統一協会(統一教会、世界基督教統一神霊協会)が民主党に接近していると、日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」が報じました。記事に登場する民主党・室井邦彦参院議員と統一協会との関係は、以前も赤旗ほか週刊誌などでも報じられていた記憶があります。
民主党は以前から「人材不足」と言われており、昨年の衆院選の立候補者大量擁立、そして大量当選によって、秘書や運動員が不足しがちになっていることは、すでに報道でも指摘されています。カルト宗教の関係者が潜り込むのも、比較的容易なタイミングなのかもしれません。民主党には、十分に気をつけてもらいたいと思います。
とは言え、秘書はともかく運動員がカルト団体の信者であるかどうかを確認してから採用するというのも、容易なことではありません。民主党にとっては、酷な状況かもしれません。カルト団体が潜り込む危険性は、「赤旗」発行元である日本共産党にもあります。しかし党の規約を比較すると、党員の入党手続きや除籍等の処分の基準に決定的な差があります。
一方、日本共産党は、こんな感じです。
要は、コネがある場合を除いて、推薦者がいないと共産党員にはなれません。これは、「日本共産党は、(略)民主主義、独立、平和、国民生活の向上、そして日本の進歩的未来のために努力しようとするすべての人びとにその門戸を開いている」とする同党規約第二条と矛盾するように見えて仕方がないのですが。
党員の義務に関する部分では、民主党倫理規則は、「重要決定に違背する等、党議に背く行為」を禁じている(共産党も同様)ものの、党に対する批判の方法についてまで指図してはいません。一方の共産党規約は、内輪の会議で批判を行うことは許していますが、公の場での自由な党批判については「許可制」です。つまり事実上は、事前検閲に近い状態です。
公表されている規約や規則上の形式論でしかありませんが、統一協会員が共産党員になり党員でいつづけることは難しく、民主党員の方が比較的楽、という状況にあります。
共産党のように党員個人の自由を細かいところまで制限するような組織が、「自由」を語ることには、大きな矛盾があるように思います。しかし「自団体へのカルトの侵入を許さない」という点においては、確かに民主党より共産党の方がしっかりしています。敵対勢力が多く、国家権力からもすさまじい弾圧を受け、内部対立も経験してきた歴史がある共産党ですから、「自由」より「セキュリティ」を重んじるのも当然といえば当然かもしれません。
【2009年01月05日 しんぶん赤旗】統一協会、民主に接近 集団結婚参加者が選挙応援
霊感商法などの反社会的活動をしている統一協会(世界基督教統一神霊協会)の政界浸透が目立っています。従来の自民党とのパイプに加え、民主党の国・地方議員への接近が最近の特徴です。
昨年8月の総選挙で大阪2区から初当選した萩原仁議員(民主党)陣営の選挙違反で、大阪府豊中市と奈良市の男が逮捕されました。公示前に、電話による投票依頼をした運動員らに現金を渡して公選法違反に問われたもの。豊中市の男は大阪地裁で懲役1年6月(執行猶予5年)、奈良市の男は略式起訴で罰金刑になりました。
■逮捕の男
2人はともに統一協会関係者。豊中市の男は統一協会内部で6000双と呼ばれる1982年10月の集団結婚(合同結婚)に、奈良市の男は88年10月の集団結婚(6516双)に参加しています。
萩原氏の事務所は「知らなかった」とし、運動員にした経過は明らかにしていません。
同党の室井邦彦参院議員(比例区)は07年選挙のビラに日本統一協会最高実力者(韓国人)とのツーショットを掲載するほどの関係。統一協会の会合で「(文鮮明教祖の)日本入国のため努力する」と発言し、妻の室井秀子衆院議員(近畿比例)も統一協会の集会の熱心な参加者と伝えられています。
文鮮明をたたえる集会であいさつしたとされる南関東の衆院議員(小選挙区)もいます。同議員直系の地元市議は霊感商法の店舗の代表取締役経験者。
統一協会の政界浸透は選挙応援や秘書の提供などによって行われてきました。その時は勝共連合や平和連合の名前を使うこともあります。最近脱会した女性は自民党や民主党だけでなく、他の党候補の運動員もつとめ、駅頭の「おじぎ作戦」をしたと証言しています。
■便宜図る
議員や候補者が当選後に課せられるのは、韓国での修練会に参加することや協会への便宜を図ること。
外国での犯罪歴で日本入国が禁止されている文鮮明が92年に「特例入国」できたのは金丸信自民党副総裁(当時)が法務省に口利きをしたから。この時はほかに6人の自民党議員が協力しています。
昨年、霊感商法で初の懲役判決があった「新世」事件では当初、統一協会本部への捜索も伝えられていました。これを阻止するために複数の自民党議員が司法当局に働きかけたという情報も、全国霊感商法対策弁護士連絡会の集会で報告されています。
日本統一協会は昨年7月、政界とのパイプ役だった梶栗玄太郎元国際勝共連合理事長を会長にすえました。霊感商法の刑事摘発がすすみ、宗教法人の認証取り消し問題が浮上する状況下での人事として注目されています。
民主党は以前から「人材不足」と言われており、昨年の衆院選の立候補者大量擁立、そして大量当選によって、秘書や運動員が不足しがちになっていることは、すでに報道でも指摘されています。カルト宗教の関係者が潜り込むのも、比較的容易なタイミングなのかもしれません。民主党には、十分に気をつけてもらいたいと思います。
とは言え、秘書はともかく運動員がカルト団体の信者であるかどうかを確認してから採用するというのも、容易なことではありません。民主党にとっては、酷な状況かもしれません。カルト団体が潜り込む危険性は、「赤旗」発行元である日本共産党にもあります。しかし党の規約を比較すると、党員の入党手続きや除籍等の処分の基準に決定的な差があります。
【民主党規約】
第3条 本党の党員は、本党の基本理念および政策に賛同する18歳以上の個人(在外邦人および在日の外国人を含む)で、入党手続きを経た者とする。
【民主党倫理規則】
第2条 本党に所属する党員は、次の各号に該当する行為(以下「倫理規範に反する行為」という)を行ってはならない。一 汚職、選挙違反ならびに政治資金規正法令違反、刑事事犯等、政治倫理に反し、または党の品位を汚す行為
二 大会、両院議員総会等の重要決定に違背する等、党議に背く行為
三 選挙または議会において他政党を利する行為等、党の結束を乱す行為
一方、日本共産党は、こんな感じです。
【日本共産党規約】
第六条 入党を希望する人は、党員二名の推薦をうけ、入党費をそえて申し込む。
いちじるしく反社会的で、党への信頼をそこなう人は入党させることができない。
入党は、支部で個別に審議したうえで決定し、地区委員会の承認をうける。
地区委員会以上の指導機関も、直接入党を決定することができる。
【日本共産党規約】
第五条 党員の権利と義務は、つぎのとおりである。
(五) 党の諸決定を自覚的に実行する。決定に同意できない場合は、自分の意見を保留することができる。その場合も、その決定を実行する。党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない。
(六) 党の会議で、党のいかなる組織や個人にたいしても批判することができる。また、中央委員会にいたるどの機関にたいしても、質問し、意見をのべ、回答をもとめることができる。
要は、コネがある場合を除いて、推薦者がいないと共産党員にはなれません。これは、「日本共産党は、(略)民主主義、独立、平和、国民生活の向上、そして日本の進歩的未来のために努力しようとするすべての人びとにその門戸を開いている」とする同党規約第二条と矛盾するように見えて仕方がないのですが。
党員の義務に関する部分では、民主党倫理規則は、「重要決定に違背する等、党議に背く行為」を禁じている(共産党も同様)ものの、党に対する批判の方法についてまで指図してはいません。一方の共産党規約は、内輪の会議で批判を行うことは許していますが、公の場での自由な党批判については「許可制」です。つまり事実上は、事前検閲に近い状態です。
公表されている規約や規則上の形式論でしかありませんが、統一協会員が共産党員になり党員でいつづけることは難しく、民主党員の方が比較的楽、という状況にあります。
共産党のように党員個人の自由を細かいところまで制限するような組織が、「自由」を語ることには、大きな矛盾があるように思います。しかし「自団体へのカルトの侵入を許さない」という点においては、確かに民主党より共産党の方がしっかりしています。敵対勢力が多く、国家権力からもすさまじい弾圧を受け、内部対立も経験してきた歴史がある共産党ですから、「自由」より「セキュリティ」を重んじるのも当然といえば当然かもしれません。
3 コメント:
この記事に対応して表示されるGoogle Adsense広告が実に興味深い(笑)
それはさておき、共産党の入会資格が厳しいのは、公安のスパイの侵入とかを警戒していたからなんでしょうかね。今はどうだか分かりませんが。
確かに、AdSenseは興味深い。なんでこんなことになるのか。これはこれで研究が必要かもしれません。
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共産党の規約は、やまべとよむさんのおっしゃる通りだろうと思います。スパイ対策志向は決して過去のものではなく、共産党関係者の意識の上ではいまもそこそこあるのではないかという印象はあります。
やはり前衛党ならではのエリート主義なのでは>共産党
そう言えば統一協会と民主党と言えば、3年前の統一地方選で霊感商法に関わっていた方が民主党公認で市議選に出馬→当選したそうで。
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