同日、原告弁護団は都内で記者会見を開き、提訴の経緯を説明しました。
「思った以上に被害が深刻で被害者の精神的な傷が深く、泣き寝入りしがちだった。泣き寝入りする被害者が出ないようにしたいという考えから提訴しました。また、もともとこの事件は神奈川県警の不祥事から始まっている。神奈川県警の捜査への叱咤激励の意味も込めている。内容的には被害者17人による第一訴訟と同じ。一次訴訟も現在、佳境に入ってきている。神世界は宗教団体の名をかたった営利企業。宗教であることを隠してヒーリングサロンを経営し、被害者の恐怖心を煽って、『もう大丈夫』というところで宗教であると明かして引き込んでいる」(紀藤正樹弁護士)
今回の二次提訴の訴状によると、神世界は「ヒーリングサロン」と称する施設を全国130カ所に設け、宗教団体であることを隠して被害者たちを誘い込み、「『御霊光』を受けなければアトピーが治らない」「『御祈願』をしなければ癌が治らない」などと脅迫的な言葉で被害者を畏怖・誤信させ、教義の実践と称して金銭を支払わせたとされています。いちどサロンを訪れた被害者に対して、マニュアルに沿って畳みかけるように次回のアポイントをとらせ、根拠のないヒーリングや「御霊光」の対価を支払わせたとのことです。
神世界グループは、別名の関連会社による霊感商法を展開しており、今回の二次提訴で被告となっている団体名は、以下の通り。
有限会社神世界
有限会社プラス花
有限会社びびっととうきょう
有限会社えんとらんすアカサカ
有限会社えんとらんすわーるどヒルズ
有限会社えんとらんすスリートゥー1
有限会社みろく
有限会社E2
被害現場のひとつ、えんとらんすアカサカ・青山サロン。ある被害男性はここで、「あなたの会社は戦国時代、首切り場。処刑された人が成仏できず、運気を下げている」などと脅されて490万円を騙し取られたとされる。 |
訴状では、斉藤亨氏が記した『神書』は、斉藤氏が言うような「永遠の幸福を実現する法則」などではなく、「団体神世界の信者をして、団体神世界に対して金銭及び労力を永続的に提供させるための原理」としています。
神世界をめぐっては、2007年に神奈川県警が詐欺容疑で関連施設を捜索。同県警の吉田澄雄警視(当時)が、関連サロン「びびっととうきょう・青山サロン」が開設されていたマンションの一室の名義人となっていたほか、会計担当として毎月9~15万円、計約400万円の報酬を得ていました。吉田元警視はさらに、サロン関連の業務のために警察の勤務時間内に無断で職場を離れたり、警察学校時代の教え子らに虚偽の投資話をもちかけ7人から520万円を集めたり、神世界関係者からの依頼を受けて、部下に指示して不正に捜査車両のナンバーを照会させ、その情報を神世界関係者に知らせたり、神世界どっぷりのトンデモ警察官でした。
2008年、神奈川県警は吉田元警視を懲戒免職に。ほか2名の歴代県警本部長を含めた6人の警官を戒告または訓戒処分としました。神世界に対する捜査としては、2009年3月にも神奈川県警が関連施設を捜索していますが、いまだ立件されていません。
神世界問題は、れっきとした社会問題であり、被害者は警察外部の一般市民です。警官を処分することで警察の内部的不祥事としては決着かもしれませんが、それだけでは最も大事なことは何も解決しません。紀藤弁護士が会見で、二次提訴の理由の一つに「神奈川県警の捜査への叱咤激励」を挙げたのも、こういう背景があるからでしょう。
ところで、どうしてここにケーキの写真が載るのか、不思議に思われた方もいるかと思います。これ、2年前にわたくし藤倉が、神世界グループの一角である「えんとらんすアカサカ・青山サロン」で御馳走になったクリスマスケーキであります。
2年前、神世界問題がメディアをにぎわせていた頃、青山サロンで女性幹部が釈明の会見を開いたことがありました。12月23日のことでした。神奈川県警の警視が関わっている霊感商法事件とあって、たくさんの報道陣が詰めかけました。えんとらんすアカサカ側はその場で「クリスマスの忙しい時期にお集まりいただいて申し訳ありません」みたいなことを言って、報道陣にクリスマスケーキを振舞ったのであります。
「空気が読めない」にもほどがある神世界ですが、お腹がすいていたので、不覚にも美味しくいただいてしまいました。大手マスコミの皆さまも、よほどお腹がすいていたのか、「赤信号、みんなで渡れば何とやら」とでも思ったのか、ケーキにむらがっておりました。
奇しくも、神世界被害者による今回の二次提訴は12月25日。ちょうどぴったり「クリスマス提訴」でした。なぜか神世界は、クリスマスと縁があるようです。
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