統一協会「反拉致監禁」キャンペーンにつるむ国会議員たち

12月3日、東京・日比谷で統一協会（統一教会）系団体「全国拉致監禁・強制改宗被害者の会」が約3000人（主催者発表）の決起集会を開き、国会に向けて請願デモを行いました。集会では青山丘・元衆議院議員（国民新党）が挨拶に立ち、国会請願では吉田公一衆議院議員（民主党）と下地幹郎衆議院議員（国民新党）が請願書を受け取りました。


■一般メディアから完全無視された決起集会

3日、午前11時から日比谷野音で行われた集会は、教団広報担当者によると約3000人が参加。入口では「お呼びしたメディア以外はお断り」として本紙記者は門前払いでした。取材以外の入場者についても、統一協会などで配布されたチケットを持った人だけが入場できるというもの。

しかし教団広報担当者によると、一般のメディアは、案内を送ったのにどこも取材に来なかったようです。だったら、「やや日刊カルト新聞」を入れてくれれば、しっかり記事にしてあげたのに。

■青山丘・元衆議院議員（国民新党）が来賓挨拶

集会では、「全国拉致監禁・強制改宗被害者の会」の後藤徹代表や「拉致監禁対策日本委員会実行委員長」の梶栗正義氏が挨拶。日本の「一部牧師」や「左翼弁護士」によってこれまで4300人の統一教会信者が「拉致監禁」されているなどと主張して、この日、統一教会信者「2万1000人」が全国で同日デモを行うとしていました。

来賓挨拶では、青山丘・元衆議院議員（国民新党）が登場。

「もので豊かになったけど、本当に心は荒んできてますね。親が自己中心で、子どもを理解することができずに、しかも誤った牧師がカネ儲けの対象として拉致監禁をたくさんやってきたということを聞いて、なんと荒んだ世の中だ。こんな荒んだ世の中にしてしまったのか。自分の責任を真摯に感じております。後藤さんが大きな声で助けを求めても、世の中は全く動かなかった。そして12年と5カ月後に、もう親が諦め牧師たちも諦めて、外に出てから、親に対する信頼を、親子の情愛をもつことが、そりゃできません。（略）もしここで後藤さんの訴えが裁判にも不起訴相当なら、この国はもっともっとダメになってきます！」

信者たちからは「おお～！」と歓声と拍手が上がりました。

■なぜそれを勧誘の時にできないのか

12時ごろ、参加者たちはデモ隊を組んで野音をスタート。霞が関の官庁街を抜けて国会を目指しました。手には、「絶対に許せない！　統一教会員に対する拉致監禁」「守れ！　人権と信教の自由」「4300人もの被害者　拉致監禁被害の撲滅に協力してください」といった文言のプラカード。そして先頭の街宣車が大声で流すシュプレヒコールに合わせ、こう叫びました。

「拉致監禁強制改宗は犯罪だ！」

「統一教会信者に対する人権侵害を許すな！」

「拉致監禁強制改宗は民主主義国家・日本の恥だ！」

「政府は統一教会信者に対する拉致監禁事件を解決せよ！」

街宣車も、「ご通行中の皆さま、私たちは統一教会の信者です」と団体名を叫んでいました。勧誘の時には統一協会であることを隠すのに、この日は実に堂々としていました。

■請願を受け取ったのは民主党・国民新党の議員

デモ隊は衆議院面会受付所の前で、国会議員に請願書を手渡しました。受け取ったのは、民主党の吉田公一衆議院議員本人と国民新党の下地幹郎幹事長の秘書です。

民主党・有田芳生参議院議員の『酔醒漫録』によると、いま民主党は議員個人で請願を受付けることはなく、「陳情要請対応本部」で処理することになっており、吉田公一議員はこの手続きを行っていなかったといいます。

＜吉田公一議員が国会前で「陳情書」を受け取ったのは党内ルール違反なのである。＞（『酔醒漫録』より）

＜衆議院の議員面会所受付けによると請願受付けは政党としては国民新党だけ。＞（『酔醒漫録』より）

吉田議員は民主党内のルールに背いて請願を受け取ったわけですが、逆に国民新党は、党として堂々と請願を受け取り、実際に受け取る現場に下地幹事長の秘書が登場していたわけです。国民新党は、7月の参院選の選挙期間中に亀井静香代表がワールドメイト教祖の深見東州氏と慣れ合っていた党です（本紙＜国民新党・亀井代表、ワールドメイト教祖との共演で選挙活動？＞）。今回も党の幹事長が統一協会にしっかり利用された形です。

民主党・吉田公一議員（左）と国民新党・下地幹郎幹事長（右）

なお今回のデモの2日前、衆議院第一議員会館で「信教の自由と人権問題を語る日韓有識者神秘事務」と題する統一協会系シンポジウムが開催されています。このとき議員会館の会議室の使用申請を出したのは民主党の宮島大典議員でした。宮島議員の事務所に、事の経緯と統一協会が反社会的団体として批判されていることについて認識を尋ねコメントを求めましたが、現在、返答はありません。