2011年1月25日火曜日

【オピニオン】古賀市の竹下市長よ、自らの過去と向き合い、脱会者の灯火となれ!

 カルト宗教団体「摂理」の脱会者である竹下司津男氏が、古賀市の市長に就任したことが話題になっています(記事1記事2記事3)。私自身、団体は違うものの同じ「カルト脱会者」として、竹下市長に申し上げたいと思います。

 「カルト宗教」と言われる教団の幹部として活動し、脱会後に就職し死に物狂いで働き、有名企業で重役を経験した人物が知り合いにいます。たまに会って話をすると、決まって彼は言います。

「脱会してしばらくは分からなかったが、社会的立場を得て力をつけてくると、必ず自分の経歴が問題になる。隠しても必ず分かってしまう。俺は沢山の人を勧誘して迷惑をかけてきたから、これも1つの報いなんだろうな…」

 私は「カルト」を脱会して社会復帰に苦しむ人を多数見てきました。私もその中の一人です。私は「浄土真宗親鸞会」という偽装勧誘で知られる「議論ある団体」で12年間布教師として働き、31歳で脱会し社会に出ました。

 31歳。年齢を考えればベテランとしての働きを求められますが、親鸞会の中しか見てこなかった私は新卒以下の戦力にしかなれません。周りを見れば年下なのに自分より遥かに業績を上げる仲間達。私は12年間決して遊んでいたわけではないのです。一生懸命に活動し布教のために力尽くして来たのに、その間の自分の努力や経験が全て否定されているようで、幾度悔し涙を流したか分かりません。

 教団に人生の全てをかけた自分の価値観や信念が脱会で崩れ、さらに社会に出て自らの能力までが否定される日々。さらに良かれと思ってやっていた自分の努力や苦労が実は多くの人々を苦しめていたという自責感。この苦しみは経験したものでなければ分からないでしょう。自信を取り戻そうと死に物狂いで勉強し、働きました。

 本紙でも何度か報道していますが、カルト宗教団体「摂理」の脱会者である竹下司津男氏が、古賀市の市長に就任したことが話題になっています。(記事1記事2記事3

 竹下氏はこの他にも虚偽経歴の疑いがありそれが事実ならば許されることではありませんが、ただ単に「カルトの脱会者が市長になった」という事ならば私たちにとってこれほどの嬉しいことはないのです。自らの過去を乗り越えここまで来たのですから。社会復帰に苦しむ脱会者にとっては希望の星でしょうし、人生はやり直せるという励みになるはずです。心からお祝いしたい。これは私の本心です。

 しかし問題なのは彼がその経歴を隠蔽し、摂理の幹部にまでなりながら、いまだ具体的で詳細な説明を行っていないことでしょう。

 自分がカルト宗教にいたことなど誰しも消したい過去に違いありません。私の周囲にカルト対策活動をしている脱会者は多くいますが、中にはずっと自分の名前を隠している人もいます。もちろん会社にいても学校にいてもそんな自分の過去など話す必要も明らかにする必要も全くありませんし、私自身は自分の過去を隠すのはやめたけれども、言いたくない人の気持ちは私も痛いほど分かるつもりです。だってそれで、ずっとずっと苦労してきたんだから。

 でも竹下市長、あなたは市民に向かって話すべきですよ。ご自身の過去を。

 摂理にいた。そこを脱会したのならばそれなりの理由があってのことなのでしょう。きちんと説明し、堂々と市長として頑張ったらいいじゃないですか。

 週刊誌の記事を見ていると、竹下氏が摂理の幹部として教団の勧誘活動の一端を担ったとか、信者にわいせつなことをしたとか、そんな内容がばかりが目立ちます。もちろんわいせつ行為が事実なら許される事ではないけど、竹下市長自身も摂理の偽装勧誘にかかってその道に入ったのかもしれない。そして貴重な青春を不本意ながらカルトのために費やすことになったのかもしれない。

 脱会者は加害者でもあるかもしれないが被害者でもあります。誰もそこに明確な線を引くことなどできないのだから、加害者としてのみ糾弾されるべきではないし、必要以上に被害者として振舞うべきでもないのです。

 私は一人の脱会者として、困難な脱会後の苦しみを乗り越えてきたものとして、竹下市長に申し上げます。

 どうか苦しんでいるカルト脱会者の灯火になってもらいたい。大変だろうけどカルト脱会者でも市長になれるんだというのを見せていただきたい。

 そして、今もカルトの内部で苦しむ人たちには、脱会しても人生は無茶苦茶にならないんだ、外に出てもやってゆけるんだとと証明してもらいたい。

 そのためには、自分の過去に真摯に向き合い、逃げも隠れもせず、摂理と自分との関係をきっちり市民やメディアに説明することです。辛いかもしれないけど、ここを乗り越えないと先には進めないんだから。

 頑張れ、竹下市長!!

 立派な市長になって、人生はやり直しがきくんだってことを、多くの人に示して欲しい。

(浄土真宗親鸞会脱会者 瓜生 崇)

9 コメント:

匿名 さんのコメント...

すごい話だ。カルト宗教の、その存在を許せない。
幸せであれ

匿名 さんのコメント...

この記事を書かれた、ぶるうのさんのように
誠実な態度で市民に説明すれば、誰もそんなに叩かない。

やはり、問題なのは
「カルト団体に所属していた」という過去よりも
それを曖昧にして、ごまかそうとする竹下市長の姿勢ですな。

匿名 さんのコメント...

心の奥にくる話ですね。
やはり宗教というのは社会で
役に立ってこそ宗教だということが
実感させられます。

匿名部長 さんのコメント...

脱会者だって良いじゃない。

ユダヤ教系カルト脱会者 さんのコメント...

確かに、脱会する勇気と
消せない過去、

その他もろもろ、

カルト信者、脱会者の
ともしびになり得る存在。

ちょうど、スポットライトが
当たっているという事実。

どのタイミングで
教理に疑念を抱き、

人生の何に重きをおいて
脱会を決意したか、

説明できる立場だと思います。

自らの血(苦悩という意味です)を
流しながらでも市長を続けて欲しいです。

オホーツク海岸の論客 さんのコメント...

どうか、この記事が竹下市長の目に届いて欲しい。

「市長、議員からの質問にしっかり答える事が先です。
 それから、謝るべきところは謝って下さい。
 市民の声を聞く事は重要な職務です。」

匿名 さんのコメント...

どうして脱会したのか、
脱会後どんな仕事をしてたのか、
その辺りを説明するべきだと思うな。

匿名 さんのコメント...

(一連の報道に関して)

事実を黙っていたと言うことは

有権者からみれば 騙されていたと

言うことなんだよ

匿名 さんのコメント...

脱会していないという噂もあるがどうなんですか?
ホントに脱会したということを確かめる方法はあるんですか?
なければ脱会なぞしていないと見た方がいい。
少なくとも警戒はしなければならないでしょう。
幹部だったんですよね、教祖の行いを知らなかったなんてありえないでしょう。