2012年5月2日水曜日

【神世界事件】懲役5年判決に教祖泣きべそ、被害者は「軽すぎる」

有限会社「神世界」を中心とするグループ会社が引き起こした被害総額180億円を超える巨額の霊感商法事件で5月1日、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)罪に問われた教祖・斉藤亨被告ら4人の判決が、横浜地方裁判所で言い渡されました。いずれも有罪判決で、斉藤被告には懲役5年の実刑、幹部信者・佐野孝被告は懲役3年、執行猶予5年、グループ会社「えんとらんすアカサカ」社長だった浅原史利被告と妻の嘉子被告は、それぞれ懲役2年6月、執行猶予4年。いずれも求刑の半分とする判決でした。判決後、被害者側の弁護団は横浜市内で記者会見し、「量刑が軽すぎる」などとして、検察に対して控訴を求める声明を発表。一方、4人の被告のうち教祖・斉藤被告側は判決を不服として即日控訴しました。

■泣きべそ教祖

判決(朝山芳史裁判長)は、斉藤被告が3人の幹部と共謀し、自分たちにさも霊能力や病気を治す能力があるかのように偽って、病気などに悩む女性3人に「祈願料」などの名目で合計約1200万円をだまし取ったと認定。幹部だった3被告については、いずれも反省は十分ではないとしながらも、すでに立件された事件以外も含めた被害者に弁済し和解していること、3人が立件された事件の被害額は150万円と少額であること、すでに詐欺に使用された会社を解散したことなどを理由に、執行猶予付きの判決を下しました。

斉藤被告については、組織の唯一の決定権者であることから、執行猶予なしの実刑判決となりました。

判決の言い渡しでは、主文の読み上げを後回しとし、事実認定と判決理由が先に読み上げられました。この間、紺や黒のスーツに身を包んだ4人の被告は前を見て聞いていました。

裁判長が判決文を読み終えると、幹部信者たちは裁判長に一礼。斉藤被告は、やや遅れてのろのろと一礼後、ハンカチを出して涙を拭い始めました。

閉廷後、傍聴人が立ち去ってから着席を許された斉藤被告は、被告人席でさらに涙を流し、声も出さずに泣きべそをかいていました。悔しさや反省の表情というより、先生に怒られた小学生が泣きじゃくっているかのような、泣きべそとしか言いようのない表情でした。

この事件は、数ある宗教事件の中でも珍しく、教祖自身が公判で自ら詐欺を認め、団体も表面上は解散宣言をしています。その教祖が実刑判決を食らって被告席で泣きじゃくっているという点でもまた、輪をかけて珍しい宗教事件裁判かもしれません。

しかし幹部3人に執行猶予がついたことに被害者は我慢ならなかったようで、法廷を後にする傍聴人の中から、被害者が被告席に向かって

「浅原、ぜったい許さないからな!」

と叫ぶ一幕もありました。

■被害者弁護団「刑が軽すぎる」

判決後、横浜地裁近くで神世界被害者と神世界被害対策弁護団が記者会見を行い、以下の声明を発表しました(声明文全文はこちら)。

「今回の判決は、被害実態に比べれば軽すぎると言わざるを得ず、この点は容認できません。当弁護団は、検察官に対しては、速やかに控訴するよう求めるとともに、控訴審では、すべての被告人に対して本日言い渡された刑を上回る実刑判決が宣告されるべきであると考えます」

弁護団事務局長・荻上守生弁護士によると、神世界グループによる一連の霊感商法の被害額は、判明しているだけでも180億円以上。被害者の数は1万人を超えると見られています。そのうち、和解金が支払われたのは、すでに民事訴訟を起こした原告と訴訟を起こしていない被害合計160人分で、支払い済みの和解金は約6億円。弁護団は、

「少なくとも180億円を超える被害全体と比較すれば、これらの合計額は4%にも満たないものです。大半の被害について被害弁償が実現していないのですから、組織的詐欺により違法収益はいまだ被告人らの懐に留まっているものと評価するべきです」(弁護団声明)

とし、グループ会社が解散し清算中ながら、実際には公判の傍聴に信者が未だに動員されており、グループ企業は解散前に商号変更を行うなど、「従前どおりの活動の継続を志向していることが窺われ」るとしています。

会見で弁護団長の紀藤正樹弁護士は、このように語りました。

「まだ霊感商法事件は続いている。神世界は解散するといっているが、本当に解散するかどうかは、これから。オウム真理教も破産し解散しながらアレフやひかりの輪が残っている。法の華三法行も解散したのに、現在は“喜び家族の和”という団体を作って活動を活発化させています」(紀藤弁護士)

「検察は詐欺という点に力を入れて立証したが、組織の活動実態の情状部分の立正が足りない。組織内の、人を人とも思わない上限関係や威圧的なものがきちんと立証されていない気がします。ふつうの悪徳商法詐欺と同じように裁かれている。このカルト的な団体の属性そのものを反省させないと、また同じ事を繰り返す。法の華がいい例で、いまも事件を“誤解だった”などと称して活動している」(同)

会見中、司法記者クラブ加盟メディアから、斉藤被告が即日控訴したとの情報が入ると、紀藤弁護士はこう語りました。

「よくやってくれたと言いたい。控訴審で、いま言った検証をしてもらおうと思います」

■健康被害も

神世界の被害は、霊感商法による金銭被害だけではありません。

「さらに、神世界グループによる活動は、単に経済的被害をもたらしただけでなく、適切な医療を受ける機会をも失わせるものであり、その前身である千手観音教会の頃から明らかになっているだけでも幼児2名、成人2名の尊い命が失われ、佐野孝の実施で斉藤亨の養子に重度の後遺障害を残すなど、人の生命、信頼への重大な侵害を元もない、人生そのものを狂わせてしまうものでした。その手口も、藁にもすがりたいほどの悩みを抱えた被害者に対して宗教性を秘匿して言葉巧みに近づき、その悩みにつけ込み利用していたもので極めて悪質です」(弁護団声明)

弁護士の発言後、5人の被害者が発言。被害者によると、団体の問題に気づいてやめようとした信者は、立件されていない幹部たちからも脅されたといいます。

「ヒーリングを受け始めたとき、体調が良くなったり仕事の業績が良くなったのを、ヒーリングの神様のおかげだと騙されてしまいました。そして“ヒーリングをやめると全てなくなります”と脅されて、サロンの中で働くように言われました」(42歳・女性)

「やめようと思ったとき、幹部から“あなたが良くなったのは誰のおがけだ”と脅されました」(46歳・女性)

■「人の命を何とも思わない」

被害者たちは、いずれも、この日の判決への不満を口にしました。

「教祖に対して実刑判決が出たことは少し納得が出来る部分ではありますが、佐野孝、浅原史利、嘉子に対しても実刑判決を望んでいますので、検察ガ控訴することを望んでいます」(40歳・女性)」

「お金が戻ったのはありがたいですが、(神世界に関わっていた間に)失った時間、友人、原告として費やした5~6年の歳月は戻らない」(女性)

「がんにかかっていた人が、(祈祷で病気を治せると言われて)薬を飲むのをやめて、がんが再発した。すると(神世界の幹部が)“あの人は神様へのお返しが足りない”と言って、お金を取ろうとする。そして、そのお金で自分たちが贅沢な暮らしをしている。人の命を何とも思わない。それが斉藤亨や佐野孝でした。(神世界側が被害者に)返金したと言っても、それはもともと被害者のお金で、それを返したにすぎません。幹部たちは、25~35歳の女の人を入れるようにと研修で言っていて、女の人が恋愛したり結婚したり出産適齢期になると使い物にならないからと言って使い捨ててきたのを見ました。人の人生をそこまで壊して、裁判所の中だけですみませんでしたと謝って住む問題ではないと思います。斉藤亨の判決は良かったと思いますが、それ以外の判決は軽いとしか言いようがないです」(42歳・女性)

幹部信者のうち佐野孝被告については、執行猶予の理由の一つに、2005年頃から教祖に対して、被害者にカネを返すよう進言していたと認定された点があります。しかし「えんとらんす」系列のヒーリングサロンでスタッフとして働いていた被害者の一人は、こう語りました。

■「ほかにもっと悪い連中がいる」

「佐野が斉藤に進言したというのは完全にウソです。当時、神世界では“神霊鑑定”真っ盛りで、いちばんひどかった時期。いったい何を言っているのかという感じ」(40歳・女性)

被害者の話からは、教祖・斉藤亨被告だけではなく、被害者を直接脅す立場にあった幹部信者たちへの強い怒りが感じられます。立件されていない幹部信者にも、相当悪どく信者を脅してきた人物もおり、会見では「ほかにもっと悪い連中がいる」という言葉も飛び出しました。

「私は、教主の家族が贅沢な暮らしをしていたのを見ていました。彼らは“私たちは天皇並みの生活をすべき”などと言っていた。今日(の判決公判)も、(斉藤亨被告の妻などが)いままでと同じ身なりで傍聴に来ていました。(彼らの財産の)全額を被害者に出してもらって、自分たちは生活するのがやっとというくらいになってくれないと、納得できません」(35歳・女性)

「私自身、友人や職場の同僚をサロンに紹介してしまった。いま、そういう人達に連絡を取ろうとしても、“私も人を紹介してしまったから”“主人に知られたくないから”といった理由で、被害者として名乗り出られないでいます」(42歳・女性)

弁護団によると、裁判の経過や弁護団の記者会見などがメディアに報じられると、いまも新たな被害者が申し出てくる状況だといいます。今回の判決は多くの一般メディアが報じていることから、さらに新たな被害者が名乗り出る可能性もありそうです。

◇ ◇ ◇
神世界被害対策弁護団
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15 コメント:

匿名 さんのコメント...

お疲れ様です。

匿名 さんのコメント...

神世界事件では、統一馬鹿信者は現れないかw

匿名 さんのコメント...

公共性を表に出して、カルト叩いてジャーナリスト気分になれるんだから、カルト記者ってやめられないよな。

日本のマスゴミって大手も含めてほんとレベル低いな。

匿名 さんのコメント...

コ〇フ〇の教祖や幹部達も徹底的に懲らしめて欲しいものです・・・。

「ボク、タイホされたら、アソコの欲求不満で、生きていけないでちゅ。」ってか?!

匿名 さんのコメント...

つまらんコメントしかないな。

匿名 さんのコメント...

信者コメントきたきたw
あちこちの記事で必死ですねw

匿名 さんのコメント...

は?なんか面白いこと書いてみろよ。

匿名 さんのコメント...

5/3 21:09の匿名、世界一レベルの低い世界日報ディスってんじゃねーよ。

匿名 さんのコメント...

朝日新聞阪神支局襲撃事件から25年 市民ら拝礼所に列

http://www.asahi.com/national/update/0503/OSK201205030014.html

匿名 さんのコメント...

つまらんコメントしかないな。

こんなもんなん?

匿名 さんのコメント...


  ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
っと、信者はつまらんコメントを供述しており(ry

マジレスすると被害者が受けた精神的、肉体的苦痛に比べて刑罰が軽すぎる。
再犯する可能性大。

ハチコウ さんのコメント...

あの教団も末期症状

統一協会幹部光言社小林社長が
末端信者を訴えると息巻いている
光言社社長と言えば、本部のほとんどの会議に出席できるという幹部である。そして小林社長はこれまで何軒かの訴訟を起こしているようだ。

http://hiroshi-kobayashi.at.webry.info/201203/article_4.html

>この中の教会員らしき数人が私を中傷していたことがあり、訴訟のために個人情報開示を求めたら拒否された経緯もあります(それでも訴訟はしていきますが)。同じ教会員であり・・・<

王子の乱に続きこのていたらくはいよいよ末期症状ではないだろうか?

匿名 さんのコメント...

K社長は幹部と言っても他の幹部に相手されていない幹部です。教会の代表みたいに書かないでいただきたい。

匿名 さんのコメント...

統一幹部といえば、信者の上納金で生活しているんだろう
しかも信者は借金持ちだろう。
それをさらに訴えて金をむしりとろうというのだから、人間とは思えない。
はよつぶれろや

匿名 さんのコメント...

まだやってますよ。