統一教会が各宗教団体に解散命令の是非など尋ねるアンケート 本紙も回答

信者たちがデモや街宣を繰り返し
教団はアンケート作戦

　統一教会（世界平和統一家庭連合）が複数の宗教団体宛に、統一教会に対する解散命令への賛否などを尋ねるアンケートを送付していることがわかった。配布数や配布範囲は不明だが、伝統宗教、新宗教に対し、宗派や教団（包括法人）だけではなく個別の宗教団体（被包括法人）にも送付されているケースがある。

　現在、文科省からの解散命令請求を受けての訴訟が東京地裁で行われており、専門家は、「アンケートに回答すると統一教会から訴訟や対外的な自己正当化のアピールに利用されるのではないか」と危惧する。しかし、やや日刊カルト新聞社は、「今日、弊社の回答を統一教会に送付した」としている。

　アンケートは今月20日以降、複数の宗教団体に送付された。回答用紙のほか、田中富広会長による「歪められた報道による攻撃」などとするメディア批判を含んだ挨拶文や、統一教会への解散命令を不当と主張する機関紙『世界日報』の複数の記事、統一教会が信教の自由を侵害されているとする表紙含め20ページの冊子、統一教会信者の訴訟で代理人を務める中山樹弁護士の著書約40ページ分などが同封。計70ページ近い「参考資料」を送りつけ、アンケート用紙はたった1枚。

　質問内容は、「解散命令についてどう思われますか？」など、単純な内容の選択回答式５項目と、「同封資料」への感想を求める自由回答欄。最後に「貴団体もしくは個人名が公表されることはありません」と記載されている。

6月30日に新宿で行われた信者たちのデモ

　2022年の安倍晋三元首相殺害事件をきっかけに統一教会への批判が高まって以降、統一教会は「4300人の信者が批判者たちから拉致監禁されている」とする根拠不明の主張を掲げ、デモや街宣も実施。特に最近は毎週末に新宿駅前などでその姿が目撃されている。アンケートには、「拉致監禁強制棄教の問題を知っていますか？」との質問もあった。

　アンケート回答の用途についての説明は記載されていない。長年、統一教会の問題を取材しているジャーナリストの鈴木エイト氏は、こう警鐘を鳴らす。

「アンケートの送付範囲がまだ把握しきれていないが、仮に個別の寺院や教会にも広く送付されていた場合、宗派や教団の本部の方針などと関係なく個々の聖職者が個人的な見解で回答してしまう可能性もある。解散命令に反対とする回答の割合がたとえ低くても、母数が多ければ反対した宗教団体の数が多いかのように教団がアピールすることはできるし、文章回答を都合よく抜粋して利用することも可能だ。どのように利用されるか不明確でリスクのあるアンケートには、協力しないのが常識的な対応ではないか」

　他方、匿名を条件に取材に応じたある団体の関係者は、すでに回答を統一教会に送付してしまったと語る。

「弊社は長年、統一教会にはお世話になっており、私自身、今年は統一教会の皆様による早稲田での初詣にも参加し、記念写真撮影時にシャッターを押す係も務めさせていただきました。少しでもお役に立てればと思い、率直な考えをアンケートに記入して、昨日7月26日にFAXで統一教会様に送付させていただいたところでございます。弊社には統一教会からアンケート用紙は送付されてきていなかったのですが、後悔はありません」（やや日刊カルト新聞社容疑者兼総裁・藤倉善郎氏）

　同社が統一教会に送付した回答は以下の通り。

　　

◇統一教会のアンケートと回答送付先

　みんなも統一教会への熱い思いを送ろう！　回答用紙はこちら。

統一教会（世界平和統一家庭連合）

FAX：03-3485-0412

いたずらや差別的な内容のFAXは絶対にしないで下さい。品位ある真摯な回答を心がけましょう。