2010年6月12日土曜日

親鸞会、立山以外に3つの国立施設を利用

 4月末と5月初めに本紙で、浄土真宗親鸞会(本部・富山県)のダミーサークルが「立山青少年自然の家」で合宿を行おうとしていた問題を報じました。これに関連して、「立山青少年自然の家」と同様に独立行政法人・国立青少年教育振興機構が運営する国立施設のうち、ほかにも少なくとも3つの施設を親鸞会がこれまで利用してきたことがわかりました。

 親鸞会は、大学生に対して正体を隠した勧誘を行ったり、信者に対して多額の金銭の支払いを求めるといった点から、全国の大学で問題視されています。特にゴールデンウィーク中に行われる合宿は、新入大学生に対する勧誘の“仕上げ”的な意味を持ちます。こうした団体に、青少年育成を目的とした国立施設が活動場所を提供することの問題性は、本紙で指摘してきたとおりです。

 立山青少年自然の家の問題を報じた後、親鸞会脱会者を通じて、これまで親鸞会が合宿場所として利用してきた施設の具体的な名称がいくつか寄せられました。インターネット上の情報を含めると、名前が挙がっている施設(立山以外)は、以下の5施設です。

高遠青少年自然の家(長野県)
乗鞍青少年交流の家(岐阜県)
淡路青少年交流の家(兵庫県)
能登青少年交流の家(石川県)
妙高青少年自然の家(新潟県)

高遠青少年自然の家の利用を示す親鸞会ダミーサークルの勧誘チラシ(なぜ私は親鸞会をやめたのかより)、赤線は本紙
 このうち、親鸞会が実際に使用していたとの情報が脱会者から寄せられたのは、高遠・乗鞍・淡路の3施設。それぞれの施設に問い合わせたところ、「高遠青少年自然の家」では「08年から10年にかけては利用がない」との返答しか得られなかったものの、元信者の「なぜ私は親鸞会をやめたのか」のチラシ画像から、07年に利用があったことは明らかです。

 「乗鞍青少年交流の家」では、「なごやんウォーカー」の名前で、過去数年、毎年5月に利用があり、今年の5月1~3日にも合宿を行っていたとしています。これは、親鸞会脱会者からの情報にあった親鸞会のダミーサークル名と一致します。

 「淡路青少年交流の家」では、予想されるダミーサークル名での利用は確認できませんでした。

 ダミーサークル名や申込者名がわからないケースでは確認のための手がかりがないため、「能登青少年交流の家」「妙高青少年自然の家」には問い合わせていません。

 これら国立施設を統括する国立青少年教育振興機構の担当者は、これらの問題について、こう語っています。

「青少年自然の家や青少年交流の家は、青少年健全育成・青少年教育のための施設です。特定の宗教・政治団体を支持する活動や営利活動での利用は禁止しています。しかし施設内でそういった活動をしているということでなければ、(利用団体が)宗教であるというだけでは禁止できない。申請時に提出される活動内容等の説明が事実と違うと確認できれば、利用をお断りします。今後、問題のある団体について情報収集をし、禁止条項を利用団体に周知徹底します」(国際・研修支援課の担当者)

 しかし、今回の親鸞会ダミーサークルによる利用という個別の事例については、同担当者は「問題である」と断定することは避けました。

「本当に無理な勧誘などを行っているのであれば問題です。しかし(利用団体の)施設外部での問題は、わたくしどもの方で情報を収集していくとしか、現段階では申し上げられない。対応については検討中です」(同)

 残念ながら、現時点では具体的な対応策は見えてきません。

浄土真宗親鸞会のウェブサイト
 なお、「国立立山青少年自然の家」では今年5月、親鸞会のダミーサークルが利用申請を出していましたが、本紙が報じた直後、利用を取り下げました。その理由を親鸞会に電話で尋ねようとしましたが、「担当者不在」とのこと。担当者への伝言として「取材を受けない場合でもその旨をご連絡下さい」とお願いすると、電話の担当者は「わかりました」と言っていました。

 しかしまだ連絡はありません。もし親鸞会のコメントが入れば、追記します。








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■追記(2010.06.14)

 6月14日午前中に、浄土真宗親鸞会より「取材はお受けできません」との留守番電話メッセージがありました。取材を受けない理由くらい聞かせてもらおうと思って電話しました。非常に不毛な内容ですが、親鸞会の取材対応姿勢が少しはわかるかと思うので載せておきます。

──取材を受けていただけない理由は?

「留守番電話にメッセージを残させていただきました。それ以上もそれ以下もありません。取材はこちらではお受けできませんので、何か今後ありましたら、取材の申込は書面でお送りいただければと思います」

──それは今回の件も書面でお送りすればお答えいただけるということですか?

「取材の申込みは口頭ではお受けできませんので」

──「取材は受けない」ではなく「口頭では受けない」という意味なんですね。

「何かありましたら書面でお送りいただきたいということです。それで、受けるか受けないかはこちらで判断いたしますので」

──留守番電話には、「取材は受けない」というメッセージが入っていたんですよ。そうではなくて、いまのお話だと「口頭では受けられない」とおっしゃってますよね。

「今後、何かありましたら、まず書面でお送りいただければといま申し上げております」

──今回については、書面を送るまでもなくお受けいただけないということなんですね?

「はい」

──その理由はお聞かせいただくことはできないですか?

「こちらではわかりかねますので……」

──あ、わからないんですね。取材を受けない理由は「わからない」と。

「こちらでの取材はお受けできないということしかお答えできません」

──で、その理由はわからないということですね?

「こちらでお答えする必要はないと思いますので。とにかく取材をお受けすることはできません」

──理由も答える必要はない、と。わかりました。ではそのようなコメントで記事にさせていただきます。どうもありがとうございます。

「……」

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