早く御両親と一つの家族に戻って幸せになってほしいと思います」と語った。

被告の陳述を聞いたある傍聴人は閉廷後「お前が言うな！という感じですね。被告は自分を悲劇のヒーローとでも思っているようだ」と語った。

◆次回判決公判は年末に

被告の思い込みと持論が炸裂した意見陳述も終わり、これで全ての審理を終えた本裁判は次回12月27日午後2時半から同じ531法廷で判決が言い渡される。

【統一教会公式HP】
宇佐美隆さんの第10回公判
宇佐美隆さんの最終意見陳述全文