幸福の科学が公開した「新潮社社長の霊言」はウソまみれ

霊言の内容は『ザ・リバティweb』でも公開中

幸福の科学学園（栃木県那須町）での宗教・政治教育や生徒への懲罰の実態を報じた『週刊新潮』11月22日号掲載の記事に対抗して、幸福の科学・大川隆法総裁（実物）が発売日同日の11月15日、同誌発行元である新潮社の佐藤隆信社長の守護霊を召喚。佐藤社長（霊）との対話者を務めた教団職員3（実物）が、『週刊新潮』（実物）と記事執筆者である本紙・藤倉善郎主筆（実物）による取材の経緯について事実と異なる内容を語り、取材時の質問内容をあげつらって「バカなのか」「頭おかしい」と笑い飛ばすなど、おおよそ宗教行為とは思えない下品かつ不誠実な発言を繰り返していました。



■「藤倉善郎」は善川三朗の略称!?

11月15日、幸福の科学・大川隆法総裁（実物）が新潮社の佐藤隆信社長（霊）を呼び出して収録した霊言映像『「人間失格」－新潮社 佐藤隆信社長・破滅への暴走－』は、同16日から教団の全国の支部で上映が始まりました。ちょうど上映開始の日、幸福の科学広報局職員2人（実物）が新潮社を訪れ、『週刊新潮』編集部員（実物）と記事執筆者の藤倉（実物）に対して記事の訂正と謝罪を求める抗議文を手渡しました。わざわざ新潮社まで来たのに、教団職員（実物）はただ抗議文を読み上げるだけ。特にそれ以上言いたいこともなかったようなので、藤倉の方から質問しました。

「佐藤社長の霊言が開示されたと聞いています。見せてほしいんですが」

「確認してお返事します」

しかし翌日、教団職員（実物）から

「霊言はお見せできない。書籍として発刊するので、書籍を読んでほしい」

と返答がありました。

なぜ、書籍は読んでもOKで、映像は見せてくれないのでしょう。何か都合の悪いことでもあるのでしょうか。

すでにこの教団がウソつきであることを知っている藤倉は、書籍だけでは満足できません。そこで、こっそり霊言映像を拝聴してきました。

幸福の科学の霊言では、霊を降ろす前に大川総裁（実物）が前説をやります。今回、大川総裁（実物）は、問題の『週刊新潮』の記事のページを開き〈子供に嘘を刷り込むデタラメ授業　「坂本龍馬の前世は劉備」と教える　「幸福の科学」学園の罪〉という見出しを読み上げました。

大川総裁（実物）「何が罪なんでしょう。よくわからないんですけどね。幸福の科学学園で『週刊新潮』を教科書に使ったというなら社会問題だと思いますけど。信者の子弟が通う学校ですし、親が了解している内容でありますし。坂本龍馬の前世が劉備というのは、かなり確定した霊言なので、崩れてないので、特に問題ないので」

一度行った「過去世認定」が崩れちゃっているケースがあることを、総裁はご存知のようです。おそらく最も深刻な過去世認定崩れは、先日離婚が成立した総裁の元妻・きょう子氏についてのもの。離婚騒動に発展した途端、「やっぱ文殊でもアフロディーテでもナイチンゲールでもなかったよ！」ということになってしまったのですから。

その過去世認定崩れを起こした張本人の大川総裁（実物）は、再び記事に目を落として、記事を執筆した藤倉の名を口にします。

大川総裁（実物）「ジャーナリストの藤倉……ん？　なんだこれ。これ本物かい。善川三朗の略称みたいな名前つけてる。怪しいなあ」

教団職員（実物）「いちおう存在していることは存在しています」

教団職員（実物）「客観的にはジャーナリストとは言えない架空の……」

大川総裁（実物）「善郎って、善川三朗の略ですね」

教団職員（実物）「まあ、自分の法名にしたいのかもしれませんが」

善川三朗とは、大川総裁の亡き父であり、教団の草創期を支え、後に「名誉顧問」となった人物です。本名を中川忠義といいます。

大川総裁。「藤倉善郎」と「善川三朗」をうかつに結び付けない方がいいと思いますよ。また過去世認定崩れを起こしたら大変です。

■教団職員が霊に対してウソをつく

いよいよ佐藤社長（霊）の降臨です。大川総裁（実物）にのりうつった佐藤社長（霊）に対し、教団職員3人（実物）があれこれ言って非難します。しかし佐藤社長（霊）の受け答えは要領を得ず、ぐだぐだな会話ばかり。95分もある霊言映像の中盤にさしかかって、ようやく『週刊新潮』での学園問題ルポの話題が出てきました。

教団職員（実物）「数十個のウソが並んでるんですよ。そのうちの一つが、政治教育をしているというんですけど。こういうウソを言ってほしくないんですが、『幸福実現党宣言』が参考書籍になっていたこととマルクスの『共産党宣言』が参考書籍になっていたことがあって、これ事前に（週刊新潮側に）全部説明していて、説明を聞いた（週刊新潮の）デスクが『わかりました』と言った後、こちらに無断で、それに反論する『ある男子生徒』なる発言を持ってきて、『共産党宣言は学んでいません』と書かれたんですけども、これウソですよ。残念ながら。裁判で立証不可能ですよ。こういうウソが数十個並んでいるんですよ」

さも、『週刊新潮』のデスクが幸福の科学の説明に納得していたかのように言っていますが、それこそ完全なウソ。デスクは「わかりました」などという返事はしていません。特に政治教育にかんする質問については、「政治教育はしていない」「一般教養として教えている」といった趣旨の回答書を手渡され、その場で藤倉が

「一般教養として教えているというなら、『共産党宣言』や民主党の理念なども教えているのか。あなた方が『悪魔』と呼ぶ人々の思想も教えているのか」

とツッコミ混じりの追加質問をしたほどです。

「一般教養」だというなら、なおのこと『幸福実現党宣言』が出てくるのはおかしいですね。新聞記事で「諸派」としか書いてもらえない幸福実現党は、時事問題にも一般教養にもなりえません。

学園寮内の幸福実現党声明文

こんな支離滅裂な回答だった上に、教団側は、実際に授業で『共産党宣言』や他党の理念・政策といった書籍・文書を使用したかどうかについては明言を避けていました。学園祭で生徒が幸福実現党をネタにした演劇をしたり、寮内に幸福実現党の声明文が掲示されていた事実があるかどうかとの質問に対しても、回答拒否でした。

つまり、取材に対して幸福の科学側は、まともに事実を説明してはいませんし、『週刊新潮』のデスクが「わかりました」などと納得した事実もありません。前述の教団職員の説明は、完全なウソです。

■広報局長が記者を「バカか」「頭おかしい」

佐藤社長（霊）に対して教団職員たち（実物）は、『週刊新潮』側（実物）が学園宛に送った質問の内容にも言及。

「（計60項目に及ぶ質問書だったことから）何を書くか絞りきれてないんです」

「（生徒のプライバシーに関わる場所に監視カメラがあるのかどうかという質問について）バカなのか。あるわけないじゃないですか。頭おかしいですよ」

などと笑い飛ばしていました。

「頭おかしい」は、広報局長・渡邊伸幸氏（実物）の発言です。すべての質問は必要があって記載していた、ごく真面目なものなのですが。日ごろ、さも誠実そうな態度で取材対応をしている渡邊氏（実物）ですが、実は陰でこうやって人をバカ呼ばわりしていると。

佐藤社長（霊）の本音よりも、「教団職員たち（実物）の本音」の方が興味をそそる霊言映像でした。

この渡邊氏（実物）は、こんなウソもついていました。

「さらにですね、インターネットで、誰が書いたか『2ちゃんねる』とかで流れている噂を、『複数の教員が無免許で授業を受け持っているのではないか』と。ありえないですよね」

実は本紙では、2011年の時点で、学園に近しい関係者（実物）から「無免許教員疑惑」についての情報を得ていました。2013年開講予定の関西校について、教団が「教員免許の有無：不問」という文言で教職員（実物）を募集していた事実も把握していました。実際、それを記事として掲載しており、教団広報（実物）にも取材して「教員免許を持たない職員に授業を持たせようとしている事実はありません」とのコメントを得て、これも掲載しています。

ましてや今回の『週刊新潮』の記事は、学園関係者（実物）に取材して書かれたもの。質問書では具体的に教師の名も記載していましたし、『2ちゃんねる』情報だけでできあがっている質問でないことは記事の内容と取材のやり取りから明らかです。

何よりも、記事についてこれだけ「ウソを書いている」だのなんだの言っている割に、実は記事で指摘されている具体的事実に関しては、教団広報（実物）は『週刊新潮』側（実物）の取材に対して概ね認める回答をしています。教団の関連サイトに掲載された反論文でも、特段その点は否定していません。そのことを明示せずに、記事をウソ・捏造呼ばわりしていること自体が、完全なウソでしょう。

■勝手に情報源を特定して誹謗中傷

教団職員ら（実物）は、『週刊新潮』の記事に登場する証言者について勝手に特定して誹謗中傷しました。

「最初の情報源が、幸福の科学をオウムと同じにしたい、幸福の科学を潰したいと考えている情報源から出ているのではないかということがはっきりしているんです」

「ウソでもって批判する情報源を使っている」

「情報源が汚染されているのに、その検証をしていない」

「情報源は詐欺行為をしているんですよ。それを知った上で、それを唯一の情報源にして記事を書いたんですよ」

「唯一の」と言いますが、今回の『週刊新潮』の記事で、藤倉（実物）は教団広報（実物）を除いても両手の指では数えきれないくらいの方々（実物）に取材しています。また、それぞれの証言の整合性を確認するため、取材後にも繰り返し証言者とやりとりをしました。取材のインタビューよりも、その後の整合性の検証作業の方に手間を割いたと言ってもいいくらいで、その面倒な作業に、証言者の方々（実物）は丁寧に応じてくれました。

こうして事実関係や証言コメントを慎重に取捨選択した結果が、『週刊新潮』の記事です。

教団職員ら（実物）がここで挙げている人物が実物なのか霊なのかは不明ですが、いずれにせよ、「それを唯一の情報源にして記事を書いた」は大間違い。

もともとこちらは情報源（実物）を明かすつもりはありませんし、証言者（実物）が複数いることを教団側にも伝えていませんでした。ですから、この点についての教団職員（実物）の発言は「ウソ」ではなく「知らないだけ」です。

■やっぱり虚偽通報してた？

藤倉のことを警察に通報した学園職員ら（実物）

教団広報（実物）は、学園の生徒たち（実物）に取材を試みた藤倉（実物）に対して、報道関係者による取材であることを知りながら学園職員（実物）が「痴漢かもしれない警察に通報した」のだと告げ、学園関係者（実物）に直接取材しないようにと恫喝してきました。藤倉（実物）が「虚偽通報だ」と抗議すると、「（警察に）痴漢かもしれないとは言っていない」「虚偽通報はしていない」として説明を二転三転させ、支離滅裂な状態に陥っています（本紙〈尾行・通報・恫喝、幸福の科学学園報道の裏バトル〉参照）。

この件についても、教団職員（実物）が佐藤社長（霊）に対して語っていました。霊言の終盤、教団職員（実物）たちが佐藤社長（霊）に過去世が何者なのかを喋らせようと食い下がり、最終的に、どうやら甲賀の忍者らしいということになりました。そこで、教団職員（実物）からこんな一言。

教団職員（実物）「それで、学園に行った時も記者が、映画館で女子生徒を追い掛け回して、『痴漢だ。痴漢じゃないか、こいつ』と通報されたんですけれども、要するにそういうことは甲賀の時代からやっていたというところにルーツがあるんですね」

やっぱり「痴漢だ」と虚偽通報していたと。

しかし『週刊新潮』や藤倉（実物）に対して教団広報（実物）が主張した「虚偽通報はしていない」「痴漢かもとは言っていない」という説明がウソなのか、それとも、霊言の場で「痴漢だと通報した」とする教団職員（実物）の発言がウソなのか、どちらなのかはわかりません。わかるのは、どのみちウソがまかりとおる教団であるということだけです。

教団職員ら（実物）がこれだけウソをついたり勘違いをしたりしているのに、佐藤社長（霊）はなぜそれを指摘してあげないのでしょう。大川総裁（実物）の口を通じて喋っているのが本当に「霊」なら、そんなことくらいわかりそうなものですが。幸福の科学の「霊言」は、客観的事実を確かめる上では全く役に立たないということでしょうか。