京都大学が新入学生に対して、カルト団体に関する情報も含めた「メンタルヘルス教育」を行うことを決めたそうです。この方針の中心は、薬物問題や自転車のマナーといった「人間としての基礎的な教育」に主眼を置いたもので、「メンタルヘルス教育」もその一環。カルト対策に特化したものではなく、キャリア教育や自殺問題などを合わせた内容を予定しているようです。
【YOMIURI ONLINE 2009年11月21日】薬物ダメ、自転車マナー…京大が授業で「社会常識」
京都大は、学生の相次ぐ薬物事件などを受けて、新入生を対象に法令順守などを教える初年次教育を2010年度から実施する方針を固めた。
これまで教員の間では「学生はもう大人。そこまでやる必要はない」との意見が多数派だったが、次第に危機感が広がったためで、交通マナーを教える講義も予定されている。自由の学風、自学自習の伝統で知られた京大の〈方向転換〉は、大学全入時代を迎えた大学の役割変化を象徴するものとして注目されそうだ。
京大では数年前から、学部単位で、向学の心構えなどを教える初年次教育を実施していた。しかし、学習意欲のない学生が目立つようになった上、今年は2人の学生が大麻、覚せい剤を所持したとして逮捕された。
このため大学側は、「人間としての基礎的な教育」に重点を移し、全学共通カリキュラムとすることを決定。教育・研究の質の向上などを目指し、2010年度からの6年間を期間とする「中期目標・中期計画」に盛り込むことにした。
法令順守については、薬物の危険性を科学的に解説するビデオを見せるほか、過去の学生による事件を例に人権の大切さなどを教える。スピードを出して歩道を走るなど、大学周辺で苦情の多い自転車のマナーについても教育する。
さらに、自分の将来像をイメージさせるキャリア教育や、カルト集団、自殺願望への対処方法などのメンタルヘルス教育も行う。
初年次教育の講義は前期に開講し、10~15コマを予定。10年度から試行的に始め、11年度からは単位化する計画だ。
西村周三副学長は「法令順守などは当然のことで、あえて大学で教えるかどうかは悩ましいところだが、入学直後は非常に重要な時期だと考え、実施に踏み切る」としている。
◆他大学にも動き広がる◆
こうした動きは他の大学にも広がっており、立命館大では、2、3年生有志が、1年前期の基礎演習の授業時間に、大学生活の送り方などを指導。オリエンテーションでは薬物の危険性も教えている。大麻所持や振り込め詐欺事件に絡んで逮捕者が相次いだ関西大では、新入生らを対象に「スタディ・スキル科目」を実施。来年度からは、薬物の危険を教えるなど、法令順守やモラルの教育にも力を入れるという。
◆初年次教育=大学生活に適応させることが主目的の総合的教育プログラム。1970年代後半、米国で始まったとされる。2008年度の文部科学省の調査では、全国の国公私立大742校のうち、8割の570校が、文章作成作法や口頭発表技法など、学問に対する動機付けのカリキュラムなどを実施している。
記事にある「学生はもう大人。そこまでやる必要はない」という教員の声は、もっともらしく聞こえるかもしれません。しかし大人であれば何をしても「自己責任」ってことにして放置していいというわけでもないでしょう。所属する学生が犯罪を犯したりカルト団体の被害にあったりしているのであれば、何かしら対処して当然です。大学生が大人ではない、というわけではありません。たとえ大人であっても、問題が頻発するのであれば、その組織の管理者が何かしら手を打つべきです。
以前、現役京大生と話したとき、「京大は、統一協会系サークルも大学の公認団体にしているばかりか、左翼過激派など犯罪組織をも公認団体にしている」と聞きました。これは「学生はもう大人だから」で言い訳できる域を超えた、責任放棄的な態度です。
また、別の京大関係者からは、「京大では伝統的に、学内で問題が起こっても、警察などの国家権力が介入することを教授陣ですら嫌う風潮がある」と聞かされたこともあります。国家権力を介入させないのであれば、それこそ「大学の自己責任」において、学内の問題にしっかり対処すべきでしょう。
今回の方針は、「カルト問題」に特化したものではなく、むしろカルト問題は添え物扱いのような印象もなくはありません。カルト問題についても、正確な現状認識に基づいた対応を期待します。とりあえず、統一協会系「京大学生新聞」の大学公認を何とかしてほしいもんです。あと浄土真宗親鸞会も「古典工房みんくる」「古典を学ぶ会(コテマカ)」といった名前で京大内に活動拠点を置いているようです。
2 コメント:
消防車が構内に入るのに、近い門から入れない大学ですかねぇ~。
准教授を何人か存じ上げていますが「頭が痛い」とおっしゃっています。
こういうのも頭痛いのかなあ。ぼくはけっこう面白かったんですが(笑)。
http://news.livedoor.com/article/detail/4232498/
http://news.livedoor.com/article/detail/4234397/
http://news.livedoor.com/article/detail/4236025/
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