「良い相ですね」統一協会の偽鑑定士勧誘の現場を目撃！

手相を見る統一協会の偽鑑定士(左)
(2012.7.17新宿)

梅雨明けが発表された7月17日、東京・新宿で統一協会（統一教会）の信者が正体を隠して偽鑑定士勧誘をおこなっている現場に行き会った。

記者は一連の流れを確認した後、介入し勧誘を阻止、勧誘員の言い分を聞いた。

そして同日、統一協会松濤本部へ電話し“報告”をおこなった。これは本紙前報ICSAリポートでも触れたが、統一協会側から記者に対し要請されていた“敵対的協力”のためだ。

その対応から、松濤本部の“伝道の徹底化”や“指導”が如何なるものなのか、その側面が見えてきた。

更に、別の勧誘員からは「新宿は“38度線”」なる言葉も飛び出した。


◆「これから言おうかと思っていた」偽鑑定士の信者の弁明

各地で今年一番の暑さを記録した7月17日、午後3時、新宿三丁目の丸井本館前に於いて、統一協会の女性信者が偽装勧誘をおこなっていた。

その現場に遭遇した記者は、しばらく様子を見ることにした。

「良い相ですね」まずは立ち止まらせることから

「良い相ですね」とターゲットの女性の顔相について声を掛け立ち止まらせた女性勧誘員。

日傘を畳み、一生懸命に顔相について話す勧誘員

女性の顔相について身振り手振りを交え、懸命に話し始める。

手相鑑定に移行した偽鑑定士信者
潮時と判断、介入した

続いて今度は言葉巧みに手相を見てあれこれ話している。

明らかな正体隠しの違法勧誘だ。最初に声を掛けてから悠に5分は経っている。記者は割って入り、ターゲット女性に対してこれは統一協会の勧誘であると知らせた。

勧誘員に問い質すとあっさりと信者であることを認め「これから言おうかと思っていたんです！」と抗弁。
鞄から教祖の自叙伝を取りだし女性に押し付けようとする。
統一協会と知った女性は、「統一協会だったの？統一協会なら要らない」と受け取りを拒否。
「鑑定士？」と訊くと「そうですよ」としれっとして答える勧誘員。
「最初に統一教会の勧誘だと告げなくてはダメでしょう！そもそも何故手相を見る必要があるのか？」と詰問、勧誘員は「その前に情報を訊き出さなくてはいけないから」などど答えにならない返答に終始。
更にどこの教会所属なのかと訊いても「何故あなたに云わなければならないのですか！？」と拒絶。
ターゲットにされていた女性が「統一協会の勧誘だったの？」と改めて訊くと「そうです」と認めた女性信者、逃げるように丸井本館に入っていった。

◆杉並教会の信者と判明。新宿は「“38度線”」

その後、新宿駅西口で“自叙伝伝道”をしていた壮婦信者に声を掛け確認したところ、新宿三丁目で勧誘をおこなっていたのも、この壮婦と同じ杉並教会所属の信者であると判明した。

この壮婦信者によると「新宿全体が“38度線”」であり、彼女たちは「南北統一のために頑張っている」そうだ。

離れた場所にいた新宿教会の壮婦信者にも声を掛け、話を聞いた。

この日の新宿は“復帰”（入信）して数年の壮婦信者が多かった。教祖の自叙伝を単行本400冊、文庫本400冊両方買ったと話す壮婦もいた。

◆“敵対的協力”のため、松濤本部に報告したが・・・

正体隠しの違法勧誘を続けている統一協会西東京教区杉並教会、せっかくなので前報ICSAレポートで触れた“敵対的協力”でもしてみようかと、夕方、統一協会松濤本部に電話してみた。

代表番号から電話口の受付女性に用件を告げ、伝道局に繋いでもらうよう頼むと悠に5分は待たされた後、再び受付女性が出て「担当者不在」で「用件を聞いておくように」言われたとのことだった。

広報局に電話すると、こちらも面識のある澤田渉外部長と大野局員も会議中で、30分後にまた電話してくださいと言われた。

30分後、広報局に電話して大野局員に今日目撃した勧誘について話しところ、事実確認をして明日中に連絡をくれるとのことだった。

同日午後7時前、大野局員からメールが来た。

【世界基督教統一神霊協会　回答書 2012年7月17日】

エイト様

　ご指摘を頂いた点について事実関係を確認しましたところ、7月17日（火）に新宿で当法人の教会員が勧誘活動をしていた事実はございました。当該の教会員は、あくまでも文鮮明師の自叙伝を配布するために声かけをしていたのであり、当然、統一教会を明かして勧誘活動を行っているとのことでした。
　当法人では、教会員による伝道活動（勧誘活動）において、各自が教会員であることを明示して行うよう指導しており、今後もこの指導を継続していきます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　宗教法人 世界基督教統一神霊協会 広報局

驚くべきことに、杉並教会の信者は教祖の自叙伝を配布するために「良い相ですね」と声かけし、鑑定士と偽り手相を見て相手の情報を訊き出していたというのだ。
これが「統一教会を明かして勧誘活動を行っている」という『明かし伝道』の実態である。


◆杉並教会の“嘘”を松濤本部は追及できるのか？

当該勧誘員は、確かに自叙伝は持っていたが、伝道であることはおろか統一教会員であることも告げないまま鑑定士と偽り、勧誘のための手段として手相鑑定をしていた。

自叙伝を鞄から出したのは、記者が割って入り、統一協会の勧誘であることを指摘してからだった。

被勧誘者は「統一教会なら要らない」と話しており、最初に統一協会による勧誘であると明かしていたら立ち止まらなかった筈だ。勧誘員が「良い相をしている」と声を掛け、鑑定士と偽り手相鑑定に移行していたことからも『正体隠しの勧誘』と判断できる。

記者の“報告”後、すぐに広報局が動いて、即日回答を送信してくれたのは迅速な対応として評価できる。

但し、御膝元の杉並教会で正体隠し勧誘が横行、本部からの事実確認照会に対して明らかな嘘の回答を上げてくる、そして本部もそれを鵜呑みにして、そのまま回答するというのは、教団としての自浄作用があるのか甚だ疑問である。

または、“指導”は表向きの形だけで、“伝道活動の徹底化”など本気でおこなうつもりなどないのではとも取れる。

「明かし伝道」では、達成率が悪いため正体隠し勧誘を止められない地区もあると聞く。各地区教会は信者に対し伝道ポイントを細かく設定した点数制度を導入し、その伝道数を競わせている。競争原理を取り入れ各地区を追い立てておきながら、その一方でコンプライアンスを謳う松濤本部、そのディレンマは如実に表れている。