【長生村・百条委】幸福の科学職員、証人喚問を欠席

千葉県長生村の村長が幸福の科学から自動車と昼食の提供を受けて「幸福の科学学園」を視察したとされる問題で、長生村議会の百条委員会（特別調査委員会）で5月11日、視察に同行した村長の支援者の男性と当時の幸福の科学「千葉正心館」館長だった教団職員の2人が、証人喚問を欠席しました。支援者男性の欠席理由は「体調不良」。教団職員は事前に文書で、委員会当日は教団の「ヘルメス大祭」を理由に欠席しました。


■「霊的地場構築のため忙殺」

長生村百条委員会では、石井俊雄村長が「幸福の科学学園」を視察した際、教団から自動車と昼食の提供を受けたのは公職選挙法違反（寄附行為）に当たる疑いがあるとして、地方実方に基づいて設置されたもの。委員会は、視察に同行した村長の支援者男性と教団職員に対する証人喚問を4月の委員会で決定し、それぞれに出頭を要求していました。

証人喚問は5月11日に行われる予定でした。しかし支援者男性は、前日まで出席の意向を示していながら、当日朝になって「体調不良」を理由に欠席を伝えてきました。教団職員は5月4日付で、11日には教団の「ヘルメス大祭」が行われていることを理由に欠席しました。ただし教団職員は、宗教行事などを理由に、5月11日だけではなく、7月15日に落慶予定の「仙台正心館」のための「霊的地場の構築準備指導にも忙殺される状況」などとして、7月15日までは欠席できない、と伝えてきました。

■21日の出頭を改めて要求

11日の百条委では、証人喚問を中止。2人の欠席を「正当な理由による欠席」とみなすかどうかについての決議が行われました。

議員らからは、まず、村長の支援者男性について、「これまでの百条委員会を傍聴しにきていた人物が、当日の朝になって、明らかに本人の筆跡ではない代筆のFAXで欠席を連絡してくるのはおかしい」といった意見が出ました。これに対して委員長は、本人による欠席届けの文書と診断書の提出を求めることを条件に、この日の欠席については「正当な理由による欠席」と認めることについて採決。大半の議員の賛成により可決されました。

教団職員については、議員から「今日の欠席については正当な理由と考えてもいいが、この先ずっと1日も出頭できる日がないというのはおかしい」との意見が出されました。こちらについても、少なくとも5月11日の欠席については「正当な理由」とする決議がなされました。

百条委は、2名に対して改めて出頭を求め、5月21日に証人喚問を行なうことを決め終了しました。

■“信教の自由”を振りかざす欠席理由

幸福の科学の教団職員が5月11日の出頭を拒否した理由は、100%宗教的な理由でした。要約して列挙すると、以下のとおり。

・自分は東北地方を管轄する「東北・田沢湖正心館」の館長として、魂の救済という聖務に就いている。
・その政務内容は、鎮魂、式典、祈願、研修、個別相談等、極めて過密スケジュールである。
・昨年の東日本震災の被災者の魂が、まだこの地を彷徨い、成仏していないため、鎮魂が急務である。
・自分はその鎮魂行事も指導する立場にある。
・今年7月15日に落慶予定の「仙台正心館」について、霊的地場の構築の準備指導にも忙殺されている。
・5月11日当日は、「ヘルメス大祭」で導師を務める予定である。
・その後も当教団の二大祭典のひとつである7月7日の御聖誕祭、7月15日の仙台正心館落慶を迎えるまでは、容易に東北の地を離れるわけにはいかない。
・7月15日以降であれば出頭することが可能である。
・日本国憲法20条は「信教の自由」を保障している。宗教法人法第84条は、公共団体の如何が宗教上人について調査する場合、「宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないよう特に留意しなければならない」と定めている。

これに対して百条委メンバーの一人である村議は、本紙の取材に対してこう語りました。

「百条委による証人喚問では、多忙を理由とした欠席は認められていない。出頭命令ですから、証人の都合によって決められるものでもない。このような一方的な理由での欠席は、刑事告発に値する。次回21日の出頭要求に対しても幸福の科学側が言を左右して応じないようであれば、百条委では刑事告発を検討も含めた厳しい意見が出るのではないか」

宗教法人法は宗教法人への「配慮」を定めているのであって、教団側の一方的な都合で証言を拒否しても良いと定めているわけではありません。また、百条委が教団職員に改めて出頭を要求している5月21日は月曜日で、幸福の科学の施設の定休日にあたります。とても配慮された日程でしょう。

前回の記事で解説したとおり、百条委の証人喚問を拒否した場合は、「6カ月以下の禁錮または10万円以下の罰金」という刑事罰も定められています。一般人には多忙を理由とした証言拒否は認められず、宗教者であればそれが認められるとする法律は存在しません。

再度の出頭要求に教団職員がどう対応するのか、注目されます。

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