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2022年3月31日木曜日

【まいんど】「宗教二世」の葛藤と苦悩を伝える論文(下)=藤田庄市

 前回「上」の続き。Aさんの論文「宗教2世問題と支援の展望-アンケート調査による実証的分析を通してー」の紹介を続ける。同論文は2世問題に関し、脱会過程と宗教2世への支援を二本柱にして詳細に論じており、今回はその脱会過程の諸相から、①脱会の布石となった事項、②脱会の阻害要因、③脱会後に生じる困難のうちの精神状況の一部を伝える。なお、アンケートの回答は自由記述であり、そこに含まれるすべての要素を洗い出すために、AさんはKJ法を用いて分類をおこなっている。

本連載は「週刊仏教タイムス」に連載中の「まいんど マインド Mind」を、同紙と筆者の藤田庄市氏のご好意により再掲載させていただいているものです。記事中、一部表記を変更しています。本紙での再掲載にかんする責任はすべて本紙にあります。問合せ・意見・苦情等は、「やや日刊カルト新聞」編集部(daily.cult@gmail.com)までお寄せ下さい。
 

2022年3月30日水曜日

【まいんど】「宗教二世」の葛藤と苦悩を伝える論文(上)=藤田庄市

 この春、A4判109枚から成る1本の論文が首都圏の大学に提出された。タイトルは「宗教二世問題と支援の展望―アンケート調査による実証的分析をとおして―」。論者はAさん。「壮絶な葛藤と苦悩の経験を告発する宗教2世が少なからず現れ始めているにも関わらず、宗教2世が抱える諸問題を解決するための制度、環境作りが追いついていない。これが筆者の問題意識である」。論文冒頭にAさんはそう記す。


本連載は「週刊仏教タイムス」に連載中の「まいんど マインド Mind」を、同紙と筆者の藤田庄市氏のご好意により再掲載させていただいているものです。記事中、一部表記を変更しています。本紙での再掲載にかんする責任はすべて本紙にあります。問合せ・意見・苦情等は、「やや日刊カルト新聞」編集部(daily.cult@gmail.com)までお寄せ下さい。
 

2012年1月19日木曜日

【まいんど】殺害の根源的理由は不明/オウム・杉本繁郎受刑者(4)=藤田庄市

富田事件が起こされた第2サティアン跡に建てられた慰霊碑。ただし由来はなく何の碑かはわからない(1999年7月、撮影・藤田庄市)
前回からの続き)麻原への疑念とそれを抑え込む信仰心。なんとか心の平衡を保っていた杉本だったが、遂にポアすなわち人の命を殺めてしまう犯罪に手を染めてしまう。1994年1月の落田氏集団リンチ殺害事件と7月の冨田氏リンチ殺害事件、そして95年3月の地下鉄サリン事件である。わけても杉本が直接に手を下した冨田事件を中心に追ってゆく。

2012年1月18日水曜日

【まいんど】無間地獄への恐怖感が支配/オウム・杉本繁郎受刑者(3)=藤田庄市

修行するオウム真理教の信徒たち(1991年秋。富士総合本部道場=当時=撮影・藤田庄市)
前回からの続き)杉本が非合法活動に従事し始めたのは1990年4月からである。すでに前年、麻原らは田口氏殺害事件(信徒リンチ殺人)、坂本弁護士一家殺害事件(無差別殺人への入り口)を起こしていた。90年2月の総選挙に惨敗したオウム真理教は、「これからヴァジラヤーナによる救済の実践を行う」との麻原レトリックのもと、コアメンバーを中心に無差別テロに突き進むことになる。杉本もその一人だった。

2012年1月17日火曜日

【まいんど】神秘体験で霊的結合を確信/オウム・杉本繁郎受刑者(2)=藤田庄市

かつてサティアンがあった「第一上九」跡。現在は公園になっている(2008年9月、撮影・藤田庄市)
前回からの続き)ヨーガによる神秘体験や精神世界系チベット仏教書の感化を蒙り、オカルト雑誌の麻原執筆記事に魅了され、この男こそ真のグルだと「思い込んだ」杉本。彼が上京した「運命の日」は1986年3月1日だった。すでに彼のスピリチュアリティには麻原に同化する土台が築かれており、初対面から彼は麻原の霊的言動に衝撃を受け、一気に「狂信」の道をひた走ることになった。

2012年1月16日月曜日

【まいんど】グルを希求し続けた青年/オウム・杉本繁郎受刑者(1)=藤田庄市

山梨県の旧上九一色村にあったオウム真理教のサティアン群(1995年3月末、撮影・藤田庄市)
最高裁は2009年4月20日、オウム真理教事件の杉本繁郎被告(50歳・以下杉本)の上告を棄却。杉本の無期懲役が確定した。杉本は1986年3月に「オウム神仙の会」時代に入信した最古参の元幹部である。麻原彰晃教祖の運転手などを果たしながら、非合法活動に従事した人物だ。裁かれた罪は、地下鉄サリン事件散布役の送迎、2人の信徒リンチ殺人への関与である。

2011年11月16日水曜日

【まいんど】「好転反応」の呪縛、そして娘の死/真光元事件(2)・藤田庄市

一審判決後の記者会見で。額の写真は亡くなった少女(2010年3月29日)
2005年7月に起きた真光元事件について続ける(民事裁判として継続中。前回記事)。

インスリンを打たねば生きてゆけないⅠ型糖尿病という不治の病に冒された豊島桂子(当時12歳。仮名)と母親の美也子(55歳。仮名)は、絶望のなかで真光元(まこも)神社と教祖・堀洋八郎(67歳)の存在を自然療法師の幹部信者、山田和子(51歳。仮名)から布教され、その宗教言説と実践に没入してゆく。同神社のお札を拝み、植物のヒメガマから作られた真光元を飲み、水を変えない真光元入り風呂に入る生活に、主観的には希望を見出した昂揚感のせいか、一時、桂子は顔色も良くなり食欲も出た。これで一気に真光元神社への信仰は深まってしまった。しかし、現実は冷厳だ。病院での検査結果は悪く、入院をせざるをえなかった。にもかかわらず、真光元への疑いが生じなかったのは何故か。

2011年11月15日火曜日

【まいんど】難病苦の母娘が向かった先…/真光元事件(1)・藤田庄市

事件当時の著作やパンフレット類
今年(2010年=本紙註)1月、福岡市で生後七ヶ月の長男に必要な医療を受けさせなかったとして、両親が異例の殺人罪で警察に逮捕された事件があった。その両親は宗教法人「新健康協会」の職員だった。同協会は二年前まで「晴明教」と名乗っていた新宗教教団で、世界救世教の分派である。夫婦は「浄霊」(手かざし)によって乳児のアトピー性皮膚炎を治せるとし、医者に診せることをしなかった。乳児の身体中には和紙製の「後霊紙」が貼ってあったという。しかし検察は、「殺人罪を立証する証拠を得られなかった」として、2月4日に遺棄致死罪で夫婦を起訴した。

こうした宗教的医療拒否による死亡事件は後を絶たない。そのたびに世間は「またか」と思い、そして忘れる。が、世間の常識では本来、思いもよらないことのはずだ。その思いもよらないことが何故おこるのか。今月29日に東京地裁で民事裁判が判決が下されるある事件についてレポートしよう。

藤田庄市氏「まいんど」連載開始

「やや日刊カルト新聞」では、本日11月15日より、フォトジャーナリスト・藤田庄市氏による連載記事「まいんど」の掲載を開始します。この記事は『週刊仏教タイムス』で不定期連載されている「まいんど マインド Maind」を、仏教タイムス社と筆者の藤田氏のご好意により、ほぼそのまま再掲載させていただくものです。