2011年11月26日土曜日

神世界事件、教祖隠匿の元神奈川県警警視に懲役2年求刑

元神奈川県警警視“宗教家”吉田澄雄容疑者
逮捕状の出ていた神世界の教祖を匿ったとして犯人隠避容疑で逮捕された元神奈川県警警視の裁判、検察は「警察官に対する信用を大きく損なった」などとして元警視に懲役2年を求刑した。

取り調べ段階では黙秘を貫き「全ては裁判官の前で話す」としていた被告は、犯行を認めたものの教祖への逮捕状発布の経緯に関し「捜査当局の不手際、失態」と元同僚らを非難、法廷は一時元警視の独壇場となった。



神世界事件のキーマン

有限会社“神世界”グループによる霊感商法事件、教祖・斉藤亨容疑者の逃亡を手助けしたとして逮捕された元神奈川県警警視・吉田澄雄容疑者(53)。

吉田容疑者は警察官時代、ノンキャリアながらスピード出世を果たし「将来の部長候補」との評価を得ていた。35歳で警部、45歳で警視に昇進、警察庁へ出向経験もあり、県警では国際テロ対策室長なども務めた。神世界のサロンで会計をおこなっていたことなどが発覚し懲戒免職となった時の役職は県警の警備課長だった。


◆横浜地裁第405号法廷、職業は「宗教家です」

横浜地裁
平成23年11月25日午後、横浜地裁西側入口脇には30席の傍聴券を求め87人の傍聴希望者が列を作った。

開廷し、裁判長に名前を聞かれた被告は「ヨシダユキヒロです」と答える。今年4月11日に名前の読みを“スミオ”から“ユキヒロ”に改称したそうだ。

「仕事は何をしていますか?」との質問に被告は「宗教家です」と答えた。




「間違いありません」


起訴状を読み上げる検察官、公訴事実について被告は「間違いありません」と認めた。

冒頭陳述の中で検察は吉田被告が懲戒免職となった後、神世界の傘下団体に於いて県警在職時の名刺を顧客に示し神奈川県警の警視としてカルト集団等の取り締まりにあたった経歴を誇示した上で神世界のサロン・E2(イースクエア)について「その様な集団とは異なる」などと偽証し勧誘していたことや傘下団体の最高責任者である杉本明枝と結婚し氏名の読みを変えていたことなどを読み上げた。


「スケープゴート」被告と弁護人は捜査当局を非難


弁護人からの被告人質問で吉田容疑者は、懲戒免職について「スケープゴートになった」と自身を擁護、「捜査当局が逮捕状発布時に教祖様の所在確認をしておらず警察の失態がなければ自分が犯人蔵匿罪を犯すこともなかった」と述べ、責任を転嫁するような発言も見られた。

教祖を匿ったことに関しては、「教祖から頼まれたから」と述べ、「私ががかわったことで神世界事件が大きく報道され教団に迷惑を掛けた負い目があった」と話した。

また事件を起こしたことについては「深く反省している」と述べ、罪を贖うため弁護士会に100万円の寄付をしたことも明かした。


今後は「ケースバイケース」


検察からの被告人質問、「犯罪の認識があった」と話す被告に対し「今後また教祖に頼まれたらやってしまうのか」と検察官が追及すると、吉田容疑者は「ケースバイケース」「今はそういうことはしない」と曖昧な返答、それは何故かとの更なる追及には「裁判官の前でこうやって反省しているから」と答えた。

また、神世界が詐欺行為をおこなっていると思うかとの質問には「思っておりません」と即答、裁判官から今後の生活について反省をどのように生かしていくのかと訊かれると「宗教家として斉藤先生の御指導を仰いだ上でしっかりと・・・」と述べ、まるで反省しているとは思えないような返答に終始した。


「警察官に対する信用を損なった」


論告で検察は、事実関係、情状から被告の犯行を的確に指摘し「職歴からも動機に酌量の余地はなく強く非難されなければならない」と述べた。更に犯人を蔵匿することについて「反復継続しておこなわれることが多い組織的犯罪がおこなわれた場合に、根絶のための団体の実態解明・事案の真相解明を著しく困難にする上、更に犯罪が継続される温床となり違法性が高い、法の趣旨に則り一般予防の観点からも被告人を厳重に処罰することが不可欠」と厳罰を求めた。

検察官は被告人の発案で積極的に犯行に及んでいたことにも触れ「被告人抜きには考えられない計画的且つ巧妙なもので被告人が主導的役割を果たした」と指摘、そして「早期の真相解明を妨げ刑事司法を害したことは重大。本件は社会的にも重大悪質な組織的詐欺であり、組織の最高責任者であった斉藤を匿うなど警察官に対する信用を大きく損なった。真に反省しているとは認められず今後も神世界や傘下団体のために同種再犯に及ぶ惧れは極めて高い、猛省を促し責任の重大性を認識させ再犯を防止するためには厳重処罰が必要である」とし、「懲役2年の実刑に処するのを相当とする」と求刑した。


最終弁論で「ある種間抜けで稚拙な犯行」


最終弁論で弁護人は「捜査当局の不手際・失態があった」「教祖に負い目があって断りきれなかった」と動機に於いて酌量の余地があると再度主張。

「悪質であるとは言い難い」「蔵匿も一時的」「ある種間抜けで稚拙な犯行」「前科はなく犯罪傾向もない」「実名報道により社会的制裁も受けている」などと述べ、執行猶予付きの判決を求めた。

最後に被告人が「深く反省しております。申し訳ありません」と述べ公判は結審した。


判決は12月9日


判決公判は12月9日午後130分からとなった。

吉田澄雄元警視の不祥事については県警の歴代本部長や上司だった幹部計6人が監督責任を問われ戒告などの処分になっている。神奈川県警をその信用問題に巻き込んだスキャンダルの張本人である元警視に対する法の裁きは同法廷で言い渡される。



4 コメント:

匿名 さんのコメント...

「深く反省しております。申し訳ありません」
何なんだろう。裁判官の前でこうやって反省しているからこの罪はもう終わり。詐欺行為の自覚も無いので、社会的制裁を受けたから言葉で十分みたいな感じ。
警察官という職種の悪用、信用を損なう行為もあったので今回は罪に問われているとでも思っているのでしょうか?

社会的立場がどうであろうと、人を騙す霊感商法や宗教法人に対しても厳しく問い、違法行為が続かないようケースごとに真相解明、再犯予防がされるようになれば良いと思います。

匿名 さんのコメント...

この元警視は何をしたの?

教祖の居場所を知ってたけど上司に報告しなかったってこと?

匿名 さんのコメント...

この記事じゃ何にも分からんな。

オホーツク海岸の論客 さんのコメント...

警察官を辞める事に追いこまれた時には「俺は神世界の人間だ」一本で生きる事に迷いは無くなっていたんだね。数えてるお金がどんな質なのか、わかってないのかも知れないな。

もうすぐ判決か・・・・・・