統一協会の“お家騒動”、3男派の『日本進出』集会の開催を巡る攻防

3男派スタッフに囲まれる松濤本部井口氏

“王子の乱”と呼ばれる韓国統一教の内部抗争。
文鮮明教祖の妻・韓鶴子夫人と4男の文國進氏、そして7男の文亨進氏が主流派とされ、3男の文顯進氏は跡目争いから外れている。

“日本統一教会”松濤本部は主流派を支持しており、韓国から派遣されてきた幹部らの指揮系統下にある。

一方文顯進氏側には義父でもある前統一教財団理事長の郭錠煥氏が付き、韓国統一教信者内では一定の支持者がいる。そんな3男派グループが日本での勢力拡大を狙い、今月2日と3日に都内で国際カンファレンスと集会を開いた。両日とも3男派グループの信者ブログ等で参加者を募集、日本人信者の“獲得”を目論んでいた。

しかしながら両日とも3男派グループは“日本統一教会”側の妨害を警戒、予定していた会場をキャンセルし代替会場での開催となった。

3日の集会会場の外では、本紙既報の文春断食抗議デモでお馴染みの“日本統一教会”松濤本部の井口氏と3男派グループのスタッフが揉める場面もあった。

信者流出引き止めに必死な主流派グループと信者獲得を狙う3男派グループ、両陣営の攻防を追った。

◆3男派の勧誘に警戒を強める松濤本部

3男派は日本進出に先立ち（社）ピースイニシアティブ支援センター（PISC）を設立、4月にはウェブサイトを開設し6月の大会に向けた準備を進めてきた。

数年前まで教祖の後継者とされていた3男顯進氏を支持する信者は、日本でも少なからず居るとされる。

現在も統一協会系の偽装ボランティア団体の多くが、顯進氏の提唱した“コアバリュー”を理念に掲げて活動している。

顕進氏については、ブラジルの統一協会で支持者とともに檀上を占拠しブラジル教会の会長を信徒の前で足蹴にする動画もネット上で公開されている。

3男派の日本進出の動きを察知した松濤本部では、信者の流出を阻止するために様々な策を取ってきた。

かねてから3男派の動きを警戒し対外協力局が昨年、真の父母様宣布文実行委員会なるHPを開設、日本人信者へ呼びかけをおこなっている。（このHPには本紙を誹謗中傷する文章も掲載されている）

5月下旬には、各地区の教会員に以下の内容のメールが配信された。主流派に敵対する人物を名指しで挙げている。

郭グループの日本での活動についてのご注意

現在、郭グループは下記の企画を進めています。

6月2日（土）品川プリンスホテルでの国際会議
6月3日（日）フクラシア浜松町での出版記念集会
6月4日（月）バンケット
期日も迫ってきているため、積極的な働きかけが始まっているようです。

※呼びかけに対する皆様の注意と、そのような情報があった場合は教会まで、至急ご連絡願います。

■郭グループで活動していると思われる韓国リーダー（元日本での責任者クラス）は以下の通りです。
１　金明運（キムミョンウン）
２　金ギョンス
３　韓相翊（ハンサンイク）
４　方轍皓（バンチョルホ）
５　李成鎬（イソンホ）
６　尹松錫（ユンソンソク）
７　徐東柱（ソドンジュ）
また、日本人活動メンバーは吉田俊一郎夫妻、清野清、後藤亜也、山本忠彦です。

これらのメンバーが日本で因縁のあった人達に６月２，３日の大会（品川プリンスホテル）、出版記念会（フクラシア浜松町）に参加を呼びかけている可能性が大きいです。ご注意を願います。

3男派のHPには、6月2日の国際カンファレンス会場の品川プリンスホテルを松濤本部の広報局渉外部長らが訪問し広報局長の申入書を渡して「ホテル前の道路でデモを行い拡声器で情宣しながら文書を配布」「教会信徒が行事場所に入って騒動が起きるかも知れない」などと『脅迫した』との記載がある。

この件に関し、渉外部長と同行した広報局員は「事実に反している」と明確に否定した。

◆品川プリンスホテルでの国際カンファレンス

3男派の国際会議が開催予定だった
品川プリンスホテルメインタワー

6月2日、品川プリンスホテル。「デモに二世信者が動員される」との噂もあったが、ホテルの外に信者らしき人物の姿はなく受付時間になっても会場は無人だった。

PISC事務局に確認すると、開催予定だった【国際カンファレンス　モラル・イノベーティブなリーダーシップの提言　～平和の文化創造の事例を世界に学ぶ～】は場所を変更して開催するとのことだった。代替会場については、参加者にのみ連絡したとのことで教えてはもらえなかった。
会場を変えた理由は妨害を警戒したとのニュアンスだった。
翌日の出版記念集会は予定通り浜松町でおこなうとのことだった。

品川プリンスホテルに確認したところ、キャンセルは主催者からでホテル側が使用を断ったわけではないとのことだった。


◆ピースイニシアティブ支援センター事務局はレンタルオフィス

ピースイニシアティブ支援センターの事務局を訪ねた。
HP記載の事務局所在地の高輪のオフィスビル8階は、『品川ビジネスセンター』という名のレンタルオフィスで、EVホールには40社近くの会社名が記載された内線案内板があるのみだった。


◆出版記念集会の会場もキャンセル

翌3日、文顯進氏の著書『Realizing God's Dream』の日本語版出版記念集会の会場のフクラシア浜松町。
事前に取材要請をしていたのだが、断りのメールが来ていたため直接現地へ行った。


受付時間になっても人気がなく、事務室に確認したところ、当日朝、急遽キャンセルがあったとのことだった。

前日の国際カンファレンスが東京駅周辺の貸会議室で開催されたとの情報を得、東京駅に向かった。

◆井口氏登場！やや日にデモ予告も

当たりを付けた貸会議室が入るビルに向かうと、エントランス外側に案内板を持ったスタッフを含め10人の男性の姿が確認できた。


そしてその手前２０m程離れた所に文春デモでお馴染み、松濤本部の井口康雄氏が年配の男性とともに立っていた。
“日本統一教会”のデモ隊はいなかったが、文春の断食デモ隊を率いていた井口氏が睨みを効かせているという構図だ。

会場ビルへ向かう人をチェック（？）する井口氏ら

井口氏が記者に気付き声を掛けてきた。井口氏は「相当お前悪口書いてるな、うちの。あることないこと」「デタラメじゃないの全部」と強い口調でクレームを付けてきた。

「じゃあまたデモしてください」と返すと「やるか？あんたのところに行くぞ、俺。あんな酷いこと書かれたら頭に来るよ」と井口氏。


記者と井口氏のやりとりを見ていたスタッフが記者に「出版記念会に参加しに来たのですか？招待状はお持ちですか？」と声を掛けてきたので「申込みはしました」と答えると会場に案内された。

記者を集会参加者と確認したスタッフは、井口氏に「何もしないと言ったでしょ！」と詰め寄った。妨害行為をしないよう事前に話をしていたようだ。


その間に、スタッフから集会会場の貸会議室が入るビルKPP八重洲ビルへへ案内された。

11階でEVを降りると10人程のスタッフが並んでおり集会参加申込者か問われた。参加申込書を見せたが、スタッフの一人がやや日記者だと気付き丁重に入場を断ってきた。平積みされた本『Realizing God's Dream』があったので購入できないか訊いたが、「ウェブサイトで買える」「今日は参加者のための分しかないので」とのことで売ってもらえなかった。

EVホールには妨害対策のためかスタンドに立てたビデオカメラが設置、逐一録画していた。
3男派の警戒心の強さが判る。


再びビルの外へ出ると、井口氏が3男派のスタッフに取り囲まれていた。

囲まれる井口氏
記者を撮影する3男派スタッフも

井口氏に状況を訊くと「私があなたに話しかけたことを怒っているわけ。大事なお客さんを入れさせないように妨害するなんて！』と言ってきたが、『違うんだ、あれ（記者）は統一教会の悪口を言ってるから私は文句言っただけだ』と言ったら誤解された。だからもの凄く怒られたんだ、この人たちに」とのことだった。

どうやら、まだ記者のせいで井口氏と3男派スタッフが揉めていたようだ。

そして再び「御子女様のデタラメを・・・」と本紙記事へのクレームが始まった。
井口氏曰く、カルト新聞の事務所に「デモを掛けるぞ」とのことだった。

井口氏によると、3男派の若手スタッフは韓日から来た祝福2世とのことで、日本語は余り解せなかった。
スタッフ数人が記者の写真撮影を咎め「カクニン」と、データを見せるように迫ってきた。茶スーツの3男派スタッフの男性も記者の写真を撮っていたのだが。


井口氏は記者について「この人は日本統一教会を潰そうとしている。メシアを殺そうとしている。こういう人を歓迎しないの？まだまともだよ」と3男派スタッフに告げ、更に「私たちは韓国を尊敬している。あなたのお父さんは誰か知らないけど仲間ですよ」などと話し掛けていた。

また井口氏は文春抗議断食デモ当時のことにも触れ「断食しているのにやめろと言ったじゃないの。それはサタンの誘惑じゃないの」と言ってきた。どうやら教会員の身体を心配した“面白い旅団”の真意は伝わっていなかったようだ。

井口氏が統一協会の正当性を主張しだしたので、霊感商法について問うと「霊感商法やめたよ」との返答。「やめたからいいってものじゃないでしょ？」と返すと、「やめたからいいじゃない。やめさせてくれたんでしょ？皆さんが悪口言って。それは感謝してるの！やめたの！あれだけテレビで悪口言われたからやっぱりやめたもの」「献金だって感謝してやってるもの、私たちは！」と捲し立てた。

「相変わらず正体隠して勧誘してますよね？」と、偽装勧誘について訊くと、

「それは一部いるかもしれない。それは私たちは厳重にやらないように言うよ」とのことだった。


◆“日本統一教会”は同日に総会長集会や聖和祝祭インターネット中継で信者を囲い込み

“日本統一教会”は3男派の集会日程に合わせ、2日に浦安の一心特別修練院で宋榮錫総会長の特別集会を開き第3地区（関東圏）の信者を集めた。3日には尾瀬霊園での聖和祝祭のインターネット中継を全国の地区教会でおこなった。両日とも信者に参加するよう繰り返し要請していた。

8日には日本青年館で教祖の3女・文仁進米統一協会総会長がファミリーコンサートを開く予定になっている。

資金源である日本人信者の獲得を巡る“御子女様”の争いは激化する一方で、当分収まりそうにはないようだ。