本紙主筆を排除しようとした幸福の科学が早稲田祭から排除される

11月3日、早稲田大学で開催中の「早稲田祭」で、幸福の科学学生部による出展「心のエステ」と、幸福実現党関係者による講演会「早大生よ、大志を抱け！」が開催され、講演会にはTOKMA（尖閣諸島に上陸した幸福実現党員ミュージシャン）も出演しました。幸福の科学側は、講演会会場前で本紙主筆らの入場を拒否し、小1時間にわたり押し問答に。一方、この講演会の最中に、別階で開催されていた「心のエステ」が学祭ルールに反して客の個人情報を収集していたことが発覚し、学祭運営によって出展中止処分。本紙を排除しようとした幸福の科学でしたが、学祭開始から約2時間で自分たちが学祭から排除されてしまいました。


■入場拒否にTOKMAも「まじか～」

"本紙既報の通り、11月3日に早稲田大学で始まった「早稲田祭2012」に、幸福の科学学生部による学内団体「早大HAPPY SCIENCE」が、教団の教義に基づいた心理テストを行う「心のエステ」を出展するとともに、別室で3日午前11時30分から幸福実現党女性局長・釈量子氏による講演会「早稲田生よ、大志を抱け！」を開催しました。いずれも、幸福の科学という宗教団体による布教活動であるとの事実が明示されていないため、本紙では“偽装出展”ではないかと問題視していました。

「早稲田生よ、大志を抱け！」は当日になって、釈氏による講演会ではなく釈氏とTOKMA氏の対談に変更となり、会場にはTOKMAも登場。会場入りするTOKMAに本紙・藤倉善郎主筆は「TOKMAさ～ん、お久しぶりで～す！」と声をかけ、会場周辺にいる人々に「オレはTOKMAと顔見知りなんだぜ」的な優越感を振りまきました。藤倉の息子も「うわ～、本物のTOKMAだ」と大感動です。

ところが、藤倉らが入り口付近で開場を待っていると、幸福の科学の学生信者が入り口で声をかけてきました。

学生「報道関係の方ですか？」

藤倉「違います」

学生「藤倉さんですか？」

藤倉「そうです」

学生「報道関係の方の入場はお断りしたい」

藤倉「幸福の科学は、我々に対して『単なる個人ブログであって報道ではない』と主張して抗議してきている。あなたがたにとって私たちは報道ではない。ただの客です。ただの客として入ります」

学生「では記事にはしないという約束でしたら」

藤倉「じゃあ、ほかのお客さんに対しても『これは秘密会合なので、内容をよそで書いたり話たりすることは一切しないように。ブログやTwitterに書くことも禁止』と告知してください。我々は、他のお客さんと平等なルールであれば従います」

押し問答の最中、控え室のドアのガラス越しにTOKMAの姿が見えました。

TOKMAさ～ん、聞いてくださいよ～

藤倉「TOKMAさ～ん、聞いてくださいよ～。こいつら、ぼくのこと入場拒否するんですよ～」

話のわかるTOKMAに告げ口です。

TOKMA「まじか！　別にいいじゃねえか。誰がそんなこと言ってんだよ」

藤倉「こいつです～」

学生信者をTOKMAのところに来させようとしましたが、近づいて来ません。他の信者が「TOKMAさんはいま控え室で準備しているので近づかないでください」と、藤倉を控え室のドアから引き離してしまいました。

入場拒否をめぐる押し問答は小一時間続き、すでに講演会が始まってしまいました。その間、信者は報道ではない個人客についても「入場拒否は（学祭の）運営も認めている」などと主張していました。しかし実際に学祭運営スタッフが話し合いに合流すると、信者側の主張が完全なウソだったことがわかりました。運営側によると、

「取材拒否は運営側で判断することもあるが、一般客の入場を拒否するかどうかは運営はタッチしない。企画者の責任で判断すること」

とのこと。

また話し合いの最中、学生信者は早稲田祭運営に連絡を取る振りをして何度も中座していたのですが、実は少し離れた場所で宗教法人の職員に指示を仰いでいたことも判明しました。学生による企画を装っていますが、実際には宗教法人が裏で仕切っているイベントだったというわけです。

■幸福実現党講演会で宗教宣伝

最終的に学生信者は、入場拒否は別階での「心のエステ」についてであって幸福実現党の講演会についてではない、などと言い出しました。

藤倉「講演会の入場を拒否するというから、講演会が始まってもこうして話していたのに、どういうことだ。それなら講演会が終わってから言えばいいことじゃないか。これじゃ単なる入場妨害だ。きったね～。それが仏弟子のすることか」

学生「私たちは早稲田生として……」

藤倉「その胸のORペンダントは早稲田のペンダントか？」

信者たちは黙って去って行きました。結局、本紙・藤倉らは講演会の途中から入場することができました。

幸福実現党の釈量子女性局長と「尖閣上陸男」のTOKMAの対談でしたが、ほとんどはTOKMAが喋っていました。TOKAMAは、計3曲をその場で披露。あの名曲「I LOVE ZIPANG」を歌った際には、尖閣上陸の際にギター代わりにかき鳴らして歌ったあのホウキを釈女性局長に持たせて、自分はギターを弾き語りするという変わった演奏風景も。

TOKMAは対談の中で、幸福の科学の教祖・大川隆法総裁の著作の宣伝や、大川総裁と自身の対談を収録した書籍の宣伝もしていました。また最後に歌った曲は、大川総裁と自身が合作したという新曲。曲の最後には「エル・カンタ～レ～」（幸福の科学における大川総裁のこと）と歌い上げていました。

完全な宗教宣伝です。

もちろん、宗教宣伝自体がいけないわけではありません。TOKMAが悪いわけでもありません。宗教宣伝を禁じている早稲田祭で、宗教宣伝ではないかのように装ってイベントを開催している「早大HAPPY SCIENCE」と、「早大HAPPY SCIENCE」に指示を出している宗教法人の問題です。

■「心のエステ」は個人情報収集が発覚し中止に

幸福実現党の対談を楽しんだ後、本紙・藤倉たちは「心のエステ」へ。ところが、「心のエステ」の部屋の前には「中止」の張り紙が出て、学生信者たちが部屋の飾りをそそくさと剥がしています。何事かと思い、近くにいた早稲田祭運営スタッフに聞くと、

「心のエステでは、早稲田祭で禁じられている個人情報収集を行っていたことがわかったので、中止にしました。今回の学祭期間中はもう二度と出展できません」

来場した客に、団体の正体を隠したまま名前や連絡先を書かせていたようです。「心のエステ」が中止されたために部屋から出てきた、一般客の女性たちに話を聞きました。

「中では、こちらの心理状態を色で表すような心理テストのようなことをやっていました。宗教の話は全く出てきませんでした。宗教団体の出展だったとは知りませんでした」

ところが、その女性たちが「心のエステ」で手渡されたカードや冊子には、幸福の科学の教祖・大川隆法総裁の著書の抜粋などが、「大川隆法」や「幸福の科学」という文字が一切ないまま印刷されていました。宗教団体の教義を、それと気づかせないようにしながら来場者に伝えていたわけです。

■ウソつき教団の早稲田祭は2時間で終了

早稲田祭では、宗教に関わる企画や勧誘活動は禁止されており、出展サークルはこの点も含めたルールを了解した上で出展申請をしています。つまり幸福の科学学生部が「早大HAPPY SCIENCE」を名乗って出展した「心のエステ」も幸福実現党講演会「早稲田生よ、大志を抱け！」も、宗教に関わる企画ではないかのように装って申請された企画です。しかしどちらも実際の内容は完全に幸福の科学の宣伝でした。つまり完全な偽装企画だったわけです。

10月31日に本紙は、〈幸福の科学が大学祭で偽装出展？〉としてこの問題を報じました。これに対して11月2日、教団広報は本紙に対して、こう抗議してきました。

「早稲田祭のサイトに教団名を載せなかったのは、早稲田祭運営からの指導があったから。我々は正直にやりたかった。私たちが偽装したわけではないので、記事は事実と違う。訂正と謝罪をお願いします」

教団の言い分の通りなら、偽装をしたのは幸福の科学ではなく早稲田祭運営だということになります。ところが、早稲田祭運営によると、

「運営側から幸福の科学に対して、そのような指導をしたことはありません。サイトやパンフレットに掲載するために早大HAPPY SCIENCEが提出してきた文面には、最初から“幸福の科学”の文字はなく、布教目的であるということも記載されていませんでした」

とのこと。11月4日になって教団広報は、事実関係の説明をこう変更してきました。

「宗教宣伝はダメだと前もって言われていたので、そのような内容にしました。運営側から文面を変えるよう指導されたわけではありません」

それでは、本紙に訂正と謝罪を求めてきた当初の主張はウソだったことになります。しかも早稲田祭運営側は、

「早大HAPPY SCIENCEは、昨年は出展していなかったので、こちらとしては今年申請があるかどうかを事前に把握していませんでした。ですから当然、申請前に早大HAPPY SCIENCEに対して何らかの指導を行った事実もありません」

運営からの事前指導があったかのような教団広報の説明もまたウソでした。

宗教法人の職員が学祭の現場で学生に指示を出すほどの「宗教団体直営企画」であるにも関わらず、「幸福の科学」というサークルの正体を隠す。宗教団体の布教目的の出展であるのに、説明文にはその事実どころか「宗教」のシの字も出さない。来場者に対して、宗教であることを伝えないまま教義を使った心理テストを行い、個人情報まで収集する。本紙藤倉らの入場を拒否する際に、さも早稲田祭運営が入場拒否を認めているかのようなウソをつく。本紙の記事が何も間違っていないのに、早稲田祭運営とのやりとりについてウソの説明をして記事の訂正や謝罪を求めてくる。

早稲田祭の初日は、午前10時にスタートしましたが、12時過ぎには「早大HAPPY SCIENCE」主催の講演会も「心のエステも」終了。このたった2時間の早稲田祭をめぐって、幸福の科学はいったいどれほどのウソをついたのでしょうか。