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第三者による検証を求める内部告発
元スタッフによると、告発文の送付先は、Colabo理事の齋藤百合子氏(大東文化大学非常勤講師)、田中優子氏(法政大学名誉教授)、角田由紀子氏(弁護士)、監事の岸本英嗣氏(弁護士)。役員宛はA4サイズの11ページで、文字数は1万字を超える。支援者宛のものは7ページに及ぶ。
内容は、大まかに2つ。1つは、団体内での支援対象の少女たちの個人情報やプライバシー情報の扱い。もう1つは、仁藤氏や稲葉氏によるスタッフへのパワハラを含むハラスメントや不当な要求など。これらについて、Colaboから独立した第三者による検証と、被害救済や再発防止策を求めている。
元スタッフたちはColabo側による「告発者探し」や報復を恐れているとのことで、告発文では「取扱にはご留意いただき、インターネット上に流出するようなことのないよう」配慮を求めている。本紙も現時点では、告発文の全文公開は控える。ただし複数の元スタッフに取材し、告発文に記載された事例の詳細を聞くとともに、根拠となる資料等が存在する事例についてはそれも確認した。記載された事例以外にも、仁藤氏らによるハラスメントとされる事例の関連資料を確認した。
本紙の取材に答えた元スタッフは、こう語る。
「私たちは、困ってる女性たちと連帯し、人権を守る活動に関わりたいと考えて、この団体で働いてきました。元スタッフの多くは、仁藤さんよりも年下の女性です。告発文に記したような経験によって、自信を失った人、精神的に追い詰められた人、今も強い恐怖を抱えている人がいます。私たちは長い間、そのことを声に出せませんでした。さらに叱責されたり、孤立させられたりするのではないかという不安から、〝自分が我慢すればいい〟〝活動の邪魔をしてはいけない〟と考え、耐えていた人もいます。それでも告発に踏み切ったのは、これからColaboで働く若い女性にも同じようなことが起きるかもしれない、助けを求めてColaboにつながった女の子たちの尊厳や自己決定まで傷つけられることがあるかもしれない、と考えたからです」
「無断で少女を撮影、写真を収集」
支援対象の少女の扱いに関しては、女性たちのプライベートな情報を仁藤氏がColabo支援者らに無断で共有していることや、支援女性の顔写真を無断で撮影し団体内で保存している問題を指摘している。
Colaboでは、新宿・歌舞伎町や新大久保などにバスを設置して、夜の繁華街にいる少女たちへの支援物資配布や休憩所提供を行う「バスカフェ」や、路上などで少女たちに声をかける「巡回(アウトリーチ)」を行っている。そこでの会話を通じて得た少女たちの通学先、勤務先、家庭環境、性売買経験、交際関係などの私的な情報を、仁藤氏は、支援者らで作るLINEグループ「女の壁」で本人に無断で共有していたという。
「女の壁」は、Colaboの運営に関わるスタッフとは別に、バスカフェなどのイベント時に現場でボランティアにあたるなどする支援者たちのグループ。
またColaboでは、バスカフェのバスの入り口付近に感染症対策のための非接触型サーモグラフィーを設置。告発文は、Colaboでは体温測定と同時に少女たちの顔の正面写真を撮影し、本人に無断で保存・収集していると指摘している。
元スタッフによると、少女たちの写真はスタッフが事務所のパソコンで、業務管理アプリ「kintone」を使ったデータベースに入力して他の業務関係のファイルとともに管理。1回の巡回ごとに20~30人の少女たちの写真が保存されていたという。
「人格否定とルッキズム」
スタッフについても、家庭環境や過去の性売買経験などについて、仁藤氏が他のColaboスタッフのみならず外部の支援者がいる場で言及するケースがあったという。また仁藤氏が、スタッフ本人のいない場で「暗いから駄目だ」「全然可愛くない」「常識がない」などと、人格を否定したり容姿をあげつらうなどの言動をした上で、周囲のスタッフに同意を求めるといったこともしていたとの記載もある。
〈女性を「可愛いか、可愛くないか」で評価することは、人格や能力ではなく外見によって人の価値を序列化することにつながります。これは、女性支援やフェミニズムが本来向き合うべきルッキズムの問題そのものです。(略)女性支援を掲げる組織の中で、女性の容姿を品評し、序列化するような言動が行われていることは、看過できない問題だと私たちは考えています。〉(告発文より)
「有給休暇で海外活動」
また、仁藤氏や稲葉氏がスタッフに対し、仁藤氏やColabo関係者が参加する海外での研修や視察に、有給休暇を使って「自己研鑽」として同行するよう求めていたというエピソードも記されている。別の元スタッフによると、旅費や参加費用は自己負担で、現地ではColaboの活動に関するビラを準備させられたり、Colabo関係者の研修や視察のための雑務にあたらされたと聞かされたという。それでいて、そのスタッフの有給休暇の残り日数が少なくなると、仁藤氏はそのスタッフの能力や自己管理の問題だと責めていたという。
厚生労働省のウェブサイト「確かめよう労働条件」には、有給休暇は〈日単位を最小単位とすることが原則〉としたうえで、〈例えば、年次有給休暇をとった日に急な仕事で呼び出され途中から会社に出勤したような場合には、年次有給休暇をとったことにはなりません〉と書かれている。また労働基準法第39条では、使用者は一定以上の勤務実績がある労働者に対して有給休暇を「与えなければならない」と定めており、違反に対しては「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」と定めている。
「家族との同居をやめさせる圧力」
仁藤・稲葉両氏とスタッフたちは、「女の壁」とは別に、LINE WORKSで業務の指示や報告をやりとりしていた。そこでの特定のスタッフと仁藤氏らのやりとりは、ほかのスタッフも見ることができており、叱責はそこでも行われていたという。
その一例として告発文には、家族と同居するスタッフが「労務上のリスク」だとして転居を求められ、〈何月までに引っ越すのか宣言するように」といった趣旨で決断を迫〉(同)られたとする事例が記載されている。事実であれば、Colaboが業務外の私生活をコントロールしようとしていたことになる。
告発文には、十分な教育体制や業務マニュアルがないまま過大な仕事を課され、それをこなせないと他のスタッフたちの前で長時間、叱責されることもあったとの記載もある。本紙では、告発文と別途、実際にスタッフが課された作業の内容や量を示す一例の証拠も確認した。
「女性支援団体で疲弊する女性スタッフたち」
元スタッフによると、通常、Colaboの事務所では常駐する正規スタッフ1名のほかに、常時2~3名程度のアルバイトやボランティアが交代で勤務していたが、正規スタッフが短期間で退職してしまうため、その業務にアルバイトやボランティアが従事していたという。
告発文の冒頭に、こう書かれている。
〈Colaboの現場で実働する正規スタッフは次々と退職していき、最近では1年も経たず突然の退職に至った正規職員もいます。他にアルバイトが常時2,3人程度いるものの、アルパイトも短期間での退職が繰り返されているのがColaboの組織体制の実情です。〉
さらに、こんな記述もある。
〈Colaboが構想する女性人権センターでは、女性活動家の育成も目探の一つとして掲げられています。しかし、若い女性スタッフの人格を否定し、梢神的に追い詰め、耐えられなくなった人が活動を離れていくような状況が続くのであれば、それは人材育成とは正反対です。活動家を育てるはずの組織が、結果として活動を担おうとする女性を消耗させ、社会運動から遠ざけることにもなりかねません。〉
「女性人権センター」とは、現在Colaboが新宿・歌舞伎町での2030年開設を目指している施設のこと。土地購入費や建設費など計10億円が必要だとして、2025年からクラウドファンディングを行っており、Colaboの公式サイトによれば、すでに総額1億円近くを集めている。
取材に応じた元スタッフは、告発文の意図について、こう説明する。
「今回、告発文を送ることには大きな不安がありました。Colabo側から告発者探しをされるのではないか、自分たちの人格や過去について何か言われるのではないか、女性支援という活動のそのものを傷つけてしまうのではないか。それでも、組織の中で安心して問題を訴える方法が見つからなかった私たちにとって、ほかに方法がありませんでした。私たちが望んでいるのは、Colaboや仁藤さんへの報復ではありません。支援を求める女の子が、自分の過去や個人情報について安心して話せる団体になってほしい。そこで働く若い女性が、自分の尊厳や安全、生活を犠牲にすることなく活動を続けられる場所になってほしい。問題が起きたときには、立場の弱い人でも安心して相談でき、声を上げたことで不利益を受けることのない仕組みを作ってほしい。Colaboにはこれをきっかけに、より安全で、より人権を尊重する団体になってほしいと願っています」
支援者「仁藤さんに変わってほしい」
他方、告発文が発送されていることを知ったColabo支援者は、本紙の取材にこう語る。
「スタッフが短期間で生気を失って退職していく様子は目にしていたが、当時は激務なのかなと思っていた。〝社会を変えよう〟という趣旨の組織の中でのパワハラの話はほかにも聞く。Colaboでの具体的なパワハラについては知らなかったが、告発文の内容を知っても意外とまでは感じなかった。支援者の中には、以前から仁藤さんのハラスメント体質を知りつつ、他に性搾取と闘う組織がないという理由で支援を続けている人もいる」
支援者の目からは、スタッフの過去に関する仁藤氏のアウティングの件が、衝撃だったようだ。
「事実であれば、本当にひどいので、当人に謝罪してほしい。謝罪を求めたら、仁藤さん持ち前の、攻撃されたらやり返すみたいなスイッチが入っちゃうかもしれないが……」(支援者)
「しかし仁藤さんを懲らしめたいというよりは、まともな組織になってほしいという思いのほうが強い。女性人権センターで後進の育成というけれど、この状態では、(若手が潰れて)日本のフェミニズムは滅びてしまいかねない。仁藤さん本人に言っても改まらないだろうと元スタッフが感じたから告発文という形になったのだろう。理事や有力な支援者からもはたらきかけてもらい仁藤さんに変わってもらいたい」(支援者)
Colabo側は全否定、「警察への相談を検討」
本紙がColabo側に事実確認と見解を求めたところ、9月28日に代理人弁護士を通じて回答があった。
〈お問い合わせにかかる事項はいずれも、事実ではないかまたは当社団が適法に行なっている業務について殊更に問題があるかのように実態を歪曲しているものです。かかる次第ですので、ご質問事項10・11につきましてもご質問の前提を欠いています。
回答は以上です。〉
「質問事項10・11」は、告発文に書かれていた第三者による検証や女性人権センター関連の提言について、Colaboの見解を尋ねる質問だった。
回答には、こう付け加えられていた。
〈なお当社団は現在、匿名の告発文書の情報源につき業務妨害の被疑事実による警察への相談を検討しており、本件について貴殿が不用意に記事の公表をした場合、それが告発文書を紹介するのみのものであっても名誉毀損の問題を生じますので十分にご注意ください。〉

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