教団イベント参加＆信者運動員疑惑の自民党・菅原一秀衆議院議員「10000％ない」「宗教団体は嫌い」統一教会との関わりを完全否定

本紙主筆の直撃取材に答える菅原議員

　昨年11月、統一教会・家庭連合の2世組織・勝共UNITEによる改憲大会に参加したとされる菅原一秀衆議院議員（自民党／東京9区）。
　菅原議員の元公設秘書が立候補している練馬区議会議員補欠選挙（15日投開票）の取材を行なう筆者に寄せられたのは、菅原議員に関する新たなカルトスキャンダルだった。
　前月10月の衆院選で菅原陣営が同教団の青年信者を選挙運動員として使っていたというのだ。
　一連の疑惑を追及するため、本紙は元秘書と菅原議員本人を直撃取材した。


◆統一教会イベントのゲストスピーカー
　 15日に投開票される練馬区長選挙と練馬区議会議員補欠選挙、各陣営の選挙運動は終盤戦を迎えている。本紙が注目したのは補選の方だ。

柴田さちこ候補の選挙カー

　同補選では菅原氏の私設秘書を４年、公設秘書を10年務めた柴田さちこ（自民党公認）氏が立候補しているからだ。
　昨年11月3日、国際勝共連合の傘下組織で統一教会・家庭連合の2世信者団体・勝共UNITEによる憲法改正イベント『改憲2020実現　東京大会』のゲストスピーカーとして登壇し信者を激励したとされるのが菅原一秀議員。これは同じくゲストスピーカーとして講演した「保守系論客」で「作家・神主・コラムニスト・著述家」の肩書きを持つ吉木誉絵氏のツイートから発覚した。

【吉木誉絵氏ツイート 2017年11月3日23時28分】

 今日は日本国憲法が交付されて71周年の日。18歳から20代の若者300人を前に、なぜ憲法改正が必要なのか9条を中心にお話ししました。自民党の菅原一秀先生や、織田邦男元空将もゲストスピーカーとしてご臨席。女子大学生が「平和のためにこそ改憲が必要」とスピーチしていたのが印象的でした。

◆教団系メディアや勝共UNITEサイトにも「国会議員」「激励」
 　同教団系メディアである世界日報のViewpointには、翌4日付けで『「平和維持に憲法改正必要」大学生が改憲支持ラリー』と題する記事が掲載され「大会には、国会議員や有識者なども激励に駆け付けた」との記述がある。
　また、勝共UNITEの公式サイトにも同大会の記事『東京・仙台・福岡で「改憲2020実現大会」開催』が掲載されており「２名の国会議員からの祝電が読み上げられた後、現職の国会議員が激励のメッセージを語られました」と記されている。

◆衆院選に信者運動員登用の情報
 　本紙は同月5日、菅原議員の国会事務所と練馬事務所へ同大会への参加の経緯などを問う質問書FAXを送信したが、期限までに回答を得られなかったのは既報の通りだ。
　この質問書FAXや改憲大会への菅原議員参加の経緯を当時同議員の練馬事務所の公設秘書だった柴田氏が知らないわけがない。FAX送信前、筆者に電話応対したのも柴田氏だと思われる。本紙は柴田氏を直接取材するため、補選の選挙運動を展開する柴田氏の動向を追っていた。その矢先、菅原陣営の内情を知る事情通から決定的な情報を得た。昨年10月22日、改憲大会の直前に行われた第48回衆議院議員総選挙において、菅原氏の選挙運動員として４、5人の統一教会・家庭連合の男性青年信者が動員されていたというのだ。これらの運動員を「20代のスーツを着なれていない感じ」「それまでにいなかった人たちで地域の人ではないことは明らかだった」と表現する事情通。他陣営や区内からも同じ指摘があったという。選挙戦終盤の10月21日、石神井公園駅前で麻生太郎副総理が菅原氏の応援に駆け付けた際も、この信者と思しき若者たちが目撃されていた。

◆元秘書の区議候補者を直当て取材　運動員の素性は「（菅原が）早稲田の早実なので野球部」
　練馬区議選の選挙運動期間中の11日夜、大泉にある柴田氏の選挙事務所近くで候補者本人を取材した。

柴田候補の選挙事務所

筆者の直撃取材に驚く柴田候補だったが

快く、歩きながら取材に応じる柴田候補

 　私からの質問書ＦＡＸについては柴田氏は「いろいろ抱えちゃって覚えてない」と弁明。昨年11月３日の統一教会２世イベントに菅原議員が出席した件についても「その時期、選挙の収支報告書をがんがんやってて・・・」とこれまた覚えがないという。衆院選の選挙運動員に統一教会信者が動員されていた疑惑については「え～それはないですよ。それは全然ない。ないですね。私が人員とか手配していたから。無関係です」と完全否定した。運動員の素性を問い質すと「（菅原が）早稲田の早実なので野球部」と返答、他陣営からの指摘については「それは多分繋げようとしてたんじゃないですか」とデマであることを示唆した。

大泉駅で改札口横（駅構外）で帰宅者に投票をお願いする柴田候補

　反対側に柴田候補への投票を呼び掛ける若い男性運動員がいたので声をかけた。

菅原議員の練馬事務所の秘書

筆者の名刺を手に質問に答える

「菅原の練馬の地元の秘書」だという男性スタッフ。
　衆院選での統一教会信者動員について「関係ないですね」と即答。
「衆院選の時に来ていた若い男性はどういう関係の人か」との質問に「自分も判らないですけど菅原の繋がりでって」と答えたため、すかさず「判らないのだったら、どういう人かも判らないのでは？」と追及すると「どういう人か判んないっていえば判んないですね」とあやふやな回答に変わった。そこで「統一教会信者だったかもしれない？」と振ると「まあ・・・わかんないっすね」と苦しい弁明に終始。疑惑の運動員たちについて「菅原の個人的な関係の繋がり」と繰り返した。

◆代議士本人を直撃 「記憶ない」「統一教会？勘弁してください」「宗教団体は嫌い。公明党は応援してもらってます」

石神井公園駅前で選挙運動中の柴田候補（奥）
と菅原議員の国会事務所秘書（手前）

　翌日12日の23時半、石神井公園駅には柴田と男性秘書二人の姿。昨年12月から菅原議員の国会事務所の私設秘書をやっているという若い男性スタッフから代議士の所在を訊き出し、隣りの大泉駅へ向かった。

　昨日の柴田候補同様、帰宅者に同候補への投票を呼び掛ける菅原議員を直撃取材した。

大泉駅前で柴田候補への投票をお願いする菅原議員

――菅原さん、覚えてます？
「はい、お顔は・・・。あれ？」
――石神井のお祭りで会ったジャーナリストの鈴木エイトです
「ああ！。はいはいはいはい、会いましたね！」

取材当初は笑顔を見せた菅原議員だが・・・

――去年11月に質問書を送らせてもらったのですが、見てないですか？
「・・・見てない」
――菅原さん、11月3日に憲法改正の若者の集いに出られたじゃないですか
「11月3日？覚えてないな・・・文化の日？」
――永田町の星陵会館で
「星陵会館？？？11月3日って祝日だよね？・・・いや覚えてない」
――保守派の女性で何ていう人だったかな、よくAbemaTVに出ている人が
「柴田？」
――いえ、その人が「菅原一秀先生がゲストスピーカーとして臨席」とツイートしていたのですが記憶ないですか？
「選挙終わったばっかでしょ？22日選挙で・・・、もういろんなのに出てるから・・・､1日に、だって新年会700か所もあったし」
――ただ、その11月3日のイベントが憲法改正の
「憲法改正？」

昨年11月の記憶を呼び起こそうとする菅原議員

 ――統一教会の
「憲法改正、けっこういろいろ出てますけど」
――2020憲法改正実現大会という名前で、それが統一教会の2世の子たちのイベントだったんですよ
「え！？そうなの？　いや、僕そこは出てないと思う。そういう人たちがいるとすれば。なんか証拠あります？」
――吉木さん
「ああ、ア、アベマ・・・」
――AbemaTVに出ている吉木さんがツイッターに書いてるんですよ
「AbemaTVって、あれ？報道2001に出た時一緒だったかな？」
――「菅原一秀先生がゲストスピーカーとして」と書いてるんですよ。菅原さんの写真は出てないんですけど、吉木さんが登壇している写真は出ていて、そうツイートしている
「いや・・・、講演？」
――イベントですね
「いずれにしても今わかんないな。いっぱい出ているからね、いろんなのに。テレビとかネットテレビとか」
――統一教会系のサイト（Viewpoint、勝共UNITE）に「国会議員が来て激励してくれた」と書いてある。国会議員って誰だろうっていろいろ調べていたら吉木さんのツイートに「菅原一秀先生」と書いてあったので
「吉木さんって男？」
――いえ、女性です
「有本香じゃないよね」
――じゃなくて
「有本香はこの前・・あの・・・」
――もっと若い20代の（吉木氏は31歳）
「誰がですか？」
――吉木さん
「吉木さん・・、わかんないな。有本香なんかは産経新聞でやってましたけどね」
――菅原さんって今まで統一教会関係で名前出てこなかったので・・・、統一教会との関係を調べていて
「統一教会！？全然、関係ないですよ。勘弁してください」
――今回、小耳にはさんだ情報で、昨年の衆院選で菅原さんが使っていた運動員に統一教会信者が4、5人
「全部ボランティアですよ、うちは」
――4、5人入っていたんじゃないかと、他の陣営からも
「ああ、10000パーセントないですね、私そういうの嫌いだから」

「そういうの嫌い」→『統一教会』に嫌悪の表情を浮かべる菅原議員

――そうなんですか？
「うん、ちょっとごめんなさい。（選挙運動）やるので」
――ちゃんと菅原さんに訊いてみようと
「ちょっとごめんなさい」
――国会の事務所と練馬の事務所にFAXを送ったが、返事をもらえてないのでそれで直接訊いてみようと
「でも10,000パーセント関係ないですから、悪いけど。そういうの嫌いだから」
――完全否定ですね
「嫌いだから、そういうの」
――わかりました
「宗教団体は・・・もう嫌い。公明党は応援してもらってますけど」




一旦、取材を中断し、吉木氏の当該ツイートを示す

――菅原さん、吉木さんのツイートだけ（確認を）。吉木誉絵さん
「のりえ・・・吉木さん？？？」
――「自民党の菅原一秀先生や、織田郁男元空将もゲストスピーカーとして臨席」とツイートされている。星陵会館で
「星陵会館って国会の裏でしょ？」
――記憶ないですか？
「それは記憶ないですよ、そんなのは。星陵会館？講演、講演してないです」
――そうなんですか
「彼女がどこかで会ったのか・・・、それはないです」
――吉木さんと面識はないんですか？
「吉木さん？ない。今見て若い女の子って認識しましたけど。有本香かと思った」


◆国会事務所秘書「自民党に統一教会や勝共連合の秘書」→「多いですね」
　再び石神井公園駅に戻り、菅原議員の国会事務所秘書に確認する。

自民党には統一教会や勝共連合の秘書が多い
と語る菅原議員の国会事務所秘書

――衆院選で菅原さんの運動員やってました？
「僕、萩生田の衆院選にいたんですよ」
――お兄さんってどこかの宗教団体の人ではないの？
「あ、違います、違います。僕は萩生田のところではインターンで、菅原のところでは今私設の秘書をやらせていただいていて」
――自民党に統一教会や勝共連合の若手の人が秘書として入っていると聞くんですが
「多いです、多いですね」
――結構いるんですか？聞きます？
「はい」
――お兄さんは違うの？
「僕は宗教じゃないですね」
――そういう人は結構いるんですか？
「結構いるとまでは言わないですけど」
――見聞きしますか？
「やっぱり、そういうところがルーツの人は政治に関わりたい人が結構いるじゃないですか」
――菅原さんの周りにはいないんですか？
「菅原の周りは宗教はあんまりないですね、基本的には地元の後援者の方々が選挙も全て手伝っていただいているので」

◆与党筆頭理事を再直撃「野球（部）も来てない」
　前日の柴田候補の返答との整合性を確認するため、再び大泉駅に向かい「衆院予算委員会与党筆頭理事」の菅原議員を直当て取材した。

この日の選挙応援を終えた菅原議員

――菅原さん、1点だけ
「なんですか」
――選挙運動員の屈強な男性たちって菅原さんの大学の後輩とかですか？
「いや大学じゃない、その辺の町会の・・・、若い人？」
――学校の後輩とかそういう感じではないのですか、早稲田実業とか。早稲田実業の人は来てなかったんですか？
「あの時200人もボランティアいたからね私。駅ごとに10人ずつくらいいいて。それがどうしたの？」

昨秋の衆院選で運動員について語る

――昨日、柴田さんに訊いたら早稲田実業の子が来ていたと言っていたが、早稲田実業の人は衆院選の時は来てなかったんですか？
「早実の子たちは…誰だろう」
――体格のいい人がいたというのでラグビーとか
「ラグビーは来てないです」
――野球は？
「野球も来てない」
――あ、そうなんですね
「ちょっと待って衆院選の時？」
――菅原さんって高校は野球部？
「早実は野球部」

柴田候補の説明とは微妙な食い違いを見せた菅原議員の発言

――大学がラグビー？
「大学は雄弁会とダンスですよ僕は」
――じゃあ衆院選の運動員は野球部とかラグビー部の人たちじゃないんですか？
「野球部とかラグビー部じゃないね」
――昨日柴田さんに訊いたら「早実の野球部」と言っていたが？
「野球部の子たちは何人か来ていたけど、なんていうの『1日来た』とかそんな感じじゃないですか？野球部かなぁ」

◆無派閥の菅原議員への信者派遣は、またあの政権要人の「差配」か
　もし、事情通の情報通り、菅原氏が選挙運動員として統一教会信者を受け入れたとすると腑に落ちない点がある。菅原議員は自民党では無派閥だ。また、先の衆院選ではわざわざ統一教会信者を運動員として受け入れなくても選挙運動に支障はなく、当選も固いと見られていた。では何故、菅原氏は「不適切な関係」が発覚するリスクを冒してまで統一教会信者を運動員として登用したのか。
　そこでキーマンとなるのが菅義偉官房長官だ。昨年10月10日、練馬駅で行なわれた菅原候補（当時）の衆院選出陣式に、菅官房長官は応援に駆け付けている。2013年の参院選で安倍首相肝いりの候補者だった北村経夫（現参議院議員）氏を統一教会の地区教会2か所に極秘派遣したのも菅官房長官の差配と指摘されている。菅原氏と統一教会を結びつけたのは、またやはり菅官房長官だったのだろうか。

◆二階幹事長に質問書FAX送信も回答なし
　ここ数年来、顕著となっている自民党国会議員の統一教会イベント参加について、同党の二階幹事長に「教団から要請を受け、自民党として国会議員を派遣しているのか」との意の質問書を送信したが、期限までに回答は得られていない。

◆吉木誉絵氏には照会中
　菅原議員の改憲大会登壇を示すツイートをした吉木誉絵氏には、改めて当該ツイートの内容について照会している。回答があり次第、本記事に追記する。

＜2018.4.14追記＞
◆菅原議員は筆者を完全無視、柴田候補は「全然関係ない」から「記憶違い」へ
　選挙戦最終日の14日夜、大泉学園駅改札口周辺で改めて菅原議員と柴田候補を直撃した。

柴田候補に声をかける。

――菅原さんはもう帰られたんですか？
「え？」
――菅原一秀さんは一緒じゃないんですか？
「一緒じゃないです」
――そうなんですか？
「はい」
――この間、菅原一秀さんに話を訊いたんですよ
「あ、そうなんですね」
――衆院選の時の・・・・

そこに、一緒じゃなかった筈の菅原一秀代議士が登場。

視界の隅に筆者の姿を認めた途端、険しい表情になる菅原議員。

――あ、こんにちは

筆者を目を合わせようとしない菅原議員

声をかけたが、完全無視。
柴田候補が「エイトさんです」と告げるも、一切筆者の方を見ようとせず、何やら柴田候補に指示。

「忘れてきた携帯電話を車に取りにいく」という柴田候補が階下に向かった後、菅原議員に話しかけたが、衆院予算委筆頭理事は何ら反応を見ぜず他のスタッフの方へ向かう。

声をかけてきた年配婦人グループには笑顔を見せる

秘書に対し、大泉学園駅北口階下のガードレールに

この一週間括り付けてある選挙が風に飛ばされないよう幟を直すよう指示

――菅原さん！
――菅原さん！

秘書の進言に耳を貸さない菅原議員

秘書が菅原議員に「あの人が呼んでますよ」と言ってくれていたが、やはり一顧だにしない自民党前ネットメディア局長。

同駅南口ロータリーで柴田候補に食い違う証言について再度尋ねた。

――柴田さん
振り返るが無視

素っ気ない態度だ。その背中に向かって
――この間、菅原さんに話を訊いたんですよ
「はい」

――去年の衆院選で、柴田さんが早実の野球部の人たちが応援に来ていたと言っていた話をしたら「来てない」と仰ってたんですけど
「それじゃあ、いつの話だろう・・・。去年じゃないのかもしれない」
――そうなんですか？
「何年間もやっているので、選挙の・・・」「記憶違いかもしれない」

回答が“きっぱり否定”から「記憶違い」へと変化した柴田さちこ元秘書

一昨日「全然ない。私が人員とか手配していたから。無関係」と統一教会の運動員受け入れ疑惑について断言していた柴田候補だったが、この日は曖昧な回答に変化していた。
　昨年の衆院選で菅原候補（当時）が統一教会信者を運動員として使っていたという疑惑は深まる一方だ。

　森友学園問題を巡る公文書廃棄・改ざん問題について先月、議員立法で法改正を検討すべきとの考えを表明した菅原議員だが、自身の『記憶改ざん』については知らぬ存ぜぬを決め込む方針のようだ。

【毎日新聞 2018年3月21日】『自民・菅原氏、公文書廃棄に罰則検討』

自民党の菅原一秀・衆院予算委員会筆頭理事は２０日のＢＳフジ番組で、森友学園に関する財務省の決裁文書改ざん問題を巡り、議員立法で公文書管理法改正を検討する考えを示した。公文書を廃棄した場合の罰則規定を設ける案を示し「公文書管理法も情報公開法も深掘りすべき時だ。徹底して議論して国会に提言していきたい」 （以下省略）

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