2009年10月6日火曜日

真光元訴訟に堀代表が信者約20人を従えて登場


岐阜地裁に出廷した際の堀代表(2008年4月21日)
 10月5日、東京地裁で、真光元(次世紀ファーム研究所)にかんする民事訴訟の証人尋問が行われました。

 「次世紀ファーム研究所」(代表・堀洋八郎氏)では2005年、岐阜県恵那市上矢作町の施設に宿泊中だった中学1年生の少女が死亡しました。少女がインスリン注射を必要とする糖尿病患者であったにもかかわらず、インスリンを持参しておらず注射をしていなかったことが原因でした。次世紀ファーム研究所は真光元神社(まこもじんじゃ)との名称で宗教団体としても活動しており、ヒメガマを原料とする粉末を、代表の堀氏が開発した「堀光合菌」入りの健康食品(真光元=しんこうげん)として販売していました。

 5日に証人尋問が行われた訴訟は、少女が死亡した件について、堀氏の神通力や真光元によってインスリンなしでも糖尿病が治ると指導されていたことが原因であるとして、遺族が堀氏らに損害賠償を求めたものです。


 この日は、次世紀ファーム研究所の元幹部A氏、元信者B氏への証人尋問と、元信者であり死亡した少女の母親(原告)への尋問が行われました。A氏によると、次世紀ファーム研究所では、真光元について「堀氏に神様が降りてきて、その命令に従って(堀氏が)18年の研究によって作った」「神の息吹を真光元によって体に取り込むことができる」と説明されていたそうです。また、堀氏は「真光元大御神(まこもおおみかみ)」であり、信者たちは「御神名(ごしんみょう)を毎日唱える」のだとのことです。さらに内部では「(堀氏の)教えにそむいた場合、その責めは常人の非ではない」とされ、堀氏に逆らうことへの恐怖感も埋め込まれていたようです。
「その意(堀氏の意思)に反したら、神通力がなくなり、なおかつ普通の人(非信者)より重い罰が下るといわれていた」(A氏)

 A・B氏ともに、堀氏をはじめ次世紀ファーム研究所は少女が施設に宿泊する前からじ、少女が糖尿病であると知っていたと証言しました。またB氏の証言では、少女が体調を崩した際、それを「好転反応」だと捉えていたとの話も出てきました。これも次世紀ファーム研究所の教義(というか、科学的根拠のない民間療法ではしばしば出てくる概念)で、病気などが治癒する過程で一時的に症状が悪化する現象を指します。ある病気について、症状の悪化が本当に治癒に向かう兆候であるという科学的証明がなくても、具合が悪くなればとりあえず「好転反応」だと言うのが、次世紀ファーム研究所の教義だったようです。
「少女の状態は、いま思えば悪かった。(しかし当時は)好転反応だから、毒素が出きってしまえばよくなると思っていた」(B氏)
 どう考えても、インスリン注射をしていなかったから具合が悪くなった(そのまま放置したら命の危険がある)状態なのに、「それは病気が治っていく過程だから、いいことなのだ」と捉えてしまう。

 母親への尋問でも、A氏・B氏の証言を裏付けたりあるいは補足する証言が出ました。しかしもっとも印象に残ったのは、インスリン注射が不可欠な糖尿病をわずらった少女と両親の日常生活の辛さにかんする証言でした。毎日少なくとも5回はインスリン注射をしなければならず、医者から「結婚や就職は無理だ」などと言われ(そういう言い方をする医者もどうかと思いますが)、学校では、注射をしているところを友達に見せたくなくて保健室で注射する。次世紀ファーム研究所に宿泊しているときでさえ、少女は注射をしているところをほかの信者に見られたくなかったようで、宿泊用の部屋のトイレで注射をしていたといいます。

 こうした辛い生活を送る中で、親と少女がすがったのが次世紀ファーム研究所であり真光元だったわけです。証人として出廷したA氏・B氏も、入信前から持病に悩んでいたと証言していました。真光元を飲んだり、真光元を入れた風呂に入るようになって、当初は効果があったように感じたものの、いまは全く信じていないそうです。
 あまりムチャな値段で販売したり過剰な効果を期待させたりしなければ、たとえ科学的根拠がなくとも、たとえ単なる気休めであっても、まあいいのだろうと思います。しかし次世紀ファーム研究所では、堀氏への絶対服従を説き、堀氏の神通力と真光元の効能を過剰に信じ込ませ、本来必要な医療を受けさせないレベルにまで信者の思考や行動を縛ってしまっていたようです。

 実はこの日、傍聴席の中央最前列に、被告である堀氏本人が座っていました。42席あった法廷の半分以上が信者とおぼしき人々で埋め尽くされており、開廷前、堀氏が法廷に入ってくると、先に着席して席を確保していた信者たちが全員起立して堀氏を迎えていました。信者の大半は黒服で、見ていて異様でした。

 しかし、これはこれでいいことなのかもしれません。堀氏の“王様”っぷりを裁判官が見れば、次世紀ファーム研究所において信者たちが自分の意志や常識に基づいた行動を取ることがいかに困難であるかが、よくわかるのではないでしょうか。というか記者自身が、法廷での堀氏や信者たちの様子を見て、それがよくわかりました。

 次回、11月2日に、堀氏への尋問が行われます。

9 コメント:

裸出歯鼠 さんのコメント...

こんにちは!

11月2日の教祖堀氏の被告尋問を傍聴してきました。
彼の発言を中心にまとめましたので、お時間のあるときにでも読んでください。

http://plaza.rakuten.co.jp/sinkougenjiken/

追って、事件の概要、母親および関係者の証言をまとめていきます。

よろしくお願いします。

匿名 さんのコメント...

この事件って母親が熱のある、いつ死んでもおかしくない娘をおいて さっさとバイトするために帰っちゃったらしいですよ。私なら連れて帰るな。かわいそうな子だね。
警察が母親のほうをマークしてるって話をちらっと聞いたことがあるけど どうなのかな。

かんち0252 さんのコメント...

匿名さんへ
私も聞いたことあるよ。母親の過失のほうが大きいって!堀代表側は過失ゼロだって新聞に載ってた。何だか大どんでん返しの予感があるね。

匿名 さんのコメント...

「結婚や就職は無理だ」って、
「死ぬしかないです」と同等の暴言ですよ・・・。
そういうことを言う医者には見てもらいたくないですねぇ。

匿名 さんのコメント...

死亡した少女は1型糖尿病だったのですね。確かに日本ではあまり知られていない病気ですが、こういった日本で知られていない病気への偏見がカルトへの傾倒を生んだのだとしたら、(極端といえば極端ですが)私たちもまた被告ではないのかと思います。

それにしても「結婚や就職は無理だ」なんて医者が思わせるなんて…。私は1型糖尿病患者と結婚しましたが、この病気は結婚生活を妨害するような病気ではないし(出産だって可能です)、就職だってできます。普通の仕事はもちろん、阪神の岩田選手のようなプロスポーツや元ミスアメリカのニコール・ジョンソン氏のような芸能活動だって可能です。

匿名 さんのコメント...

痛ましい事件でしたね。若くして亡くなるのは特に胸が痛みます。あの事件の何カ月か前に、友人が真光元の説明会に連れて行ってくれました。堀氏とも会ったけど、口は悪いけど悪い人には見えなかったな・・・。どっちかっていうとシャイな人に思えた。結局、主人の反対もあって真光元は飲まなかったけど、その友達とは今でもお付き合いしています。最近昔の写真を見たら、彼女が若返ってる!他に飲んでいるものがあるのか、運動しているのか、聞いてみたら、真光元だけとのこと。ちょっと興味をそそられる今日この頃です。

匿名 さんのコメント...

南無妙法蓮華経と唱えてください

匿名 さんのコメント...

次世紀ファーム研究所に医師も来てたのですか?本当に糖尿病が治ったのを医師が診断した人もいたのですか?

匿名 さんのコメント...

ある日突然1型糖尿病になって小さい内が多く親が学校や幼稚園に行ってインスリンを打ったり夜中に高血糖でインスリンを打つことで寝不足になるなど辛いことなのに簡単に治るなら誰でも楽になると思う。