2018年2月20日火曜日

摂理教祖出所で霊感商法対策弁連と日本脱カルト協会が声明

記者会見する弁護士ら(19日、都内)
摂理教祖・鄭明析の出所を受け、全国霊感商法対策弁護士連絡会は、摂理がこれまで以上に活動を活発化し、信者及び一般人の人権を侵害するような問題を発生させることを懸念、関係各所及び社会全体に注意喚起するために19日、記者会見を行った。


 記者会見には、全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士と久保内浩嗣弁護士、日本脱カルト協会(JSCPR)代表理事の西田公明立正大学教授、日本基督教団の愛澤豊重牧師と川島堅二恵泉女学園大学元学長、摂理脱会者の男性が出席した。

 会見では、摂理が現在もなお教祖の冤罪を信じ、正体を隠した多様なサークルやツイッター等を利用した巧みな勧誘を続けており、新たな施設を国内に作っていること、2世信者が増えていることなどが語られ、全国の学校関係者による情報連絡網であるカルト対策学校ネットワークの紹介がされるとともに、全国霊感商法対策弁護士連絡会と日本脱カルト協会からそれぞれ下記の声明が出された。

全国霊感商法対策弁護士連絡会の声明
声  明
(「摂理」教祖鄭明析(チョン・ミョンソク)の出所にあたって)

2017年2月19日

全国霊感商法対策弁護士連絡会
〒135-8691           
東京都新宿区新宿郵便局私書箱231号 
TEL:03-3358-6179 
FAX:03-3353-4679 
代表世話人弁護士 平岩 敬一(横浜)
代表世話人 同  郷路 征記(札幌)
代表世話人 同  中村 周而(新潟)
代表世話人 同  河田 英正(岡山)

〒105-0003           
東京都港区西新橋3丁目15番12号 
西新橋JKビル6階 
田村町総合法律事務所 
TEL:03-3431-4488 
FAX:03-3431-4481 
(連絡担当)弁護士 渡 辺  博 
弁護士 久保内 浩嗣 
  

 摂理(現在は「キリスト教福音宣教会」と称しています。以下「摂理」といいます。)の教祖である鄭明析は、女性信者に対する強姦致傷等の罪で懲役10年の刑に服していましたが、2018年2月18日に韓国の刑務所を出所しました。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下「当連絡会」といいます。)は、鄭明析の出所後、摂理がこれまで以上に活動を活発化し、信者及び一般人の人権を侵害するような問題を発生させることを懸念しています。

脱会者の話によれば、摂理は、信者に対して、鄭明析の上記有罪判決は全て冤罪であると説明し、信者はその説明を信じているとのことです。摂理及び鄭明析には、反省の色はうかがえず、鄭明析は既に72歳という高齢ですが、出所後に再び女性信者に対する同種人権侵害事案が生じることを懸念します。

 また、脱会者からは、摂理がバレーボールやサッカーなどのスポーツサークル、ゴスペルサークル、就職活動を支援する団体などの多数の団体を作り、その団体が摂理への勧誘のためのものであることを隠して参加させるといった手法、ツイッター等のSNSを利用した手法などを用いて、正体を隠した勧誘を継続的に行っているとの報告があります。こうした勧誘手法が継続して行われているとすれば、今後も勧誘される者の信教の自由が侵害されることが懸念されます。

 当連絡会は、鄭明析及び摂理に対し、正体を隠した勧誘行為を直ちに止めるよう求めます。

 一方、当連絡会は、1人でも多くの信者が、鄭明析及び摂理の精神的支配から自由になることを願っています。信者やそのご家族で悩んでいる方のご相談を聞いて、共に考えたいと思います。

 2006年7月の朝日新聞の報道を契機に、鄭明析の性的暴行、正体を隠した勧誘活動などを報道各社が大きく報道し、社会問題となるとともに、多くの大学で対策が講じられるようになりました。しかし、報道から10年以上が経過し、摂理の問題を知らない若者が増加していますし、摂理は高校生を含む若者を勧誘のターゲットにしています。

 当連絡会は、鄭明析出所後も、鄭明析及び摂理が人権侵害行為を行わないよう注視し続けるとともに、摂理の被害者とともに歩み続けます。また、関係各所や社会全体が、こうした問題が再び生じることのないよう注視頂きたく、注意喚起をします。


以 上

日本脱カルト協会の声明
声明と注意喚起

キリスト教福音宣教会(以下「摂理」とする。)は、1979年頃に統一教会(現、世界平和統一家庭連合)元信者である鄭明析(チョン・ミョンソク)が創設した教会で、日本では2006年に元信者らが教祖・鄭明析による性的被害を告発したことにより大きく報道され、国内の多くの大学において信者を獲得しているという報道が社会に大きな衝撃を与えました。鄭明析教祖は、国際指名手配の末に逮捕され、2009年4月に韓国において強姦致傷罪等により懲役10年の有罪判決が確定し、服役していましたが、2018年2月18日に出所しました。鄭明析教祖の出所により、教団の活動が活発化することが予想され、新たな被害者が生まれることが懸念されるとともに、脱会者の心のケアへの一層の心配りが必要になっています。

1.         新たな被害が懸念されること
 2012年に記者会見を開いた元教団幹部(脱会者)である韓国人らは、逮捕以前の教祖による女性信者への性加害行為には教団幹部が関与し、組織的に行われてきたものである旨を述べています。
しかしながら、摂理は反省するどころか、HP上で鄭明析教祖の冤罪を主張し、被害を訴える女性への批判を行っており、同様の被害が発生する可能性を懸念せざるを得ない状況です。
 また、摂理は、以前から大学キャンパスでの正体を隠した勧誘を行っており、勧誘される学生の選択の自由(宗教的な自己決定権)の侵害ではないかとの指摘もされてきましたが、正体を隠した勧誘方法は今も継続されており、さらにはSNSを用いた勧誘など手段の巧妙化が報告されています。
 当協会の会員のところによせられる摂理関連の相談はここ数年増加しており、過去の報道を知らないと思われる大学生や高校生が勧誘の対象となっていることが懸念されます。
 相談をした親の話によれば、本人の価値観の変容、抵抗なく嘘をつくようになったなど倫理意識の希薄化、疑問を投げかけると親をサタンと恐れ距離を置かれる、早朝から深夜まで教団活動を行い体調管理や家族の時間、学業や就活が後回しになるなどの不安の声が寄せられています。親の多くは、本人が摂理から脱することで自身の考えや人生を取り戻してほしいと述べていました。
2.         支援の必要性
 摂理では、脱会し批判する者は「死の宣告を受ける」と教えています。脱会者の話によれば、この教え込みはとても強いものであり、脱会した後も、回復のためには社会復帰のための具体的支援や心理的ケアが必要となりますが、教祖出所のニュースはその心理状態に悪影響を及ぼしかねないものです。
脱会者にとって、自身が体験したものを被害として受け止め支援を求めることは躊躇されやすく、人知れず困難を抱える結果に陥りやすいです。こうした被害の存在が広く社会に認識されることにより、困難を抱える脱会者が適切な支援に繋がることを期待します。
当協会は脱会者や家族、教育機関等からの相談に応じ、適切な支援を提供するとともに社会への啓発を継続していきます。

2018219
日本脱カルト協会
代表理事 西田公昭

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当協会は、心理学者、聖職者、臨床心理士、弁護士、精神科医、宗教社会学者、カウンセラーそして「議論ある団体」の元メンバーやご家族らで構成されている190人ほどのネットワークである。破壊的カルトの諸問題、カルトに関わる個人および家族へのカウンセリング経験についての交流およびカルト予防策や社会復帰策等の研究をおこない、その成果を発展・普及させることを目的としている。設立1995年6月、旧称日本脱カルト研究会、代表理事は西田公昭

1 コメント:

匿名 さんのコメント...

あの女性好き教祖が出所したんですか・・・。年齢的なものとはいえ、教祖はご盛んのようですね・・・。こういう教団は好きではないですよ。時代の淘汰で早く消えてってほしいです。